エルフの里の異変です11
待ちに待った久しぶりのレベルアップ。できることであればこのオリハルコンゴーレム戦の前にほしかったスキルがいくつかあるし、そうでなくても気になる新しいスキルもいくつかある。ローグと魔導士がレベルマックスになったから新しく有効化された職業が2つ。『喰らう瞳』で喰らって能力に変えてきた呪いを扱う呪術師も少し興味はあるが、せっかくだから上級龍人に切り替えよう。
ここしばらくの戦いによって得た経験値によってこれだけレベルアップできたわけだが、同じように次にそれが適用されるタイミングがいつになるのかはわからない。よっぽどのことがなければ舞闘家はレベルマックスになってくれるはず。その時に大魔導士を有効化しよう。呪術師はそれからだ。
軽く操作して有効となった職業をいじりながら足元のオリハルコンゴーレムの死体もアイテムボックスにしまいこむ。すぐ下からはオリハルコンゴーレムと地面の間に挟み込まれて俺の攻撃による衝撃を受けた特異ゴーレムが出てきた。見える限りだと血などが流れ出ている様子はないが、そもそも最初にゴーレムたちを転移させたときの出血量などを考えると生きてはいないだろう。だが、確かめないと言う選択肢はない。
「……」
全身に入ったヒビから手を突っ込んで表面を剥がし、内側にいるであろう人物を探す。
細かい破片を剥がしていき、胸部の大きな塊を剥がしたところで目的の人物が現れた。事前に流れた血液で体は赤く汚れているが、破片が突き刺さっていたりということはなかった。だが、手足は完全にこの特異ゴーレムの体と同化しており、周りを壊してヒトの姿で取り出すというような器用な真似はできそうにない。この同化した周りの金属ごと引っ張りだすことはできるだろうが、それは俺ではなくてもできる。
レベルアップの音声が入ったということはこの戦場での戦いの終結したということだ。『探知』を使っても生き残りはいない。もちろん転移してくる可能性はあるが、この特異ゴーレムと同じようなモノがそう何体もいるとは思えない。転移渦を使う色欲が軍勢を転移してくる可能性もまああるかもしれないが、それを言い出したら永遠にここに居続けなくてはならない。それこそこの戦争の終わりがいつなのかもわからなくなってしまう。
とりあえず下手に俺が動かすよりは人手を連れてきた方が早そうというのもあり、急いで後方にいるこの戦場の指揮官の下へ向かった。
俺が前線からハイスピードで戻ってくるのが見えたからなのかはわからないが、陣地にいる兵士たちはざわつきながらも各々の武器を手に取っていた。
「敵は殲滅した! 指揮官はどこだ!」
俺の声に反応してざわつきが困惑と歓喜の混ざったものに変わる。そんな空気の中でも真剣な表情でこちらで走ってくるエルフが1人。彼が指揮官だろう。
「指揮官であっているか? ここに攻めてきていたモンスターたちはすべて殲滅した。一応俺の感知できる範囲には生き残りはいないが、もしかしたら隠れているやつがいる可能性はある。そういうのができるやつがいたらそいつにも探させてほしい」
「まああの光景を目の前で見ていたから殲滅しきったのは疑いはないんだが、あんたは大丈夫なのか? そのゴーグルに付着した血を見るに頭にも怪我を負ったのだろう? 救護班もいるから感知をしている間に回復を受けてくれ」
指揮官の男に言われてゴーグルについた血を思い出した。前面の視界を潰してしまっていた部分は戦闘の最中、そしてさっき特異ゴーレムを調べる時にぬぐっていたが洗い流したわけじゃないんだった。
「あー、怪我は大丈夫だ。もう回復した。それより敵の中にゴーレムに取り込まれて転移魔法を使わされていたらしいやつがいた。残念ながら助けられなかったが身元が分かるやつがいるかもしれないし、できれば遺体だけでも弔ってやってほしい」
「あの空に舞ったゴーレムたちはあんたが投げ上げたわけじゃなかったのか。転移魔法使いが冒険者なら『魔法学園』のメンバーかもしれないな。ここにも数人いるから連れてこよう」
「助かる。そういえば何体か倒したやつの死体はもらったが構わないか?」
「どうせ全部は回収しきれずに燃やすんだ。あんた一人で倒したようなやつであれば問題はない」
「了解した。いくつも頼んで申し訳ないが、とりあえずこの戦場から敵を殲滅してこいという指令しか受けてないんだ。次にどこの戦場に行けばいいか本部に確認してもらえるか? できればそこに転移できるやつもよこしてくれると助かる」
「いや今まさにあれだけの敵を倒したところだがまだ戦うのか?」
「エンシェントエルフ様からの試練として戦場の敵を殲滅しろと言われているから多少無茶でもやらないとクリアとは認めてくれないだろうし。ここに攻めてきていた敵だけならエンシェントエルフ様と守護龍様をなんとかできるとは思えないけどそれ以外に被害がどれくらいでるかはわからないし、俺で力になれるのなら頑張るさ」
「ここの生まれというわけではない、ただの冒険者であるあなたに頼るのは隊長の1人としては歯がゆいところがあるが、この国の国民の1人としてはありがたい限りだな。すぐに確認する。味がいいとは言えないが食事に回復薬、既製品でいいなら多少だが武器も配布の物がある。必要な物があれば受け取っていってくれ。一応確認でき次第そちらに人をよこすが、もし用がなければあちらにある東部戦線の連絡室に来てくれ」
指揮官のエルフは配布場所として奥に見えるテント小屋を指差し、自分は連絡室に走っていった。
俺も既製品といえどないよりはあった方が絶対にいいと思い、武器と食料を受け取りに配布場所に向かって歩き出した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90)
有効職業
聖魔??の勇者Lv23/?? 精霊使いLv32/40
舞闘家 Lv69/70 大鬼人 Lv24/40
上級獣人Lv17/30 魔人 Lv14/20
探究者 Lv34/99 狙撃王 Lv7/90
上級薬師Lv4/80 上級龍人Lv1/30
死霊術師Lv1/100
非有効職業
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100』
ちょっと遅れましたが32時間制ならまだ16日なのでセーフ!
矢野阪神は下克上ならずでした。悔しいなぁ…矢野さん4年間お疲れさまでした!
ではまた次回




