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戦争の終結です9


 予定外の追加戦闘も終わり、今度こそ本当に戦争から解放された俺はその足で再びエルメラさんの工房に向かった。

 裏切り者たちの捕縛についてはやつらが森から抜け出してしまうまでの時間との勝負という側面があったから向こうに転移してから三時間とかからずに終わっていた。そのためエルメラさんがまだ寝ているままの可能性もある。まあそうなったらゼルセと交代でしばらく待機していよう。さすがに夜まで待つつもりはないけど。


 エルメラさんの工房にやってくるとゼルセに捕まえておいてもらった冒険者たちの姿はなく、戦闘の余波でできていた地面の凹凸も若干粗さはあるがきちんと均されて通行には支障がなさそうだった。


「お疲れさんゼルセ。どんな感じだ?」


「……がぁ」


 工房入り口の扉の前に陣取って結界をはり続けていたゼルセに声をかけた。俺がこちらに向かってきているのはわかっていたと思うがやっと来たかとばかりに結界を解除して俺の魔力に戻ってきた。その代わりというわけでもないし呼んでもいないのだが小さいの(ヒメ)が頭の上にぽとりと降ってきた。そのまま強制送還してやろうかと思ったが、まあ起きていなかった時の暇つぶしにはもってこいか。

 門番的な立ち位置になっていたゼルセがいなくなり、普通に入れるようになった工房の扉をノックして中にいるエルメラさんに軽く声をかけた。


「エルメラさん、メイです。起きてますか?」


「……おーメイさん。来たってことは戦争はもうおしまいなのかな? ゼルセ君もお帰りみたいだし」


 バタバタガシャーンと派手にありがちな音を響かせた後、何もなかったかのようにエルメラさんが話してくる。ばっちり聞こえてますよ。


「もう起きていたんですね。中に入ってもいいですか?」


「ああ、それは問題ないよー。罠も解除してあるからね」


 ゼルセがいない場合、あるいは抜かれてしまった場合の対策もばっちりだったようだ。しかし、それも解除されていると言うことで工房の中に入る。


「かう!」


 中に入った途端に目に飛び込んできた光景はすぐさまかわいらしい肉球に置き換わった。若干力加減を間違った肉球パンチが目を直撃したわけだが今だけはヒメを怒らない。むしろファインプレーだと褒めてあげよう。


「おやおやなんで目隠し? ……ああそういうことか。ごめんね、気が付いたら寝てる時以外は基本この格好なんだ。まあ見られて減るものでもないし、この森の気候はおだやかだからね。風邪の心配もフヨウラ!」


「あー、とりあえず服を着ろこの変態」


「おや、語調が崩れるほどお気に召さなかったかい? しゃべらなければおしとやかな美人鍛冶師だと一部の客からは評判なんだけどね。あ、でも襲っちゃだめだよ? 私には将来を誓い合った彼が……いないけどね!」


 あっはっはとここぞとばかりにテンション高く悪ふざけに走るエルメラさんだが、俺としてはヒメに目隠しされたままだし自身も目をつむっているから何も見えない状態はそのままだ。反応の仕様がないな。


「んー、やっぱこう、恥ずかしがってくれないとやりがいが少ないね。へいヒメちゃん、お肉を上げるからその手をどけてみないかい?」


「ヒメ、わかってるな?」


 目の前のお肉と後からやってくる罰を天秤にかけたヒメはそのまま手をどけない選択をしてくれた。そもそものファインプレーも台無しになるところだったぞ。


「まあ私も別に好き好んで裸を見せびらかしたいわけじゃないし、もしこんなところフィアーに見られたらお説教開始だよ二人とも」


「頼むから俺を巻き込むな。変態は一人で充分なんだ」


「おや、まるで身近に変態がいるかのような発言……私、気になります!」


 誰とは言わないが殴られることに快感を覚え始めていた厄介な御仁がいるからこれ以上の変態は俺の精神衛生上よろしくない。ましてこれからいろいろと武器を依頼しようと思っていてお世話になろうと思っている相手だからな。


「という冗談は置いておいて……よし。上を羽織ったからもう目を開けていいよ」


「かう」


 状況を確認しているヒメからのお許しも得たところで俺も目を開ける。既に視界から肉球は外れていて、工房内の様子が見えた。変態鍛冶師(エルメラさん)はワンピースのような服で上下を隠しており、先ほど肉球が抑え込むまでのわずかな時間に目に入ってきたパンツ一丁スタイルではなくなっていた。残念だとか思ってはいけない。ハイ。


「代金の支払いと改めて武器のお礼をと思ってきたんですがさっき寄った時は寝てらしたので。お疲れのようですし代金の支払いだけして長居せずに帰りますね。お礼はまた今度ということで」


「これはこれはご丁寧にどうも。あれだけの素材を使える機会ってのはめったにないからね。こちらも堪能させてもらいましたとも」


「そんな簡単に取れる素材ではないですしね。オーガエンペラーが出るダンジョンとかを探さないと」


「はいどうも。まあ不壊属性はきちんとついているから壊れるなんてことはないと思うけど、まだ見ぬダンジョン深くまで潜った時にその不壊を解除するモンスターが出てくるかもしれないし、何事も絶対ってわけじゃないから整備だけはしっかりやるからね」


 残りの代金の入った袋を手渡しながら会話を続ける。


「個人やそこらの武器屋にできるレベルではない感じですかね?」


「うんにゃ、本格的なメンテナンスをするとなると構造を理解している私がやった方がいいけど、軽いものなら別にそうでもないさ」


「あ、そうなんですか。何本か追加で龍素材の武器製作の依頼はするつもりでしたけどそんなに長くはいるつもりもないですからね。それは助かります」


「龍素材!? しかも何本も! あぁぁぁぁああああ受けたい、受けたいけど断らないといけないのが辛い!」


「やっぱりしばらく依頼も止めてましたし続けて俺が依頼するのはまずいですよね」


「そうじゃなくてね。守護龍様の素材で作る武具の製作に入るから多分そこまで余裕がないのよ!」


「エンシェントエルフ様から正式に依頼を出されたんですね。それは仕方ない」


「え? もらってないよ?」


 きょとんとした表情になったエルメラさんだったが、その目は獲物を目の前にした捕食者のそれとよく似ていた。


「私以外のやつに譲るはずがないじゃない。どんな手を使ってでも手に入れるから」


 この人ならエンシェントエルフ様の下へ特攻しかねないと本気で思うが、龍素材を扱った実績として俺の魔剣グラウコスの出来を見せればエンシェントエルフ様も反対はしないだろう。お礼も兼ねて次にエンシェントエルフ様のところに行った時にでも見せておこうかな。

 わずかばかりの殺意すら感じるエルメラさんの本気度に圧倒されたが、また来ることを約束して俺はエルメラさんの工房を後にした。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40

 上級獣人Lv18/30   魔人  Lv15/20 

 探究者 Lv42/99   狙撃王 Lv15/90

 上級薬師Lv10/80    上級龍人Lv4/30

 死霊術師Lv24/100   アーマーナイトLv1/99

 剣闘騎士Lv1/99

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100

 上級精霊使いLv1/50』

まだ日曜日の24時代だからセーフですね!


ではまた次回

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