戦争の終結です3
里長の館にやってきて、門番をしていた兵士にエルメラさんの工房を襲撃していた連中のことを伝えた。するとすぐに人を送ると約束してくれた。戦場からはぐれたモンスターの対処の他にも火事場泥棒が出る可能性は十分あったし、それに備えて控えていた兵士がいるらしい。
里長から話はされていたようで俺は館の中に通され、そのまま里長のところに向かうことになった。
里長の元へやってくると、初めにやってきた時のように何人ものエルフが各地と連絡を取りながら広げられた地図やメモに情報をまとめていた。とにかくすばやく正確な情報をという最初の時ほどの緊張感はないようにも見えるが、わかったことを漏れなく正確にという別の緊張が生まれているようだった。
「報告は来ている。大活躍だったみたいだな」
「どうも。我ながらエンシェントエルフ様からの指示以上の働きはできたんじゃないかなと」
「2つの戦場でモンスターの殲滅に加えて4つの戦場で指揮官級の存在の討伐とその補佐。エンシェントエルフ様からの指示がそもそも何だったのかは詳しく聞いていないがこれで足りないということはないだろうな」
里長はすぐ近くにあった書類を手に取ってそれを読み上げるように話す。ニヤニヤとした表情を浮かべてはいるが若干ひきつったような笑みだ。これだけの戦果の報告が信じられないという思いとエンシェントエルフ様直々に特別扱いをして指令を与えられるほどの冒険者ならば納得できるといった思いが拮抗しているのだろう。
「そう思いたいですよ。それで、褒めるために呼ばれたわけじゃないですよね?」
俺の問いに里長はうなずきながら机の引き出しから封筒を取り出した。
「同じ国に仕える者としてヘック、あの馬鹿者が失礼なことをして本当にすまなかった。被害を受けた冒険者の代表として『鬼の斧』のパルプと代表のハイエルフが話をさせてもらい謝罪は行い、意見を募った。その結果も踏まえてあいつに下された処罰が書いてある。エンシェントエルフ様直々の判断だ。もしも被害を受けた側として足りないと思うのであれば言ってくれ。すべて言われた通りにとはできないが多少反映できるものがあるかもしれない」
あの指揮官、ヘックという名前だったらしいがあいつが言っていたことも戦争が終わった今としてはなんとなくわかるところもあった。俺たち冒険者が戦争がひと段落ついたと判断されたところで撤退していくのに対してエルフの兵士たちは残って警戒、警護に当たっていた。
もちろん冒険者も全員が全員解散したわけではない。転移魔法を使える魔法使いたちや『白き御旗』のように回復魔法の使える冒険者たちが怪我人の治療にあたっていたり、索敵の得意な魔法使いや斥候を生業とする冒険者たちが戦場からはぐれた個体や別口で動いている集団がいないかどうかを探る役目に従事していたりする。それでも絶対数としては全然と言ったところだろう。
しかし、だからと言って冒険者を明らかに使い潰すような采配を許すことができるかというのは別問題だ。他の戦場のことを考えてもエルフの消耗を抑えながらも冒険者の被害を減らすことは別にできたはずだ。俺が戦場に向かった時にも冒険者の部隊を生贄にしていたが、あいつの言葉を聞く限りだと戦略の都合でやむを得ずにやっているというわけでもなく単に自分に意見した冒険者への腹いせだった。あいつがどうなろうが同情の余地はない。
「あの場の冒険者を率いていたやつだったか? あいつが納得しているのなら俺としてはむかつく演説で時間をつぶされたことと弓で射られたくらいだから特に要望はないですよ」
「弓で射られたってのは報告になかったな……すまない」
「まあ少しも効かなかったんで。って、死刑か」
先ほどの話にあったハイエルフの代表者による謝罪も決まった内容の一つだが、あの戦場へ参加していた冒険者たちとそのパーティメンバーへ特別手当の支給に被害を受けた冒険者の所属ギルドへの特別手当の支給などの金銭的な補償に加えて指揮官補佐として参加していたエルフへの強制労働と降格相当の処罰。そして最後にあの指揮官のエルフの死刑があの件への対処として書かれていた。
「俺としてはこの内容で何も文句はないですね」
「そうか。であればそのままでと報告を上げておく。おい」
里長から指示を受けた別のエルフが俺から封筒を受け取って部屋から出ていった。別の部屋でエンシェントエルフ様へおそらく他の里長かハイエルフを経由して報告をしに行ったのだろう。
「それで、俺への要件は以上ですか?」
「いや、あいつが下手なことを考えて逃げ出したりしないうちに終わらせるには早めにやっておいた方がいいのは間違いないが今のはついでみたいなもの。ここからが本題だ」
里長の指示で書類を抱えて控えていたエルフがすぐに俺に一枚の書類を渡した。そこには3人の冒険者と2人のエルフの情報が記載されている。
「ヘックのやつは冒険者ギルドとエルフ、というか『ヤカリ森国』としての関係をぶち壊しかねない話だったが、こいつは人類への裏切り者についてだ」
「俺も魔族と通じているとか責められましたが本当にいたんですね」
「残念ながらな。こいつらは今冒険者の斥候チームが追跡してる」
「追跡ですか……」
「ああ。言いたいことはわかるよな?」
「それはどちらとしての話ですか?」
「客人じゃなく冒険者への依頼だ。疲弊しきっていて動ける者も少ないが、斥候チームと合流してこの裏切り者たちを捕縛に協力してほしい」
もう少しだけこの戦争はまだ終われないようだった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40
舞闘家 Lv69/70 大鬼人 Lv24/40
上級獣人Lv17/30 魔人 Lv14/20
探究者 Lv34/99 狙撃王 Lv7/90
上級薬師Lv4/80 上級龍人Lv1/30
死霊術師Lv1/100
非有効職業
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100』
GWも終わってしまいましたね。また忙しい日々が始まる…ガンバルゾイ!
ではまた次回