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エルフの里の異変です5

前半は一般兵士A視点です。ご注意ください。


「な、なにが起きてるんだ?」


 弓部隊、魔法部隊の攻撃を潜り抜けてきたモンスターたち。そんな足の速いやつらを後衛の下へ向かわせないように時に剣で切り付け、時に槍衾を形成して足を止めさせ、時に盾で弾き飛ばす。これから続々と送られてくる予定の増援までと言われなんとか耐えていた。そのはずだった。


「足を止めるな! 立ち止まったら邪魔になんぞ! 急いで下がれ!」


 足元にも敵の死骸が転がり、こちらの範囲殲滅にも対応し始めて抜けてくる個体が増えだしたと思ったところにやってきた増援。後方から聞こえてきた聞きなれない声と、今は短い休憩に入っていたはずの仲間たちの戸惑いの気配を感じながらも部隊長から追加で下された指示に従い、モンスターたちから目を離さないように槍先をモンスターたちに向けて構えながらゆっくりと後退し始めた。頭がしっかりと理解しているのはそこまでだ。


 初めは山なりに頭のすぐ上を通りすぎ、目の前で地面と平行に近い軌道に変わった魔法の槍だった。一度足を止めて槍で突き返してやろうかとも思ったウルフが貫かれて地面に崩れ落ちる。魔力への感受性はそれほど高いわけではないが、兵士として活動してきたこれまでの経験からその槍に込められる魔力の濃密さには恐れさえ抱かされた。

 そんな槍は1本だけではなく次から次に飛来して俺たちとモンスターたちとの間に距離を作り始めた。そこまで来て初めて周りの状況にも目を向ける余裕が生まれ、ついつい足を止めてしまう。

 この戦場は敵の大軍勢が端から広がらずにある程度の幅の内に攻めてきたということがある意味防ぐことができていた要因の一つだった。だが、それはあくまでも大軍勢同士の戦という場にあってこその幅だ。とてもではないが1部隊で抑えられるレベルではない。援軍がどれだけ来てくれたのかはわからないが、俺の上を今も追加分が通っていく大量の魔法の槍はこの戦場全体に広がっていた。敵モンスターたちの動きによって若干のばらつきはあっても皆一様に前衛部隊とモンスターたちとの間には穴だらけの死体の山が築かれていた。


「足を止めるな! 止まった分だけ邪魔になって仲間が死ぬと思え!」


 呆然と立ち尽くしかけた俺たちを部隊長の悲鳴じみた号令が引き戻す。これだけの攻撃をする援軍、『魔法学園』のパーティか、はたまた在野に埋もれていた魔法使いたちか。そんな彼らの攻撃が俺たちがいるせいで遅れ、助かるはずだった味方がモンスターに食い殺される。そんなくそみたいな話があるか! 俺たちは少しでも距離の開いたこの時間で少しでも後ろに下がる。俺たちがモンスターに近ければ近いほど魔法は使いづらくなってしまうんだ。急がなければ。


 敵にも弓使い、魔法使いがいる以上完全に目を切るとまではいかないがそんな魔法使いたちの攻撃さえも援軍の方々の使う魔法の槍は貫き殺していた。もちろんすべてはいかないが直撃するようなコースの物はかき消され、明らかに届かない魔法が地面に落ちて爆発を引き起こす。石礫が飛び散って頬を切るが盾を構えるのが遅れた俺のミスだ。

 そこからは魔法ではなく石礫にのみ注意して今まで以上に素早く後退する。ここまできたらもう一目散に走った方がいい。そう判断した俺はモンスターたちから目を切って後方の援軍に目を向け一目散に走りだした。


「え?」


 援軍はすぐそばまで来ており、俺が振り向いて走り出すとすぐにその横を通りすぎることになった。そしてその事実に気が付いてしまった。援軍で来ていたのはたったの一人。これだけの戦場にたった一人しか送ってくれなかったという事実。そして何よりその一人によってこれだけの戦場がひっくり返ってしまったという事実。

 その横を通りすぎて時期に足を止めてしまった俺は、引きずって連れ帰るために来た部隊長にぶん殴られるまで、その援軍のはずの少年が化物に見えていた。





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 前線に出ていた兵士たちは軒並み後ろに下がり切った後、足の遅い中型、大型のモンスターたちめがけて『ダークランス』を放つ。既にウルフ系の上位種は先行して襲って来ていたが他の上位種たちは先行していった通常種を捨て駒として送り込むことで自身の消耗を抑えつつこちらの動きを見るつもりだったのだろう。実際一部のモンスターは『ダークランス』の面斉射を見てすぐさま魔法で壁を作って防ごうと動いていた。ただ続けざまに放たれる貫通力の高い『ダークランス』に耐えられるような盾を作ることができたのはごく一部でほとんどのモンスターは1発目を防いだ後で次の槍に貫かれてダメージを負っていた。そのまま仕留めることができたモンスターも数多くいたが、それらを見てすぐに壁を分厚く、あるいは壁の種類を変えたりそもそも壁で防ぐのではなく撃ち落としたり躱す方に切り替えるなど上位種としての知能の高さを見せる個体も数多くいる。簡単にやらせはしないが。


 足を止めずに大量の『ダークランス』を展開してこの戦場全体のモンスターを狩りつくすつもりで攻めていたが、さすがにここまでくると端の方が見づらくなってきたためにそのペースを落とした。敵モンスターたちが明確な脅威と言える俺への対処を優先してくれているから味方の方へ行っていないが、これで俺を無視して広がりながら後方部隊への攻撃を優先するみたいな指示が出たとしたらおそらくヒメと黄龍に手伝ってもらわないと防ぎきることはできないかもしれない。


 俺が足を止めたことをチャンスと捉えたのか後方のワイバーンやドラゴンたちが一斉に飛び上がった。魔法自体は止めていないから飛び上がった彼らはその翼を狙う格好のチャンスではあるのだがそこは敵も考えているらしく地上すれすれを低い姿勢のまま移動できるタイプのモンスターが牽制のために前に出て突っ込んできた。

 敵の思惑通りに動くのは癪ではあるが下手に放置して抜けられると『黒槍の雨』で縫い付けるにしろ意識が割かれるのは厄介だ。


「『ヘイト』『ハンドレッドナイフ』『サンダーレーザー』『アイスレーザー』」


 それまで通りの『ダークランス』の牽制は続けながら『ハンドレッドナイフ』を斜め下方向に向け、空を飛ぶやつらには『サンダーレーザー』『アイスレーザー』で少しでも撃ち落とさんと狙いをつける。

 ドラゴンの数は『鑑定』は届かないから種類はわからないが『探知』で見る限り7体しかみあたらない。そのうちの6体がこの攻撃に参加しているようだ。実際にはこれ以上進むと今はまだ見づらいからと足を止めただけではあるが、攻め時を逃すものかという指揮官の意気込みは感じるな。ただ、この攻撃に参加せずに残されたドラゴンのいる位置。そここそがこの東の戦場の指揮官のいる場所だろう。ドラゴンともなれば数で押すのであればともかく単体では普通の兵士では対応しきれないだろうし手元に護衛として置いておきたいという気持ちもわかる。実は全く関係のない理由で参加していないだけかもしれないがその時は殲滅しきった後で指揮官の死体を探すだけだ。


「グラァアアアア」


 地上から向かってくるスネーク系やリザード系のモンスターを『ハンドレッドナイフ』で串刺しにしていると、地面の揺れと共に真下からダートアリゲーターが大顎を開いて噛みつこうとしてきた。『探知』によって何かが来ることはわかっていたから上に跳んでかわしたが思っていた以上にそのサイズが大きく、『鬼の一撃』で殴りつけようと思っていた拳を開いて『フレイムスロアー』に切り替えた。

 顎を閉じる前に体内に炎を送り込まれたダートアリゲーターはそのまま仕留めきり、その体の上に着地する。そうしているうちにも紛れていたらしいソニックワイバーンが近くまで来ていた。


「ちっ『剣閃・十』」


 出していた『ダークソード』を使い捨てにしながら突進してくるソニックワイバーンを続けざまに切り落とし、ブレスの構えをしていたドラゴンたちに『ダークランス』を集めて落とす。幸い闇属性に耐性のあるタイプのドラゴンはいなかったようで槍に貫かれたドラゴンたちは地面に墜落していった。


「面倒くさい『死龍のブレス』」


 集まってきたドラゴンとワイバーンたちをまとめて消すべく、範囲を重視したブレスを放つ。

 範囲重視とはいえ、『死龍のブレス』に『ダークランス』で削れていたモンスターたちは耐えきれなかったようで、目の前にモンスターのいない空白地帯ができあがった。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70

 精霊使いLv32/40   舞闘家 Lv59/70

 大鬼人 Lv20/40   上級獣人Lv15/30

 魔導士 Lv81/90    魔人  Lv12/20 

 探究者 Lv31/99   狙撃王 Lv1/90

 上級薬師Lv1/80

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死霊術師Lv1/100

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 上級龍人Lv1/30    死龍王Lv1/30 』

珍しく平日投稿ですが今日有休をとっていたので実質連休最終日だったということで普段通りです(メソラシ)。

コロナ禍に中途半端に主力のみが襲われた阪神が6連敗とテンションが低いお休みでしたが来週はどうか…大山選手カムバック!


ではまた次回

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