戦争の終結です1
『エアロブレス』を放って土煙をかき消してセン・グーテンの姿を探すがもうそこには誰もいなかった。『探知』にも誰も引っかからないが、この直前に不自然なほどの魔力の高まりを感知できたことを考えるとあの渦によるものかどうかはわからないが転移で逃げたのだろう。器用なやつ、というかあの転移魔法使いが器用なやつだ。おそらくあの渦使いなのだろうが。
『探知』にはこれ以上敵も感知できず、離れたところで見えているエルフたちにも既に戦闘の気配は見られない。一応戦場ではあると言うこともあるのでアイテムボックスにしまうまではしないがグラウコスの強化は解除した。先ほどのセン・グーテンの攻撃を受けても刃こぼれ一つしていないが、もしもあれを今アイテムボックスに眠っている量産品で受けていたらと思うと思わず握る手に力が入る。その直前に『一刀両断』のような高火力のスキルを使ったわけではなさそうな、速さを重視した振り下ろしでカルムの持つ剣ごと切り裂いたのを見ていただけに余計にそう思ってしまった。
わずかばかりの期待を込めて燃やされた魔人の死体の元へ向かってみたが、魔人の死体は骨の欠片一つ残らずに燃え尽き、俺とセン・グーテンの戦いの余波で生じた風、そして最後の俺の『エアロブレス』の影響もあるのだろうが灰はかなり広範囲にばらまかれてしまい、もはや『鑑定』をすることもできないありさまだ。少しでも回収できればと思ったがこれではな。
俺がエルフたちの元へ戻った時にはカルムはもう転移で戻っているようでその姿は見当たらなかった。ある程度の血止めはしていたのだろうが、それでも抑えきれなかった血があたりに零れ落ちていた。失血死とかしてないよね?
「お疲れ様です。その、魔人は?」
「残念ながら燃やし尽くされて回収できなかった。その燃やした張本人にも逃げられたよ。申し訳ない」
「ああ、いえ、あれが相手となればが仕方がないのかなと」
あの魔人の相手を任される少数精鋭の一人であればこそセン・グーテンの強さというところをカルムや俺のように直接向けられたわけではなくても十二分に理解できていたようだ。実際にあいつのことを言葉に出したことによってあの威圧を思い出したのかわずかに体が震え始め、揺れた軽鎧がかちゃりと触れる音で自分の状態に気が付き、体の震えを止めていた。
「一応、この最後の戦場の敵も倒しきったということでいいのか? もし残っているなら『龍化』して飛んでいくが」
「それには及びません。攻め込んできていたモンスターたちはある程度同種のモンスターであれば上位種が率いているみたいですが、それらを一括りにして全体を統率するというようなことはもうできていないようです。頭の悪いモンスターたちの一部は仲間割れを始めている者もいるそうですね」
「追撃のチャンスってことか」
「もう始めていますよ。各戦場に最低限の人数を残してほとんどがここに集まっていますし、これで最後ともなれば功を求めて一体でも多く倒したいと張りきる冒険者もいるとかいないとか」
「あー……。強敵がいるならそいつを狩りに行くのもありかと思ったが、やめておいた方がよさそうだな。俺は今度こそ少し休ませてもらおうと思うが他の奴らを待った方がいいか?」
「そうですね。つい先ほど転移で戻っていったところですのでできればお待ちいただければ。遊撃に動いていた冒険者たちが戻ってきたらまとまって転移していただけますので」
この戦争に参加しているエルフたちのような国に仕えるやつらも当然この戦争で上げた功績に応じた褒賞はあるんだろうが、冒険者の場合はそこに加えて冒険者ギルドからの評価というボーナスも発生してくるという事情がある。
そもそも強制徴収による参加であろうと志願しての参加であろうとこの戦争に参加した冒険者たちには国から冒険者ギルドを通じてお礼が支払われる。町や村単位の防衛戦とかでもタダ働きということにはならない。通常ならば。しかし、以前ユウカに聞いた話だと相手や配属される場所などにもよってくるのだろうが、このお礼が苦労に見合う額になると言うことはほとんどありえないことだ。戦争の規模が大きければ大きいほど参加する冒険者の数も増えてくるし、被害者を受けた民に対してもある程度の補填をしないといけない。さらには壊された柵や塀の修繕費、消費した薬や弓矢などの消耗品を補充も考えるととてもではないが国としても大金を渡すことはできない。
しかし、報酬が少ないからと冒険者が戦争からバックレたり戦いに参加しないなどということがあれば冒険者ギルドとしてはメンツがたたないし、それがきっかけの一つとして万が一にも負けるようなことがあれば元も子もない。そこで冒険者ギルドとして冒険者に提示しているのがこのボーナスというわけだ。さすがに無条件に全員のランクを上げるというわけにはいかないが、ランクを上げるための試験を受けやすくなったり、参加したのがギルド単位であればそのギルドにおいしい指名依頼を回したりすることもあれば単純に礼金に冒険者ギルドが上乗せして渡すというケースもある。
ただし、ランクを上げると言う点では例外が1つだけ存在していた。
国に、あるいは冒険者ギルドに他を圧倒する強者であると認められた冒険者、Sランクだ。
『魔法学園』、『白き御旗』のギルドマスターたちのように己の武勲だけでもってSランクに上り詰めたわけではない人もいるそうだが、Sランク冒険者たちの大半はなんらかの偉業を成したとされる人たちだ。その中でも会ったことはないが最強と名高い『赤の軍団』のギルドマスターに『小さな英雄』とよばれるロイド・マクレディオ、そして比較的接点の多い『金の軍団』ギルドマスター、ゴールドさんの3人は戦争の中で名を挙げたことでSランクと認められたと聞いている。冒険者ギルドに徴収された冒険者ではなく、エンシェントエルフ様の客人という立場でこの戦争に参加していることになっている俺には関係がない話だろう。エンシェントエルフ様にはグリムの町に戻るためにいろいろお願いするつもりだが。
それから10分程度その場で待っていると転移で戻る冒険者たちが集まってきた。この辺りで戦っていた人たちや魔人との戦いに他のモンスターたちがやってこないようにしていた冒険者たちなど2~30人くらいだろうか。エルフの兵士たちは怪我人や疲弊してしきっている兵士を除いて各戦場に再び敵が攻めてこないかどうかを見張ったり、戦場からはぐれたりして村などに向かってしまった個体がいないかどうか見回りをしたりと仕事が残っているそうだ。がんばってくれ。
そして俺は周りの冒険者たちと共に先ほどここに向かうために訪れた本部へ転移することになった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40
舞闘家 Lv69/70 大鬼人 Lv24/40
上級獣人Lv17/30 魔人 Lv14/20
探究者 Lv34/99 狙撃王 Lv7/90
上級薬師Lv4/80 上級龍人Lv1/30
死霊術師Lv1/100
非有効職業
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100』
先週は投稿できずすみませんでした。土曜夜勤で日曜に選挙も行って小説も書いてとか今の自分には無理でした…。起きていられなかったよ…
早い方は1,2も休みでもうGWの連休が始まっているんでしょうか?自分は3からですね。一応通常の日曜更新+1回更新できればと思っていますがなんだかんだと通常更新だけになりそう…(メソラシ)
ではまた次回