戦争の終結です5
案内のエルフに連れられてやってきた部屋で待機していた魔法使いとともに森の外れの方まで転移してきた。これまでの転移とは違い、特に小屋が設けられているとかそういうわけでもなく普通に森の中だった。
「ここから今度はパーティのところに跳びますので」
『探知』には既に斥候チームとこれから捕まえるターゲットである裏切り者たちと思わしき集団の反応があった。ばれてないと思われているのか、それともばらけて逃げるという発想がないのか、両者の距離はつかず離れずの状態を保ったまま少しずつ移動している。
「多分行ったらすぐにでも仕掛けると思うが魔力は大丈夫か?」
「すぐ飲めるように魔力回復薬は用意していますので。それより、ここでもそれなりに距離は離れていますが向こうも魔法に精通したエルフがいます。もしかしたらこの転移もばれている可能性もあります。十分に注意を」
腰に下げていたグラウコスを手に持ち直して魔法使いの手を取る。するとすぐに魔法を唱え始めた。
転移してくるとすぐに斥候チームの一人から剣先を向けられた。
「ストップ。援軍です」
魔法使いの言葉ですぐに剣を下げて周囲の警戒に戻る。こうした追跡には慣れているのか残りのメンバーは援軍が来たことによってすぐに攻撃に移れるように装備を整えていた。
「今のところターゲットはばらけていない。ロッドは2人連れて左から前方にかけて、ハストは右から逃げないように進路を潰してくれ。えっと、あなたは私と先行して右寄りから」
「メイだ。了解した。『ダークチェーン』をメインに攻めるつもりだが問題ないか?」
「ばらけ具合にもよるができればエルフ2人を優先して捕まえてほしい。情報は頭に入ってますよね?」
「檻を壊しうるやつだと聞いているよ。冒険者はまとめて捕まえられるなら狙ってみる」
「そっちを狙った結果エルフを逃がす方がまずいからそれでお願いします。フェルト、飲み終わったら逃れたやつを足止めできるように魔法の準備を」
「了解」
「では散」
リーダーが各人に指示を出してすぐに動き出す。俺もああ言った手前『ダークチェーン』で全体の拘束を狙うが相手がどこまで暴れてくるかによるな。
できれば他の攻撃手段を使わずに済むと助かるが、セン・グーテンは魔人の死体に近づいた相手を仕留めるように自分が転移できるようにしていたほどだ。情報源となった人間が捕まるとなった時にそう簡単に捕まえさせてくれるとは思えない。まあ連れ帰るよりは殺しきる方に全振りしているだろうが。ただでさえ『ヤカリ森国』を一度裏切って『アーディア』側についたやつらだ。こちらとしては容赦する必要もなく、向こうとしてはまた裏切って少しであっても情報を漏らされては仕方がない。普通に考えれば爆弾か、ミラの町で捕まえたやつのように寄生型のモンスターが仕掛けられていることだろう。
左右から逃走経路を潰すために動き出した4人に遅れて俺たちも動き出した。
転移で一緒にやってきた魔法使いはともかく、リーダーの人は鎖付きの大鎌という捕縛に向いているのか向いていないのか微妙な感じの武器を構えていた。さすがに捕縛相手に鎌を振り下ろすと言うことはないだろうが森の中で戦いにくくないのだろうか。
そんなことを考えながら走っているとようやく裏切り者の一団を視界に捉えた。さすがに俺たちの追跡には気が付いていたらしく、例の魔法の得意なエルフがこちらに向けて杖を構え、冒険者たちは腰が引けながらもこちらに武器を構えていた。
「仕掛けてくるぞ! 気をつけろ!」
ばれているなら遠慮する必要はないとリーダーの人が叫ぶと同時にエルフから炎の弾丸がばらまかれた。すぐに『魔力盾』を数枚前面に出して『シールドバッシュ』で炎の弾丸を防ぐ。
炎の弾丸をすべて受け止めても盾自体を壊されるほどの威力はなかったので、そのまま『魔力盾』を向かわせるとエルフたちの盾となるように冒険者たちが割り込んだ。
「重突撃!」
「スマッシュスロー!」
二人の攻撃がそれぞれ盾にひびを入れた。そして彼らに直撃した衝撃で2枚の盾が砕けた。
「何をやっているのだ。クエイクブロック」
盾に吹き飛ばされた2人は放置し、まだ向かってくる盾を防ぐために地面から土の塊を浮き上がらせてきた。土の塊に残った盾がめり込み、貫通することなく盾も消え去った。工兵として働かされるために覚えさせられたのだろうか。
「スナイプアロー!」
残った冒険者から弓矢が飛んでくる。そちらにも盾をと思ったらリーダーの人がするりと前に出て大鎌で弓矢を切り裂いて防いだ。牽制の意味合いが強かったのか連射してくるようなことはなく、土の塊が崩れると盾に弾かれてそのまま気絶した冒険者二人を見捨ててエルフたちとともに逃げ出していた。
「フェルト、あの二人を縛ってくれ。我々は逃げた三人を」
リーダーの人の言葉に従ってエルフたちを追う。『スピードエンチャント』をかけて距離を詰める。そしてそろそろ射程範囲だろうと手元に『ダークチェーン』を生み出した。
「私はこんなところで死ぬわけにはいかん。ええい捕まってたまるか! これでもくらえ!」
文官だったからか動きが鈍く、他二人と若干距離が開きつつあったエルフがこちらにボール状の物体を投げてきた。爆弾かとすぐに『鑑定』をかけてみると煙玉という魔道具だった。衝撃を受けると大量の煙をまき散らすようで、こちらの視界を奪って逃げる時間を稼ぐ魂胆だろう。エルフたちの倉庫かどこかから盗み出した物か?
「『ダークハンド』」
『ダークチェーン』を伸ばす前に影の手で優しく煙玉を受け止める。そして手元まで引き寄せてから握りつぶすふりをして瞳で喰らった。
『スキル:スモークLv1を習得しました。』
任意に煙を発生させるスキルだろうか。これを使ってから影系統の魔法で隠れるとか有効そうだな。頼みの綱にしていた煙玉が俺にパクられてしまったからか唖然として足を止めてしまったエルフに向かって『ダークチェーン』を伸ばす。慌てて再び逃げようとするも鎖からは逃れられずにミノムシが一匹出来上がった。
捕まったエルフには見向きもせずに逃げる二人だが、そこに横合いから弓矢が放たれた。左右から迫っていた残りのメンバーたちだ。
「くそ!」
なんとかその攻撃を防ぐ2人だが、足が緩んだことで俺の『ダークチェーン』の餌食となる。すぐにミノムシとはいかなかったがその足を絡めとることで動きを封じた。持っていた矢を鎖に突き立てようとしてきた冒険者の腕を体にぐるぐる巻きにしてそれを防ぐ。もう一人のエルフも魔法を唱えようとしていたので鎖を引っ張って体勢を崩した。
ぐしゃりと顔から地面に倒れ、鼻血を流しながら起き上がるエルフは最終手段とばかりに懐から煙玉とは別のボールを取り出した。
「逃げられぬと判断したらば使えと言われていたが、これにかけるしかない!」
地面に叩きつけようとしたところで『ダークチェーン』とは異なる鎖が腕を打ちつけた。痛みでポロリと手からこぼれたそのボールを『ダークハンド』で地面に落ちないように受け止める。今度は爆裂球という魔道具だった。やはり死なばもろともと言ったところか。
絶望の表情を浮かべていたエルフも『ダークチェーン』でぐるぐる巻きにして動けないようにする。気絶二人に、ミノムシが三人。まだ檻で魔力を吸いつくしていないから安心はできないが、ひとまず拘束することには成功したのだった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40
舞闘家 Lv69/70 大鬼人 Lv24/40
上級獣人Lv17/30 魔人 Lv14/20
探究者 Lv34/99 狙撃王 Lv7/90
上級薬師Lv4/80 上級龍人Lv1/30
死霊術師Lv1/100
非有効職業
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100』
鼻水が全然止まってくれませぬ…そのせいで遅れたと言うことで一つ。
ではまた次回