エルフの里の異変です9
グラナイトゴーレムがあと1体で全滅というところでついにオリハルコンゴーレムと奥の特異ゴーレムが動き出した。
それまでばらばらに俺に向かって来ていた魔鋼ゴーレムとグラナイトゴーレムが包囲するように隊列を組んでこちらに向かってくる。それは動き出した3体のゴーレムを隠す役割も兼ねていたようだが数が減っていることでできている隙間から全体は見えずともなんとか一部が見えていた。
ピー
包囲がじりじりと狭まる中でまたあの音が聞こえた。今度は手元にはゴーレムはなく、周りに転がる中にも生きたゴーレムはいない。よく聞き分けてみればわかったが。音の発生源は間違いなく最後に残った1体のグラナイトゴーレムだ。隊列に混ざるあれが今爆発したところでダメージがどこまであるのかという疑問は残るが『全方位結界』と『不動明王』、『魔力盾』の三重の防御を敷いた上で尖った破片が貫いてくる可能性を考えて『強鬼化』から一時的に『鉄鬼化』に切り替える。グラナイトと鉄、どちらが硬いのかは知らないが少なからずダメージは減らすことができるだろう。
先ほどの魔鋼ゴーレムの爆発と違い、今度は何が起こるのかもわかっており、それがどこから脅かされるのかもわかっている。だからこそ俺は周りへの警戒は怠らないようにしながらグラナイトゴーレムから目を離さなかった。
「は?」
グラナイトゴーレムはまだ隊列の中にいる。それは間違いないが、俺の視界の中にその体の一部がいくつも現れた。腕、足、胴、頭。体がぽろぽろとくりぬかれる様に外れて俺の貼った盾の防御網と結界のその内側に転移してくる。あのヒトが明らかに手の届く範囲にはいなかったゴーレムたちを触れずに俺の上空に転移させてきたことを思えば特異ゴーレムの手の届かない範囲にいるグラナイトゴーレムを転移してくるのは別に問題ではない。問題なのはその方法だ。
転移してくるグラナイトゴーレムの欠片。その1つ1つは俺の頭程度の大きさで、よく見てみればその空間単位で無理矢理転移されたのか、ある程度球体のようになっており、ついにはえぐられて細くなった足がその重さに耐えきれなくなりぽきりと折れて倒れた。だがそれはこれ以上転移が発生しないということにはつながらない。急遽倒れたことで目測が変わったのか転移に失敗したと思われる空間もあるが、既に元のグラナイトゴーレムの3分の1程度は欠片として俺の周りに転移が終わっていた。転移後にその空間に留め置かれたこれらはそれでもなお十分な数だ。
爆発が起きる前に急いで『ダークシールド』をさらに内側に展開し始める。しかし、無情にも全体を覆いつくす前にグラナイトゴーレムの爆発が起きた。
魔法ゴーレムの爆発と違い、大量に俺の周りに展開された欠片による連鎖爆裂。爆発物の体積が、そしてその素材が違うからはっきりと比較できるわけではないが、至近距離での爆発は変わらない。頭や胸といった『ダークシールド』の展開が間に合った部分はよかったものの、爆発によって生じた破片が下半身を中心に『ダークシールド』が間に合わなかった箇所に高速で飛来して『鉄鬼化』の装甲を突き破る。
『不動明王』があったからか膝はつかずにいられるものの、強化したことによって突き刺さりはしたが貫通はできなかった破片が足の中に残った。痛みを堪えて小さい『ダークハンド』を出して破片を引き抜くと、『再生』によってその穴がじわじわと塞がっていく。
対処の間に縮まってきた包囲ではあるが、グラナイトゴーレムの転移しきれなかった部分が爆発したことですぐ隣にいた2体が崩れ落ちていた。比較的近くにいた1体も硬いはずの魔鋼に破片が突き刺さったままであそこを起点にそのまま落とせそうでもある。
「『シールドバッシュ』」
あの特異ゴーレムが戦闘に加わり、転移を使い始めたということで距離をとるのは意味がなくなったとも考えられるが、ひとまず回復するまでの時間を稼ぐためにも展開していた盾を魔鋼ゴーレムに向けて飛ばす。魔法への抵抗力もあるからこれ自体にダメージは見込めないが、バランスの悪いその上半身に当たり体制を崩すことには成功した。
多少回復が進んだことで移動を始めるために『不動明王』と『鉄鬼化』を解除する。足が動くようになってすぐにふらりと足の力が抜けるがなんとか踏みとどまり頭上に現れた次の脅威に備える。
「『ダークネスナックル・纏』『破壊の一撃』」
両手に纏った『ダークネスナックル』を強化して全身を使ってプレスしようと降ってきたオリハルコンゴーレムを迎え撃つ。キングオリハルコンゴーレムの時は『ためる』まで使って腕の限界に挑戦する羽目になったが、サイズが違うこのオリハルコンゴーレムにはなんとか今の状態で拮抗できた。
受け止められたことでプレスから掴みに切り替えようとするオリハルコンゴーレムを10本束ねた『ダークネスチェーン』で足を絡めて引きはがす。ついでに魔鋼ゴーレムにぶつけてみたがオリハルコンゴーレムは何事もなかったようにむくりと起き上がった。完全にダメージがないわけではなさそうだがその奥にまでは届いていない。だがあの無防備になる『ためる』がなくてもダメージが入ることを知れたことは収穫だった。
つい力をこめすぎたことでミシリと豊??地のガントレットが悲鳴を上げる。すぐに『ダークネスナックル』をまだ残っていた魔鋼ゴーレムに飛ばす。『破壊の一撃』によるダメージは防げなかったようで直撃した魔鋼ゴーレムの胴にひびが入りそのまま倒れた。気が付けばこれで残っていた魔鋼ゴーレムも0。ついには特異ゴーレムとオリハルコンゴーレムたちだけになった。
両手に出した『ダークネスハンマー』を『鬼の一撃・付与』で強化して攻撃に移ろうとすると、拳を振り上げた2体のオリハルコンゴーレムが目の前に転移してきてその拳を振り下ろす。両手のハンマーでその軌道を逸らし、前のめりになって地面を打ちつける2体の頭を上から殴りつけて地面に叩きつけた。オリハルコンゴーレムたちの攻撃で地面に入ったヒビがその威力を物語るがあの試練の時ほどじゃない。
地面でバウンドした頭をもう一度叩こうとするが、特異ゴーレムが転移で逃がしたことでハンマーは地面を叩いた。ほんの数日前までこんな感じで戦っていたのかと思うと敵が感じていた若干の理不尽を理解できた気がする。
『再生』で足も完全に回復し、俺はようやく攻勢にでることができた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
日付変わる前には少し遅れましたがロスタイムということで。
週末を狙い撃つようにやってくる台風のせいで体調がやばいですがなんとか元気です。ハイ。
ではまた次回




