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平和な戦争後です1


 エンシェントエルフ様への報告から数日が経った。唐突に始まった魔王軍の魔族たちが率いる大量のモンスターの襲来。そしてその裏で行われていたエンシェントエルフ様の下へのセン・グーテンによる単騎突撃という大事件も片がつき、俺たちは元の生活へと……戻れていなかった。

 戻っていないとは言うが、エルメラさんも含めた一般人の避難指示は解除され、避難所生活から完全にとはいかずともある程度日常に戻っている。戻れていない一部の人も今回の戦争の騒ぎに乗じた火事場泥棒たちが家を壊したとか、里の外との取引がメインとなっている行商人などだ。

 その一方でエルフの兵士たちは今尚警戒を解くことはなく慌ただしく働いていた。報告から2日が経ち、そういえば守護龍様の鱗をつかった盾の話をしてなかったと思ってエンシェントエルフ様のところに行った時に聞かされた話だと、今回戦闘が行われた各地に魔族の痕跡が残されていないか調べなおすように指示が出ているそうだ。探索系の魔法を得意とする者たちだけでなく、人海戦術で片っ端から調べているとのこと。

 調査が始まったのは特異ゴーレムの素体となった女性の使う魔法の特殊性が、彼女が所属していたギルド『魔法学園』から伝えられたことだった。彼女の身元は俺がエンシェントエルフ様のところに報告に向かった段階で既に判明していたが、

 彼女が使う転移魔法は2種類。離れた場所にある物を比較的自分に近い位置に転移させる魔法と、守護龍様が俺に木の苗木を渡したように、特定の触媒を用いて指定した場所へ転移させる魔法。彼女に適性があったのがこの2種の転移魔法だったということだが、それらの魔法はそもそも『魔法学園』が蓄えた知識の一端だ。これが『ヤカリ森国』に属するギルドであれば戦時特例という形で若干多めの金と引き換えに提出させていたのだろうが、『魔法学園』は本拠地は『ベスティア獣神国』にあり、『ヤカリ森国』とは協力関係というやつだ。戦争に使われて対策をうたないといけないと言えど無条件に知識を提供してもらうことはできない。

 最終的には植物魔法に関する書物と引き換えにその転移魔法の詳細を聞くことができたそうで、『ヤカリ森国』として重要視したのは後者の転移魔法だった。

 『ヤカリ森国』で採用されている物も含めて、短距離ならばともかくある程度長距離の転移となると魔法陣を介して転移する物が多い。一番の理由は長距離を移動するために必要になる魔力を、魔法陣を使うことで転移魔法使い一人に負担させずに済むと言うのが大きいそうだ。敷設する魔法陣によっては周囲に漂う魔力を転移のために使ったり、転移する者から魔力を回収する物もある。もっと言ってしまえば、一度魔法陣を敷設することで転移魔法使い自身がいなくても起動する物まである。まあ個人的な話をするなら以前覚えていた『テレポート』、魔将の一人である色欲(ラスト)が使っていた渦を使う転移魔法と例外にあたる転移魔法の方が身近だったりするが、あの女性もその例外にあたる人物だったということだ。


 彼女が転移に使用する触媒は宝石だった。種類や宝石に施された細工によって転移できる規模などが変わるらしく、魔王軍によって改造されたことで元にした触媒の限界を超えて大量のモンスターたちをそれぞれの場所に転移させていたのではないかと推定された。

 彼女がその転移魔法を使う時には触媒となった宝石は砕け散るとされていたため対処はすぐには不要と思われていたが、戦場でこっそりと宝石を拾って懐にしまっていたエルフがいることがわかり状況は一変した。

 エルフの兵士たちは『ヤカリ森国』が定めている軍の規則で戦争時に回収した諸々のアイテムや武具についての取り扱いは決められている。今回のような宝石であれば強制的に国が買い取りという形になるそうだ。敵が落とした物だとしても軍として討伐した相手だし個人の取得物として扱うわけにはいかず、拾った人の物にしてよいと言ってしまえば、戦闘を他人に任せて死体から売れそうな物を回収しだす者も出る。所属が違うため、冒険者たちにまで適用できるわけではないから0にはできないが、兵士までそういう動きをとりだすと前線が崩壊する恐れもある。そのための規則とのことだ。

 ちなみにそれが発覚したのはそいつが休憩の時に他のエルフと戦争が終わったらそれを売っていいアクセサリーでも買おうかなとか話していたらしい。そしてそれが上官の耳に入ったと。バカじゃないかな?


 いずれにせよ、一つの戦場で使われた後崩れずに残ったか、あるいはまだ使われていなかった転移用の宝石が見つかってしまった以上、他の戦場でも同じである可能性は高く、その確認、あるいは既に崩れていることを確認しなければ油断したタイミングで再び大量のモンスターが展開されかねない。

 逆に言えば、その宝石さえすべて取り除くことができれば、追加の敵が転移してくることはなくなる。なので、戦場から逃げ出し、現在進行形でこのあたりの生態系を乱している多くのモンスターたちの対処だけで戦争の終結を宣言できるようになるとも言っていた。


 転移に使うと思われる宝石探しは一部の里長も参加しており、俺がエンシェントエルフ様の下へ向かうのにお世話になっているここの里の里長も参加している一人だった。ここ数日エンシェントエルフ様の下へ行けないのはそれが理由だ。

 今回の戦争で発生した2つのやらかしは、現場に任せずに幹部クラスとも言える里長達も動かすに足るものであるとの判断を下す結果となった。冒険者への差別とも言える無茶苦茶な采配に、規則を無視した物資の着服。細かいことになれば報告が途中で潰されたものも含めていくつもあったとのこと。今回のような規模の戦争などは若いエルフたちは経験したことがなく、それによる緊張や恐怖からくる精神異常によって起きてしまったミスはまだ許容の範囲と考えていたそうだが、今回はその範囲を超えてしまった。申し訳ないが戦争終了宣言がされるまではこないでくれと伝えてきた目の下に深い隈を作った里長が外部の人間である俺に訓練の厳しさを上げなくてはと愚痴をこぼす程度にはやばいらしい。


 下手に森に入ることもできず、冒険者ギルドの訓練所は同じような境遇の冒険者たちであふれかえる。戦争で大いに暴れまわり、一部の冒険者から半ば信者と呼んでもいいのではないかと思う程度には尊敬のまなざしを集めてしまうことになった俺が同じ場所でしっかりとした訓練をすることもできなかった。遠い目をしたクリステラ卿の来訪や、新しい龍の素材がないかとおねだりに来たエルメラさんの突撃などは会ったものの、結局宿でアイテムボックスの整理や昼寝、ヒメと黄龍(おちびーず)で遊ぶといったあまりにも平和な数日間を過ごしていた。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40

 上級獣人Lv18/30   魔人  Lv15/20 

 探究者 Lv42/99   狙撃王 Lv15/90

 上級薬師Lv10/80    上級龍人Lv4/30

 死霊術師Lv24/100   アーマーナイトLv1/99

 剣闘騎士Lv1/99

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100

 上級精霊使いLv1/50』

先週はすみませんでした。気が付いたら朝になっていまして…。ぐっすりしてました。


気づけば今年もあと1週間ほど。もう1話更新できればいいなぁ…

ではまた次回

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