戦争の終結です7
グラウコスを構えながらドラゴンゾンビ・土竜へ向かって走り出した。
元になった土竜という種類とは裏腹にその見た目はほぼワニのような目の前のドラゴンゾンビ・土竜。だがその性能としては土属性の竜であることに変わりはなく、突撃してくる俺に向かってアースニードルで攻撃を仕掛けてくる。
魔法としてのアースニードルは喰らえてもそこに付随する土自体は喰らえない以上足が止まる。それを防ぐためにも『剣閃』で土のとげを切り裂く。そしてお返しとして『ダークナックル』を放って開いた顎を上から殴りつけた。
目の前のこいつがアンデッドとである以上、痛みによるダメージや怯みはない。わずらわしいとばかりに顔をひねって殴りつけた『ダークナックル』をずらされるが足が止まったドラゴンゾンビ・土竜に向かって『ダークネスチェーン』を伸ばして地上に出ている2本の前足と体の一部に巻き付ける。
巻き付いた鎖をなんとかすべく、まだ巻き付けられていない頭だけを動かして鎖を噛みつきにくるが、わざわざ『ダークネスチェーン』にしたおかげで土竜クラスがベースのドラゴンゾンビにはそうそう簡単に噛み千切られるようなことはない。噛みつかれてさすがに操りにくくはなったが、そのまま地中に残った下半身を空中に引っ張り出した。
「でかい!」
無理矢理空中に引っ張り出したドラゴンゾンビ・土竜の姿を見て記憶にある土竜と比較したのか、単にそのサイズ感を見て言ったのか知らないがリーダーが叫ぶ。明らかにワニのその上半身に対して下半身はワニのそれとはまったくもって異なっており、どちらかというとその文字の通り土竜のそれのようだった。尻尾がないから地面からスムーズに引っ張り上げることができたのかもしれない。
「全員伏せろ! 『不死殺し』『龍殺しのブレス』」
『龍化』まではする時間はないからそのままの姿で空中のドラゴンゾンビ・土竜にむかって『龍殺しのブレス』を放つ。光ならびに聖属性を使うことができない俺が確実にアンデッドを倒すために『不死殺し』を使ったが、ドラゴンゾンビが相手だとどうなのだろうか。
やや拡散させて取りこぼしがないようにドラゴンゾンビ・土竜に放った『龍殺しのブレス』が全身を余さずにその身を焼く。多少耐えたようにも見えたがすぐにその身が崩れて中の骨が剥き出しになった。落下し始めたその骨身をそのままブレスで焼きつくす。完全に崩しきることはできないが、体の構成を維持できずに砕けたり折れた部分がばらばらとブレスの範囲から外れてこぼれていく。地面に落下してそのまま粉々に砕ける破片も多いな。
上半身は完全に砕け散り、太い木を丸のみしていたあの大きな顎は見る影もない。一方で下半身は俺のブレスを受けて尚その身が果てずに地面に落ちた。手足がもげているためそのまますぐに動き出すようなことはないが、周囲の地面に砲身のようなものを作り始めていた。どんな魔法かわからないがその砲身は俺ではなく檻に向いており、あくまでも檻の中にいる裏切り者たちの始末が優先事項なのだろうな。
「『黒槍の雨』『グラビティプレス』」
すぐにもう一発ブレスを撃つことはできず、やむなく砲身を狙って上から押さえつける形で攻撃を防ぐ。すべての砲身が潰れたことで向こうの攻撃は失敗したようで諦めてもぞもぞとその身を檻の方に向けて動かし始めた。再生はできないようだが無理矢理体の一部を足のようにして動こうとしているようだ。アンデッドで痛みがないというのはわかっているがなんでもありかこいつ。
だが、砲身を潰しているうちに俺の方も準備が整った。地面に潜っていないのであればそのまま放っても問題あるまい。
「『不死殺し』『龍殺しのブレス』」
多少射線上にある木々をなぎ倒すことになってしまうがお構いなしに『龍殺しのブレス』を放つ。地面に体を逃がす可能性もある以上多少削るくらいでちょうどいい。
拡散の範囲を狭めて威力を増したブレスが残っていたドラゴンゾンビの下半身を焼き尽くす。空中で上半身がそうなったように下半身の肉も2つのスキルの力が働いてどんどん消えていった。骨もバラバラと崩れ、間違ってもそれが集まってスケルトンドラゴンとかそんな形で復活しないように念入りに骨を焼き砕く。
ブレスを続けること10秒程。その身から肉は消え去り、あたりにはプスプスと焼け焦げて砕けた骨が散乱していた。
『職業:聖魔??の勇者Lv25になりました。
精霊使いLvMAXになりました。
舞闘家LvMAXになりました。
大鬼人Lv26になりました。
上級獣人Lv18になりました。
魔人Lv15になりました。
探究者Lv42になりました。
狙撃王Lv15になりました。
上級薬師Lv10になりました。
上級龍人Lv4になりました。
死霊術師Lv24になりました。 』
『精霊使い、舞闘家がLvMAXになったのでアーマーナイト、剣闘騎士を有効化します。
職業:上級精霊使いになりました。 』
『スキル:聖属性強化Lv1 精霊眼 強化の舞(守) 調薬成功確定(初級) 死霊認識 骨死体操作Lv2 死霊操作Lv1 を習得しました。
スキル:オーガスキンLv2 獣進化(虎)Lv8 魔人化Lv2 魔力消耗軽減(弱)Lv2 消耗軽減(弱)Lv2 調薬成功率上昇80% 遠距離攻撃力上昇Lv5 を習得しました。 』
『スキル:調薬成功率上昇80%が調薬成功確定(初級)に吸収されました。 』
『スキル:聖属性強化が消滅しました。 』
『称号:精霊の友 になりました。 』
『報告:精霊眼が『喰らう瞳』に吸収されました。効果はそのまま使用可能です。 』
ドラゴンゾンビ・土竜を倒したタイミングでレベルが一気に上がった。セン・グーテンを追い払ったタイミングで上がってくれてもおかしくなかったが、謎の判断基準ではこのタイミングが戦闘の終了となったのだろう。今になって考えてみればもしかしてゼルセがエルメラさんを守るために戦い始めたのがそのタイミングだったのだろうか? それならこのタイミングも納得は……できないな。
「お、おい、どうしたんだ!? あの化物を倒したと思ったら突然立ち尽くして」
「あ、ああすまん。レベルが上がって手に入ったスキルの情報が多くてちょっとな」
そんなぼけーっとしていたかなと思ったが手に入れたスキルのうちの一つによって結構大きな変化があったからそれで時間の感覚がずれていたのかもしれない。とりあえずオフにさせてもらおう。
精霊使いの職業がレベルMAXになったことによって手に入った新スキル『精霊眼』。既に『喰らう瞳』によって吸収されたものの、効果としては問題なく発揮され、俺は精霊を見ることができるようになった。そのせいで視界のあちこちに飛び交う小さい精霊たちがものすごく気になって仕方がない。まあ精霊使いの職業レベルが上がる時に覚えた各種属性の精霊魔法を使うためにはこの『精霊眼』で見えていた方がかなり有利にはなるんだろうけど、使うつもりがなければ目障りでしかないな。
「そ、そうか。まああんなドラゴンゾンビのような強敵を倒したんだから無理もないか。でもあなたのおかげで生きて任務を達成できそうだ」
「俺も生きて帰れそうでよかったよ。たしか先に檻を転移させるんだよな? その間に回収できそうな部分を回収してきたい」
「ほんとならその素材もあいつらに関係ありそうだから買取となるはずなんだろうがさすがに倒したモンスターの素材、しかも竜が元になったドラゴンとなればな」
「残念ながらあんまりなさそうだけどな」
竜どころか龍の素材ですらまだアイテムボックスの中に余っているとは言えないな。まあドラゴンゾンビの素材はないから回収して、使えなさそうなら喰ってしまおう。
俺は檻から離れてまだ回収できそうな部分を集めるべく、ドラゴンゾンビ・土竜の死体の方にむかった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40)舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 大鬼人 Lv26/40
上級獣人Lv18/30 魔人 Lv15/20
探究者 Lv42/99 狙撃王 Lv15/90
上級薬師Lv10/80 上級龍人Lv4/30
死霊術師Lv24/100 アーマーナイトLv1/99
剣闘騎士Lv1/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
先週はすみませんでした。いまだに何ですが鼻水が収まらない…天気も気温も気圧も日勤夜勤もぐちゃぐちゃでそりゃ治らないよなぁ…
来週は日曜日夜勤なので土曜に投稿できればいいなぁ…
ではまた次回




