エンシェントエルフへの報告です1
休息と買い物とでゆったりとした三日間を過ごし、翌朝いつも通りの時間に里長の館へ向かった。
里長の館は一見すると平静を取り戻したように兵士とは思えないような人たちが入り口で列をなしていた。俺もその一番後ろに並んで自分の順番を待つ。
待っている間にも人は増え、列は長くなっていく。さすがに兵士は列に並ばずに素通りしていくが、列に並んでいるやつらの中にはそれが気にくわないといちゃもんをつけた貴族もいた。問答無用で捕縛されていった。ほんの数日前まで敵国との戦争が行われていて、その後始末や調査などで兵士が行ったり来たりしている状態なのだから、そんな兵士を止めようと言うのは場合によっては情報を伝えさせないようにしているととられてしまうのも仕方ないだろうに。
順番待ちの間に遊ぼうと小さいのを呼ぼうとしたのだがなぜか強く拒まれるようにして断られてしまった。今はでたくないという強い意志を感じる。もしかしてまた何かやらかしたのではないかと他の奴らを確認したが全員召喚はできるようだ。ゼルセとかはここで呼ぶようなことはしないが黄龍ならいいか。
「うにゅ?」
「あんまり騒ぐんじゃないぞ? 他の並んでいる人達の迷惑にもなるからな」
「はいなのだ。あむ」
出てきた瞬間に大きくとは言わないが声を上げる黄龍に注意しつつアイテムボックスからお菓子を取り出してその口元に運ぶ。お肉はほとんど補充できなかったがこの三日間で森の恵みの他にお菓子類もかなり在庫ができた。以前ならサイコロ肉一択だったがこうして時間つぶしで従魔達にあげられる程度にはあるし店を教えてくれたおばちゃんに感謝だ。
黄龍とお菓子をどちらの手に隠したのか当てる遊びをしながら時間をつぶしているとすぐに順番がやってきて館の中に案内された。直接転移陣のところに向かうわけにはいかないのでとりあえず兵士に案内されながら里長のところにやってくると当然のように大量の書類が積まれてた。里長の顔色は見るからに悪いがそれでも休んでいられないのだろう。
「こんな状態ですまない。エンシェントエルフ様の下へ向かうのだな?」
「はい。俺としてもエンシェントエルフ様に報告できていない状態なので」
「こちらから報告は上げているが君の視点からの報告も確かに必要だろうな。そういえば冒険者ギルドで報酬は受け取ったよな? 買取の金額については状況や道具の重要性も考えて多少多めにつけさせてもらったつもりだ」
「はい。受け取りましたし、あの金額で満足してます。ありがとうございました」
「この状況で痛い出費ではあるがこの戦争の一番の功労者に対しての我々の敬意だと思ってくれていい」
「ありがたく受け取っておきます」
「そうしてくれ。それでは案内しようか。少しの間留守を頼む」
「「はっ!」」
部屋に兵士二人を残して俺は里長と転移陣がある部屋に向かい、そこから一人エンシェントエルフ様の下へ転移していった。
エンシェントエルフ様の下へつくと、守護龍様のところではなく小屋の方に来てほしいと連絡がきた。エンシェントエルフ様も同じように大量の書類に囲まれているのだろうか。
指示に従い小屋の中を進んだ先でエンシェントエルフ様がいらっしゃったのは奥の部屋ではなくエルメラさんと初めて話をした部屋だった。中に入ると、里長ほどとは言わないが多少疲れた様子の見られるエンシェントエルフ様が優雅に紅茶を飲んでいるところだった。
「お疲れ様です」
「ほんとにそう。まったくあの男は面倒なことをしてくれたものです」
「セン・グーテンはやっぱりここに来たんですね。俺と戦う時にエンシェントエルフ様に勧誘を断られたと言ってましたよ」
「そもそもこの場所に私、そして多くの同胞たちを連れてきた張本人の一人だもの。森の中を単独で突っ切るのは想定外だったけれど、普通にやってこれます。でも、まさか昔のノリで私を引き込もうなんて思っていたなんてね」
「エンシェントエルフ様が変に引っかからなくて助かりました」
「それは私を舐めているの? そんな誘いにのるように見えて?」
「そんなこと思ってないですよ。それにそんな誘いにもし乗ったとしたらその瞬間に守護龍様に殺されますよね?」
俺の問いにエンシェントエルフ様は答えることなくふふふと微笑んだ。それは簡単には殺されないぞという意思表示か、わかっているなら言わんでよろしいという威圧だろうか。
あまりこのままの話を続けるべきではないと感じた俺は話を変えることにした。
「ところで、里長から子細報告は上がっていると思いますが、一応俺からも戦ったモンスターや戦場の報告と、報酬についてお願いしたいことがあるのですが何からしたらいいですか?」
「……まずはというところで、各戦場で討伐したモンスター。主に指揮官クラスと思われるモンスターたちについては死体が全て持ち去られていると報告が上がっていましたがあなたですか?」
「俺が行った戦場のオリハルコンゴーレム、阿修羅に関しては俺がもらいましたし、堕ちた精霊たちはそもそも死体が残りませんでしたし、魔人はセン・グーテンに焼き尽くされたのでないのも無理はないですが残りの戦場もなんですか?」
「種類までは報告が上がっていなかったのだけど情報の補填ができました。残りの戦場で『白き御旗』のパーティを中心とした4パーティの連合によって倒されたはずのグレイブキングエレファントがその後の後始末の中で姿を消しています。あなたならばともかくエルフの中にその巨体をしまえるほどのサイズのアイテムボックスの持ち主はいないし、倒したパーティは間違いなく死体はその場に置いてきたと証言している」
「グレイブキング……アンデッド系統のモンスターであってますか?」
「ええ。周りの死体を集めてアンデッドを生み出す厄介なモンスターだったと聞いてますね。ランクとしてはAランク超えは間違いないと」
「堕ちた精霊がいた戦場の援軍としてやってきた死霊術師を名乗るゴーストの話は聞いていますか?」
「ええ。そいつが死体を持ち帰ったと?」
「彼女について意図的にエルフたちに隠した情報があります」
「……聞きましょうか」
「その指揮官の正体について、下手に伝わると現場の混乱は間違いないと思ったので伝えませんでした。彼女と初めて会ったのはグリムの町の外にある俺たちの住んでいる屋敷なんですが、峰岸綾乃という女性の幽霊でした」
「ゴーストというのは嘘ではなかった。だけどその名前の感じからすると召喚者ですか?」
「本人もそう言っていましたし、『鑑定』でもそう出ていましたが4代目の勇者です」
俺のセリフにピクリと眉を反応させたエンシェントエルフ様。口元に手を当てて思考を巡らし、数秒後、深いため息とともに話を続けた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
予定では報告終了までで1話だったんですがちょっと長くなりそうなので区切りました。
久しぶりになんかノって書けました。戦闘がないと筆がのらないんです…
ピクミン4届いたのにティアキン楽しくて始められない…さすがにそろそろガノンのところ乗り込むか?
ではまた次回