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エルフの里の異変です18

 阿修羅の持つ聖属性だろう属性の付与された盾と剣。もしかしたら光属性かもしれないが俺にとっては大きな差はない。そんな聖剣と盾を前にして俺の当初の予定は崩れ去った。弓も、あの肉の盾も存分に威力を発揮できない距離で殴り殺すつもりだったが、それは一歩間違えたら即死級のダメージを負いかねない戦いとなる。他にも戦場があり、まだこの後にも戦いが残っていると考えたらここでそんなダメージを負い、回復している時間はない。

 このまま接近して戦うわけではないため『獣化』を解除し、『魔力盾』の密度を上げる。最初は阿修羅が自身の能力で剣に魔力を帯びさせているだけだと思っていたからろくに見ていなかったが、しっかりと『鑑定』してみると背負った矢筒は補給の矢筒、弓は豪速弓、剣はキリアという聖剣、盾は白盾、杖はエルダートレントの加工杖と全装備が効果付きの物だった。聖剣キリアも白盾も光属性を纏い闇系統の魔法を無効化するという効果を持っており、対闇系統特化というなんというかモンスター側の大将がもっているにしてはそれじゃない感がある武器ではあるがもしかしたら殺した冒険者から奪ったものなのかもしれないな。先ほどの戦場の指揮官となる特異ゴーレムにはオリハルコンゴーレムがいたように、ここの指揮官である阿修羅には専用の武器をという感じで。

 効果としてはこちらの闇系統の魔法を打ち消すというところで攻撃に聖属性は乗らないようには見えるが、聖剣というだけで俺には致命的だった。さすがに俺がここにいる、というか生きているのは魔王側には伝わってないだろうし、何ならエンシェントエルフ様に止められているということもあって館にいるであろうユウカやキャラビー、同じようにどこかに飛ばされてしまっただろうマナですら知らないはずだ。なんとかこの戦争で活躍してこの国を出ることを認めてもらうか冒険者ギルド経由でもいいから手紙を届けるかしてもらおう。


 戦闘中に戦後のことを考えるという死亡フラグをたてるような真似をしたせいか、聖剣キリアから飛ばされた斬撃が射線上にあった『ダークシールド』を消し去りながらこちらに迫ってきた。左右からは肉の盾、さらに後方からは弓の援護射撃が放たれる。

 すぐに増やしていた『魔力盾』を操って向こうの攻撃にぶつけ、肉の盾には『アイスレーザー』を飛ばす。砕いた2つ目と同じように凍らせてしまうつもりだったのだが、先ほど凍らされたことで対抗策を考えたのか肉の盾は高速で回転することで迫りくるスピードは落ちたものの凍ることはないようだ。すぐに凍らせるための『アイスレーザー』から止めるために『黒雷』に切り替えて上に突き上げる。

 『アイスレーザー』で多少はスピードが落ちたとはいえそれなりのスピードで迫るため外れた一部の槍が空に消えていく。しかしそれでも多量の槍が下から突き刺さる形でボロボロと肉の盾を構成していた死体の一部を落としながらあらぬ方へ逸れていった。斬撃、弓矢と周りに浮かぶ『魔力盾』と相打ちになりながら消えていくので消えた分以上に『魔力盾』を増やす。


『スキル:魔力盾Lv2を習得しました。 』


 これだけ使っていれば当然ともいえるがスキルのレベルが上がった。初めてのレベルアップなので効果がどうなるのかはなんとも言えないが『ダークシールド』と同じと考えると盾の強度が上がってくれるのだろう。

 一度は直撃コースから逸らした肉の盾だったが、死体をぶちまけて球体がやや崩しながらも方向転換して再び俺の方に向かってきた。心なしか阿修羅の持つ杖の放つ光が強くなっている気がしなくもないが、それだけ『黒雷』の跳ね上げで操作がきつくなっているのかもしれないな。


 そんなことを考えながら向かってきた肉の盾に向かって『ダークネスハンド』と『ダークネスチェーン』を伸ばす。2種の魔法で肉の盾をぐるぐる巻きにしようとするが阿修羅の操作によって回転しているせいで弾かれてしまいなかなかうまく動きを止められない。そうしている最中にも弓矢と斬撃は飛んでくるので随時『魔力盾』は追加しているものの、このままでは無駄に時間がかかるだけだろう。

 片方の肉の盾に『ブレイクショット』を飛ばして吹き飛ばし、もう片方を集中して動きを止める。そのまま軽く砕けながら吹き飛ばされた方が戻ってくる前に、ぐるぐるにした方の肉の盾を引っ張り込みながらこちらもそれに向かって跳び、『ダークネスハンマー』に『鬼の一撃・付与』をして叩き潰した。圧縮した死体もろとも内側の硬い部分もまとめてぶち壊した。

 はじけ飛んだ死体がゴーグルで守られていない顔の下半分にあたって気持ち悪い感触を即座に『アクア』で洗い流し、飛んできた聖剣の斬撃に『ブレス』をぶつけてかき消す。そしてそのまま阿修羅に向かって『サンダーレーザー』を放つと、残った肉の盾は間に合わないと判断したのか、阿修羅は体を射線から外しながら白盾で流すように受けた。顔が三つあることで完全に視線が切れるということはないが『サンダーブレス』の威力に圧されたのか流しきれずに杖を持つ腕を焦がしてその顔が痛みにゆがみ、立て続けにその表情が。驚愕へと切り替わった。


「『黒槍の雨』『アイスレーザー』『死龍のブレス』」


 俺にとっても阿修羅にとっても誤算だったその数秒。『サンダーレーザー』というか雷属性のスキルに備わる追加効果とも言える麻痺(・・)。もちろん阿修羅もキメラの中でもかなり上位種であることは間違いないし麻痺も含めて各種耐性は十分高いだろう。俺も持っているような『毒無効』や『麻痺再生』のように属性を無効化、あるいは回復できるようになっている属性もあるかもしれない。しかし、それは麻痺ではなかった。ただそれだけのことだ。


 ギリギリで麻痺が解除された阿修羅は、豪速弓を捨てて腕2本ずつで剣と盾を掴み、上から降り注ぐ『黒槍の雨』に対して聖剣キリアを、まっすぐ向かってくる『死龍のブレス』と『アイスレーザー』には白盾を構える。肉の盾は間に合わないためこちらに投げるだけして操作を諦め、残りは防御に回したようだ。

 聖剣キリアの能力で触れずともその周りにある物まで含め闇属性の槍はかき消される。三つの頭を中心に致命傷となる部位は守ろうとしているが、聖剣キリアはツヴァイヘンダーのように巨大な剣でもないため覆えなかった部分は続々と槍が突き刺さる。そして白盾もまた阿修羅の全身を覆えるようなサイズではなく、闇属性でも暗黒属性でもない二種の攻撃の前にはただの盾でしかない。

 先に直撃した『アイスレーザー』が即興の防御魔法として貼られていた障壁を打ち破り、盾を持つ二本の腕ごと分厚くはないが氷を張り、後から来た『死龍のブレス』がそれごと阿修羅に襲い掛かった。


『スキル:死龍のブレスLv4を習得しました。 』


 最後のあがきで飛ばしていた肉の盾は『魔力盾』を超えることはなく制御を失ったことでその場でボロボロと自壊した。警戒は怠らないようにしながら阿修羅の元まで向かう途中で背後からは歓声が聞こえてきた。『探知』してみると敵の反応はもうなくなっており、残っていた敵も黄龍と共に倒しきったのだろう。

 『死龍のブレス』の威力を前に、損傷はしつつも肉体が残っているあたり、そこらのモンスターとは格が違うということは思い知らされるが、それでも槍、レーザー、ブレスと立て続けに受けたことで阿修羅はこと切れていた。後ほど喰らい俺の糧となってもらうためにもアイテムボックスにその死体をしまい、消し飛んでしまった補給の矢筒、エルダートレントの加工杖以外の武器も同じくしまい込んだ。聖剣キリアと白盾は俺には使えないし、ダメージもなく喰らえるのかもわからないからそのまま肥しとなるだろうが豪速弓はきっとどこかで使える。現状弓を武器とするつもりはないがコルクやアンナあたりなら使い道を見つけるだろうしな。


 そうして俺は勝ち残ったことに対する歓喜と安堵に沸く部隊の元へと向かった。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20) ローグ(70)

 魔導士 (90)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40

 舞闘家 Lv69/70   大鬼人 Lv24/40

 上級獣人Lv17/30   魔人  Lv14/20 

 探究者 Lv34/99   狙撃王 Lv7/90

 上級薬師Lv4/80    上級龍人Lv1/30

 死霊術師Lv1/100

非有効職業

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 呪術師 Lv1/80    死龍王Lv1/30

 盗賊王Lv1/100    大魔導士Lv1/100』

皆様の応援のおかげもありましてこの小説もなんと500話まで来ました。

初投稿から8年もかかってるんですね。時がたつのは早いなぁ(小並感)

基本週一でのんびりだらだらと続けておりますがこれからも完結に向けてガンバリマス!

拙い文章ですが皆様に楽しんでいただけたら幸いです。

これからもよろしくお願いします!


ではまた次回

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