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エルフの里の異変です20

後半はエルメラ視点です。ご注意ください


「ようやく来たかこの裏切り者め! 貴様が敵の魔族と通じているのだろう!」


 戦場から転移でやってきて真っ先にかけられた言葉は例のエルフの怒鳴り声だった。こちらを指差しながら大股でずかずかとやってくる。


「度重なる命令違反に挙句の果てに持ち場を離れて勝手に戦場に向かった上に、貴様が戦場を分断したせいで作戦が台無しになったのだぞ! 私が、機転を利かせて対応させなければどうなっていたことか! 前線が崩れでもしていたらどう責任をとるつもりだったのだ! 冒険者だからなどと言っては示しがつかん。貴様はこれから軍法会議にかけてくれるわ!」


 血走った眼でやかましく喚きたてて力強く宣言するこいつを無視し続けていると、俺が反省でもしていると思っているのか調子に乗ってさらにこちらに何かを喚きたてる。


「だいたい、貴様のような冒険者が1人いたところで戦場をひっくり返すことなどできるはずがないだろうが。大方敵と内通し、貴様が来たタイミングで敵を一斉に引かせてあたかも貴様が倒したかのように見せて戦場から優秀なエルフの兵士たちを遠ざける。そして愚図でのろまな冒険者どもだけになったところを隠したモンスターたちに襲わせようという算段だな。この私にあっさりと見抜かれてしまい言葉もでないか」


 どんどん妄想を語り始めるこいつに対してもう何も言うまいと一緒に来た隊長エルフを見ると、申し訳なさそうにこちらに向かってうなずく。そしてあれのもとに小走りで駆け寄るとそのまま「すぐにお伝えしないといけないことが」とか「地図を見ながらお話を」とかなんとか言いくるめながらどんどん奥の方へ連れて行った。


「メイ様、申し訳ございません。隊長の指示通りに本部との調整と転移のための人員は確保は済んでいます。こちらへ」


 頭の中で出荷の歌を歌っていると別の伝令のエルフがこちらに走ってきて、あれが下がっていったのとは別の建物を示す。彼について行くと、魔力回復ポーションを飲んで休んでいる魔法使いの女性と連絡用の水晶でどこかとやり取りを続けるエルフの二人が待っていた。

 魔法使いの女性は俺が来たとわかるとすぐにぐびぐびと瓶の中身を空にして転移魔法の準備を始めた。連絡役のエルフから話を聞くと今度の転移先は同じ中央の戦場の中でも東寄りの位置で戦闘が行われている場所の第二連絡室。開始時点から戦場は狭く、敵も数としては他の戦場よりも少ないらしいが敵の中にも上位種が多く紛れているようで押し切れないとのことだ。例の魔族が出た戦場とは別の戦場にはなるが、本部としてはそちらの戦場に少しでも多くの強者、精鋭をぶつけたいらしく、俺の到着に合わせて向かう先の戦場を一気に片付ける狙いがあるらしい。


 どうでもいいことだったかもしれないが、魔法使いの準備がまだだったこともあり、気になったのでなぜ第二連絡室なのかという疑問を投げかけると悔しそうな表情で話してくれた。

 東中央部の戦場は戦闘開始からほどなくしてウルフ系のモンスターに乗った小型、中型モンスターに前線を抜かれてしまい、その自爆特攻で初めに設けていた司令部は崩壊してしまったそうだ。その抜けてきたモンスターたちは全員仕留めたそうだが、敵がばらまいた毒の影響で指揮系統が混乱。一時は森の中まで引いて敵の進軍を遅らせながら食い止めるように戦わざるを得ないほどだったらしい。増援で送られた高ランクの冒険者たちによってなんとか押し返し、東の戦場から回された兵士たちによって安定化に成功。最後の一押しとして俺が選ばれた形だ。

 正直、話を聞く限り以前の転移の時点では明らかに劣勢だったであろう次の戦場よりも優先して送られたのが先ほどの戦場だと言うことを考えるとミスかと思わなくもないが、毒の影響で一時的に下がっていたエルフたちや増援の冒険者たちが決まっていたのであれば心配しされても仕方がないのかもしれない。何よりも上があれだったし。


「準備完了しました。移動します」


「はい」


 自身の周りに『魔力盾』を数枚展開し、そのまま次の戦場へ転移した。



-----------------------------------------------------


「んー、やっぱりこの生殺し感。こんな状態で一体あとどれくらい耐えればいいんだろうね?」


「……」


 彼が目の前に座るオーガ君、いや、ゼルセ君を置いていってどれくらいの時間が経ったかわからない。5分なのか、10分なのか、はたまた数時間が経過しているのか。目の前で私を守るために入り口に結界を貼り、無駄な消耗を避けるためなのかわからないけど静かに瞑想を続けている。

 龍の力を持ったオーガというあまりにも特殊な存在を前にしながらも私にはその素材を収集するような権利はない。というか説得も受け入れませんと言わんばかりに認めないと言い逃げされてしまったしね。

ダメもとで語り掛けてみても無言で首を横に振られてしまった。残念!


「それにしても仕方がないとはいえいつまでこうしてないといけないんだろうね。そろそろ私の鋼鉄の精神でも耐えられなくなってしまってもおかしくないと思うんだけど」


 この里が完全に制圧されるとか、この工房自体を破壊されるとかそんな緊急事態が起きない限りはここを離れるつもりはない。彼にも話したけれど呪われた物とか封印した物とかもあるしさすがに放置できないんだよね。だけどこの手の届く距離に特殊すぎる龍の力を持った存在がいて、私の方を警戒せずに無防備な状態を晒している。さっきさりげなく近づいて頬で腕を撫でていた際にも若干嫌そうな表情を浮かべていたような気がしなくもないけど払いのけることなく受け入れてくれていた。もしもあの場でこっそりと爪のかけらでも取ろうものならその場で締め上げられていただろうけどね。我々の業界ではご褒美です。

 彼の武器の研究のためにも依頼をすべて切っていたこともあってかこんな状況になってしまってできることがない。片付けもつい先日やってもらったところだしね。


「あー、素材の棚卸でもしようかな? 食料は保存食があったはずだけどゼルセ君の分を考えると何日分くらいあるか調べておきたいし。君は野菜はいける口かい?」


 研究のために必要な素材は善意の協力者()にすべて提供してもらったから手元にあった素材は使っていない。ここのところあまり自分で素材集めに行くようなことはなかったからそれほど余裕があるわけではないだろうが彼の依頼が終わった後で守護龍様からの依頼をやる前に店売り用の既製品を数本打つつもりだ。その素材が足りるかどうか見ておくのはありだね。守護龍様が依頼をするかどうかはまだ決まってないって? 知らんな。


 そうしてゼルセ君に奥にいることを伝えて倉庫に入り管理表に素材の数を記入しながら在庫を調べる。思っていたよりも魔鉄鋼の数が少ないな。買い付けておかないと。


「む、これは……」


 素材の確認もおよそ4割が済んだというところで私の耳に声にならない声とでも呼べる音が聞こえてくる。以前特殊な虫型モンスターの素材に翼竜の爪を混ぜ込んで武器を作った時以来久しく聞いていなかった私を呼ぶ声だ。


「今私を呼ぶモノなんて一つしかないよねー。戦場の様子はわからないけど、彼に危機が迫っているか、強敵との戦いが近いと言ったところかな。……うんうん。ずっと彼と共に戦ってきた相棒として、こんな後方で見ているだけなのはそんなに嫌だったかい?」


 アイテムボックスから取り出したるは折れた魔剣ステュラ。光ったりとか震えたりとか目に見えた変化があるわけではない。だけど君の声はきちんと届いているよ。


「さーて、確認は後回しだ。ほんとは担い手()の側でやってあげたかったけど、ここまで求められたのであれば答えてあげるが世の情けってね。……なんか違うかな」


 ゼルセ君に声をかけて工房に入る。魔剣ステュラを台に置き、アイテムボックスから他の素材と必要な道具をそろえていく。素材は1つ。やり直しは許されない一発勝負。


「お待たせしたね。君に新たな命を吹き込むとしようか」


 天才(変態)鍛冶師エルメラの真剣勝負の始まりだ。





どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40

 舞闘家 Lv69/70   大鬼人 Lv24/40

 上級獣人Lv17/30   魔人  Lv14/20 

 探究者 Lv34/99   狙撃王 Lv7/90

 上級薬師Lv4/80    上級龍人Lv1/30

 死霊術師Lv1/100

非有効職業

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100』

さて、2022年も残すところあと1時間となりました。なんとか間に合ったぜぃ!

まず、今年も自分の拙い作品を読んでいただきありがとうございました。ついに500話まで到達しましたがこれからも完結目指してのんびりだらだら続けていきますよー。これからもよろしくお願いします!


2023年は夜勤明けを挟みながら1月2日から8日まで夜勤で9日も休日出勤なので一発目の更新は少し遅れます。地獄の夜勤ラッシュが待っている(´;ω;`)泣


ではまた次回

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