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エルフの里の異変です19


「ちちさまー!」


「ごふゅ!?」



 勝利に沸きながらも周囲の警戒は怠らないあたり訓練されているなと思いながらもだんだんと彼らに近づくと弾丸のように黄龍が腹に突っ込んできた。数は減っているものの『魔力盾』があったはずだが器用にかいくぐってきたのか。さすが黄龍。


「おつかれさまなのだ!」


「お、おう。ありがとな。黄龍もお疲れ様」


 ぐりぐりとお腹にこすりつけながらもにゃもにゃ話す黄龍を撫でながら苦労を称える。「ふにー」と力の抜けたいい笑顔を浮かべる黄龍をひとしきり撫でまわした後でしばらく休んでもらうためにお肉の串焼きをプレゼントしてそのまま戻ってもらった。ゼルセは置いてきたし、対大軍というところではヒメよりも黄龍の方が向いているし次の戦場でも出てきてもらう可能性はあるからな。休めるところは休んでもらわなきゃ。


「おお大将! おかげで生き残ることができたよ。本当に助かった」


 盛り上がっているところに近づいていくと、最初に孤立して戦っていた部隊にいたような気がする冒険者が手をぶんぶんと振りながらこちらに駆け寄ってきた。


「大将っていうのはやめてくれ。あんたは?」


「大将に助けられた部隊の隊長をやってたパルプってもんだ。『鬼の斧』ってパーティのリーダーをやってた」


「OK、聞くつもりがないということはよーくわかった。生きているならそれが何よりだ」


 パルプと話していると彼の部隊の生き残りだと言う冒険者たちがわらわらと集まり始めてしまった。一人一人お礼を言ってくれるが全員が全員何らかの怪我を抱えており、中には片腕だったり片足だったりと欠損を抱えるやつもいる。そんな彼らに俺がかけられる言葉は思いつかなかった。


 あの部隊で戦っていた冒険者以外も集まりだし、そんな冒険者たちのお礼ラッシュに応えているうちに最初の『龍化』の状態を受けて竜の化身として崇め奉られそうにり、慌てて誤解を解こうと奮闘していると、周囲の安全を確認していたというエルフたちの部隊が戻ってきた。『探知』ではひっかからなかったし個人的にはもうモンスターはいないとわかっていたが、別に伝えていたわけではなかったし、彼らは彼らでちゃんと確認していたということだろう。

 現場に出ていたエルフたちのまとめ役だというエルフがやってきた。上があれだったこともあり少し警戒していたものの、俺の周りにいる冒険者たちからの評価というか雰囲気も普通でむしろ好印象を持っているような感じだ。


「あなたが援軍として呼ばれた冒険者か。正直なところまさか本当に援軍を呼んでいるとは思っていなかったよ。来てくれて本当に助かった」


「なんというか、あなたがまともそうだということはわかったよ」


「あぁ、あの人と会ったのか。いや、それもそうか援軍として来たのだからな。一部であのようにエルフ至上主義とも呼べる思想があると言うのは事実だが、あれがエルフの総意だとは思わないでほしい。冒険者の方々には興味がないだろうが、エルフの歴史の暗部とも呼べるところなのだ」


「最初に行った戦場の指揮官はまともないい人だった。その落差が激しい部分があってすぐに本部を出たからほとんど会話をしてなくてな。途中で無視してここに来たからあんたも何か言われるかもしれない。先に謝っておくよ。そうなったらすまない」


「さすがにあの人も勝利の立役者に対してそんな無茶苦茶なことは言わないとは思うが……」


「いざとなれば権力を使わせてもらうつもりだ。個人的にあそこに戻りたいとは思えないんだが、本部と直接連絡を取ることはできないか? 他の戦場がどうなっているかわからないし、あなたたちが周囲の確認をしてくれている間に休憩もできた。次に向かうところを確認したい。後、できれば転移できる魔法使いの手配もしてもらえれば助かるんだが」


「本部と直接の連絡は残念ながらできないが魔法使いの手配はこちらでもできるはずだ。あ、いや待ってくれ。伝令が来た」


 彼が指さした方向を見ると周りと比べて一際身軽そうな格好のエルフが素早くこちらに向かって来ていた。もたらされる情報は吉報か凶報か。


「本部より伝令! あ、えっと」


 急ぎ伝えに来たわりに口ごもった伝令のエルフはしきりに俺の方を気にしている様子だった。これだけでも言わんとしていることはわかるな。


「続けてくれ。俺は構わない」


「だそうだ。威圧などはしないであげてもらえると助かるな」


「そこのエルフに何かあるわけではないから大丈夫だ」


「で、では大丈夫な方から。西部の戦場にて敵の指揮官を撃破し、モンスターたちが一部逃走し始めたとのこと。現在掃討を開始しているそうです」


「おお! 東部、ここに続いて西部も勝利したか。残すは2ヶ所だな」


「はい。それと同時に片方の戦場で敵の総指揮官と思わしき魔族が現れたとの報告もあり、一部の高ランク冒険者とハイエルフ、エルフの部隊の中でも選抜された部隊をその戦場に移動開始しています。ここの戦場が片付いたとわかれば立て直しの後もう片方の戦場に送られることになると思われます。まだそのあたりの指示はでておりませんが」


「そうか、わかった。指示があるまで待機か。それで……まずい連絡は?」


「……すみません。指揮官よりそちらの冒険者に対して命令違反を理由とした拘束指示が出ております。命令違反を繰り返すことで現場を混乱させる狙いがあり、敵と内通している可能性がある。抵抗するのであれば殺しても構わないと」


「……くそ、あの人は何を考えているんだ?」


「はは、内通とまで言われているのか」


「その、少なくともこの戦場においてあなた様が敵と通じているなどと思っているエルフはおりません。ただ、本部からの指示となると何も動かないわけにもいかず……」


「聞かなかったことにしてしまえと言ってしまいたいがそうもいかないか?」


「私としては何も」


「拘束はしない。ですが一度本部にお連れしてもよろしいか?」


「何をしに?」


「本部との連絡がメインです。おそらく指揮官がいろいろと言ってくる可能性はありますが、私の方で説得してみます。その隙に本部と連絡をとってもらいたい。おそらく先ほど敵の総指揮官と思われる魔族がいる戦場へ行ってもらうことになるかとは思いますのでその間の時間を稼げればすぐに転移で移動してもらえるように先に連絡します。そちらの調整がつき次第私と一緒に中央本部へお願いします」


「正直あれとはもう会いたくないと言うのが本音なんだが」


「申し訳ない。だがあの人がこの戦場のトップである以上、逆らうことはできないんだ」


 顔色を青くさせながらも謝罪と苛立ちと複雑そうな気持ちを浮かべるエルフの隊長に免じて一度本部に向かうことは承諾した。何かあってもエンシェントエルフ様の権力を使わせてもらうつもりだが、できれば会う前に次の戦場へ向かえるといいな。



 むしゃくしゃする思いを抱えながらも調整がつくまで待ち、俺は隊長のエルフとともに一度あのクソ野郎がいるところに転移することになった。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40

 舞闘家 Lv69/70   大鬼人 Lv24/40

 上級獣人Lv17/30   魔人  Lv14/20 

 探究者 Lv34/99   狙撃王 Lv7/90

 上級薬師Lv4/80    上級龍人Lv1/30

 死霊術師Lv1/100

非有効職業

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100』

メリークリスマス(遅)

まあ間に合いませんでした。クリスマス記念の話というわけでもないので何ともですが。


一応年内にもう一話更新予定です!29まで仕事なのでできれば31日の23時頃かな?


ではまた次回

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