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戦場の魔人です4


「離れよ!」


 向かってくるセン・グーテンに対してグラウコスを構えようとしたところでカルムの叫びが響いた。即座にその場から大きく飛びのき、自身へのエンチャントをかけなおす。


「一刀居合・刀重」


「居合か。うむ、よく練られたいい気だな! やはり龍人(ドラゴニュート)という人種は一つに特化することで他の人種をはるかに凌駕する能力を発揮する」


 セン・グーテンから発せられた圧に大量に汗をかいていたカルムも、居合の構えをとってからは瞬き一つせずただただ目の前の相手を見定めていた。一方でそれを見るセン・グーテンの声色からは喜びの感情が感じられた。ただ、それでいて発する圧は変えず、歩くペースも一切変えない。腰に下げていた剣を抜いて上段に構え、そのままゆっくりと近づいていく。そしてついにその時がきた。

 セン・グーテンが一歩を踏み出した瞬間にカルムが動き出す。射程に入ってきたセン・グーテンに向かって剣を放つ。先ほどの踏み込んで大きく移動するタイプの居合とは異なり、向かってきた相手をその場で迎え撃つための居合スキル。だが、その剣が相手を切り裂くことはなかった。


「っ!?」


 後から動き出したセン・グーテンの剣が振り下ろされて剣とその腕を切り落とした。渾身の一振りで傷をつけるどころかその剣を届かせることすらできなかったことに驚愕し、スキル後に発生してしまった硬直によってその場に釘付けになる。


「『剣閃』」


 振り下ろした剣を振り上げようとするセン・グーテンに向かって斬撃を飛ばした。『ためる』で威力を高めたおかげで地面を切り裂きながらセン・グーテンに向かう。無視できない威力に達してくれていたからかセン・グーテンはその場から後ろに飛びのいた。

 斬撃がセン・グーテンのいた場所を通り過ぎた後、スキルの硬直が解けたカルムが切り落とされた腕を掴んでセン・グーテンから距離をとるように動く。どくどくと切られた断面から血が零れ、カルムが通った後を血の道ができ上がっていた。ある程度離れたところで切られた側の腕の袖をちぎって腕を縛り上げ血を止めている。ある程度は回復もできるんだろうが切り落とされた腕をつなぐほどの回復はできないのだろう。


「すまん」


「いえ、下がって腕を治してもらってください。あいつの腕を考えれば切断面はきれいだと思います」


「無念だ」


 カルムは悔しさからか半分だけになった剣を地面に突き立ててその場を後にする。


「自身の間合いをきちんと把握しておるのはよい。だがいかんせん早さが足りないな。居合とは目に見えぬ、捉えられぬからこそその真価を発揮するもの。なんなら憤怒(ラース)の居合であれば切られたことすら気づくのが遅れることすらあるのだぞ? あれが峰打ちでなければどうなっていたことか……。まあそれを思えばスキルに頼り、その上であのスピードというのは研鑽が足りんと苦言を呈せねばならんな」


 剣についた血を剣を振るうことによる遠心力で飛ばし、ため息を吐きながら怒るように語るセン・グーテン。その怒りは何に対する怒りなのだろうか。


「さて、勝者への褒美は既に支払った。残念な結果にはなったがあれは今のSランク冒険者というわけではないのだろう? であればその者たちに期待しよう。短時間とは言え『力』を解放した憤怒(ラース)と切りあう剛の者もいると聞く。それに、お前さんもいるしな。さあ、柩のもとに帰るぞ」


「一緒にはいかねえよ。いずれヒツギは俺たちが連れ帰るけどな」


「なんだ反抗期か? 俺もそんなに暇じゃないんだぞ」


「なんでお前と一緒に行く前提になってるんだよ……。というか、勝者への褒美というのであれば俺もお前に挑む権利はあるよな?」


 周囲に『ダークネスランス』を浮かべて挑発する。グラウコスにも『ダークネスソード・纏』を使って強化済みだ。


「あー、勝者への褒美とは言ったがあれはあの魔人へトドメを刺した者という意味でな? お主と戦うことはできんのだ。別に思ったよりもメイムからのダメージが多くてこれ以上強者と戦いたくないなーとか思ってないからな?」


「『グラビティプレス』」


 セン・グーテンに重力の圧をかける。魔人は全く動けなくなったこの『グラビティプレス』ではあるが、セン・グーテン相手にはちょっと何か重くなったか? と思わせる程度にしか効果を発揮せず、明らかに先ほどの魔人よりも重装備であるはずのセン・グーテンはふーふーとへたくそな口笛を吹きながら俺から距離をとろうと後ずさる。

 周囲に浮かべていた『ダークネスランス』を一斉に発射した。下手に回り込ませたリせずにすべてを収束させてまっすぐセン・グーテンに向かわせる。飛んでくる槍をセン・グーテンは後ろに下がりながら直撃する物だけを切り捨てていく。


「『ダークハンド』『シャドウハンド』『ダークネスチェーン』」


 グラウコスを構えて走りながら拘束用に鎖と影の腕を伸ばす。追加で『ダークネスランス』を放つことも忘れない。


「セイセイセイセイシエイ! そんなに撃ったらあたってしまうだろうが!」


 うねるように剣を振るい、向かってくる大量の槍や鎖に対して空間に斬撃を置いておくという離れ業で防いでくる。先ほどの魔人のようにずっと攻撃を続けることで斬撃を盾にするわけではなく、文字通りその空間に斬撃をとどめて盾としていた。こいつの技術なのかスキルなのかはわからないが見習いたいものだ。


「一発くらい受けてくれよ『剣閃』『一刀両断』」


 空間に設置された斬撃の盾ごと掻っ切るために『一刀両断』で先ほどのこいつのように上段からグラウコスを振り下ろす。


「それは拙い。金剛不壊、半月切り!」


 セン・グーテンが足を止めて盾を貫通してきた俺の斬撃を体ごと持っていかれそうになりつつも左へ受流した。その足を止めた隙を逃さないように今度は回り込ませるようにして『ダークチェーン』を操る。だが、それもわかっていたと言わんばかりに左右に斬撃の盾が置いてあったのかある程度まで向かっていった鎖が突如として刻まれる。


「ちっ」


 さらなる足止めに『アイスレーザー』を放おうとしたところで螺旋を描きながら斬撃が飛んできた。『魔力盾』を何枚か束ねてみるも紙切れのように切り裂いてこちらに向かってくる。下手に避けたらどこまで飛んでいくかもわからないためこちらも『剣閃』で斬撃を飛ばして相殺する形で防いだ。


「鍛えているようだな。面白い。面白いぞ! もう帰るが一太刀だけ遊ばせてもらおう!」


 逃げようと下がり続けていたセン・グーテンが地面に軽くクレーターを作りながらこちらに向かって踏み込んできた。迎撃に『ダークネスランス』を飛ばすとそれを切り裂きながらこちらに突っ込んでくる。


「三日月切り!」


 剣の軌跡がまるで三日月のように見えるその攻撃を『魔宝刀』を付与して『剣閃・十』で受ける。突進の勢いも相まって縦に振り下ろす剣で感じるその攻撃の重みに押されそうになりつつも、なんとかその場に踏ん張ってセン・グーテンをはじき返した。


「はっはっは。さらさらだ!」


 弾き飛ばされたセン・グーテンは剣を地面に突き立てるとボンっと土煙を立ててその姿を隠す。『エアロブレス』で土煙をかき消すが、既にそこに姿はなかった。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40

 舞闘家 Lv69/70   大鬼人 Lv24/40

 上級獣人Lv17/30   魔人  Lv14/20 

 探究者 Lv34/99   狙撃王 Lv7/90

 上級薬師Lv4/80    上級龍人Lv1/30

 死霊術師Lv1/100

非有効職業

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100』

先週はすみませんでした。

そしてついに我が家にもコロナの魔の手が…なんとか自分は逃れてますが辛そうです。結局一度もかからなかったなー、で終わると思っていたのは内緒です。


ではまた次回

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