エルフの里の異変です22
周りのモンスターたちに『ダークネスランス』をばらまきながら、堕ちた精霊・風に向かって走り出した。手にしていた両手のハンマーは地面の中にその身を隠していた堕ちた精霊・土を地面ごとひっくり返す際に砕け散った。ただ、それほどの強化でなければ上から叩きつけて地面をひっくり返そうなどということはできなかっただろう。
『ダークネスソード』を両手に構えながら走る俺に強風で吹き上げられた大量の瓦礫が飛んでくる。味方の放つ矢や魔法の妨げになっていてもお構いなしだ。
「『ダークナックル』『ダークハンド』『シールドバッシュ』」
走りながら向かってくる瓦礫を盾と闇の手で払い除ける。最初はともかく、風によって操られているというわけではない瓦礫はあっさりと外れていくがわずかな時間とは言え視界から外れた隙に先ほどの位置から堕ちた精霊・風はいなくなっていた。だが『探知』で感じる魔力である程度の場所はわかりそうだ。
「ピキィ」
瓦礫をどけるのに使ってしまった盾の隙間から再び体が小さくなった堕ちた精霊・水が突っ込んできた。慌てて盾を動かすも空中であっても小回りが利き縦横無尽に動き回る堕ちた精霊・水の動きに間に合わなかった。
俺の周囲を取り囲む多量の盾群の内側に見事に入りこんだ堕ちた精霊・水は頬をぷっくりと膨らませていた。そしてそれが縮こまるのに合わせて口元から高速で水が放たれる。目で追いきれない攻撃に対し、なんとか心臓と頭だけは受けないように体を動かすと脇腹の辺りを水弾が貫いた。力が抜けないように踏ん張りながらもう一度攻撃を仕掛けようと頬を膨らませ始めるが、それが膨らみ切る前に、周りへの攻撃を止めて範囲を広げた『サンダーレーザー』と『アイスレーザー』でその小さな体を狙う。
広がったレーザーをなんとかよけようと動く堕ちた精霊・水を面で制圧する。早々に『アイスレーザー』がその尾びれをかすめて一部でも凍ってしまった時点で勝負はついた。
「キュウァ!」
少しでもレーザー攻撃を弱めるためか、周囲から飛んでくる魔法や弓矢に紛れて近づいてきたらしい堕ちた精霊・火が背後の盾の隙間から顔をのぞかせてブレスを吐いてきた。だが、ただのブレスであれば防御するまでもなく、その身を焦がすことなく『喰らう瞳』によって吸収される。『ブレス』は既にレベルMAXになっているからスキルが強化されることはないがダメージもない。
凍り付いて身動きが鈍ったところに『サンダーレーザー』による追い討ち、そしてさらに『アイスレーザー』を受けて凍りつくという状況に堕ちた精霊・水は耐えきれずに地面に落下し始めた。それを見てすぐに『黒槍の雨』と『黒雷』で挟み込んで背後の堕ちた精霊・火が逃げないうちにその背後にも『魔力盾』を浮かべて動きを制限する。
追加の盾による包囲網が完成し、堕ちた精霊・水が穴だらけになるのを確認したところで周囲に残るモンスターたちへの『ダークネスランス』乱射を再開し、ブレスを諦めた堕ちた精霊・火に向き合う。堕ちた精霊・土を倒した時と同じように堕ちた精霊・水を倒したことでサイズが大きくなるかと思ったが、そんなこともなく堕ちた精霊・火は目の前に浮かぶ数枚の盾越しに正拳突きの動作を見せた。その拳の延長線上にももちろん盾はあるのだが、そんなこと知らないとばかりに内側からファイアナックルの拳が飛んでくる。
『スキル:ファイアナックルLv2 を習得しました。 』
魔法である以上は俺の『喰らう瞳』の前にスキルになってしまうだけなのだが、なぜだかわずかに腹に拳がめり込むような衝撃を受けた。よろめくほどのものではないが、あの正拳突きの動きによって何か特殊な効果でも乗せているのだろうか。
時間さえ許すのであれば俺も拳に『ダークナックル・纏』をかけて至近距離での殴りあいをしたりスキルがMAXになるまで殴りあうのもいいとも思うが、それをしていられるような状況ではない。
惜しみながらも影から『ダークハンド』を伸ばして堕ちた精霊・火の手足を掴みかかる。触れたところが即座に燃え上がり闇の手から逃れようとするが何重にも巻かれるその手によって炎はだんだんと勢いを失っていく。
すがるように周りを見渡す堕ちた精霊・火だが、既にその場に残っているのは2体だけになっていた。他のモンスターたちは特殊個体とか龍種とかもいなかったために『探知』任せのノールック『ダークネスランス』の数の暴力を前に尽くが敗れ去り、最後の堕ちた精霊・風は点々と場所を変えながら何かの魔法を詠唱していた。魔法ならばいいやと放置したせいでもあるが、堕ちた精霊・水の対処を優先した結果でもある。
「『死龍のブレス』」
手足が絡み取られてその場に縫い付けられるように立ち尽くす堕ちた精霊・火から再びブレスが吐かれ、それを上からかき消すように俺の『死龍のブレス』が放たれた。わずかな時間の拮抗も許さずにその上半身をかき消して『死龍のブレス』は奥に残っていたモンスターたちの死体を焼き消した。これで残すは一体だ。
「……」
堕ちた精霊・火を倒し、最後の一体となった堕ちた精霊・風はその大きさこそ変わらない物の、魔力が大幅に上昇した。最初の堕ちた精霊・土を倒した時と比べると倍近く膨れ上がっているようにも感じるが、どうにもその膨れ上がった大量の魔力が魔法発動のトリガーとなってしまったようで、点々としながら魔法の詠唱を行っていた何カ所かの地面から光が伸びて空に魔法陣を描く。
「まあさせるわけもないが」
両足で連続して『空蹴り』をして空を駆け上がり、その魔法陣に突っ込んだ。大量に込められた魔力は効果を発揮することもなく、かといって失敗として霧散することなく、俺の『喰らう瞳』に吸収される。
『スキル:グラビティプレスLv1 を習得しました。 』
土じゃなくて風属性のお前が使うのかという驚きもありながらも大量の魔力を無駄にした堕ちた精霊・風は最後のあがきとばかりに積み上げられた瓦礫のところまで移動し、先ほどのように強風を起こしてこちらに飛ばし始めた。
魔法自体は喰らえてもそれによって引き起こされる現象は喰らえない俺にとってはこの攻撃の方が厄介だとか、瓦礫に紛れて飛んでくる赤く色塗られたような何かを見ないように現実から目をそらしながら堕ちた精霊・風を『ダークネスチェーン』で捕まえて『死龍のブレス』で消し去った。盾の隙間から飛んできた赤い液体が頬を濡らし、この地点での戦闘は終了した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40
舞闘家 Lv69/70 大鬼人 Lv24/40
上級獣人Lv17/30 魔人 Lv14/20
探究者 Lv34/99 狙撃王 Lv7/90
上級薬師Lv4/80 上級龍人Lv1/30
死霊術師Lv1/100
非有効職業
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100』
初っ端から日付を越えていくスタイル……と、投稿はしたからヨシということで。
さあ来週は夜勤がマッテルゾー(泣)
ではまた次回