エルフの里での一日です7
冷静に諭そうとする護衛の2人に対して苛立ちを隠そうともしない男は、俺のことをにらみつけてそのまま2人と共に出ていった。
「いやー、たまたま来ただけなんだろうけど助かったよ。まさか休みって書いてある看板外して押し入ってくるとは思わなかったよ」
「しばらく休みにしているって聞いていたから、どうせ散らかっているだろうし邪魔にならない程度に掃除でもって思って来てみたら突然やってくるんだもの。何事かと思ったよ」
「ありがとねフィアー」
「多分休みであっても普通に入っていく私を見てエルメラがいることを知ったのだろうな。入ってしまえばこっちのものだと。典型的な貴族の考えそうなことだ」
「さっき話してた通り今売りに出せる物は何もないのにね。なんでわかってくれないかなー」
「売り物にならないという割には随分いろんな武器を並べてるんですね」
首をかしげるエルメラさんをよそにちらりと店の中に目を向ける。もともとここはエルメラさんの工房がメインであり、一般的に見られるような店とは違い、棚に商品が並んでいるわけではない。普段から依頼主と交渉してそこから作成することがほとんどで出来合いの物を売るのはその時に依頼が詰まっている時やなんとなく気が乗らなかった時、なんとなくめんどくさいなと思った時などでそうした時であっても工房の奥にある倉庫にある物を武器の種類を聞いて持ってくる形式だと聞いていた。実際俺が来てから今日ほど武器が表に並べられている光景を見た記憶はない。
「今日はたまたまね。倉庫の奥からちょっと素材をとってきたくてどかしたからそのついでに後から使いやすいように並べておこうかなと。倉庫の中は危ないものもあるし入らないように言っているけどこうして出しておけばフィアーが片付けてくれるかもだし」
「あんたそんなこと考えてたわけ? さすがに私も武器までは面倒見ないよ? そりゃある程度の武具の手入れとかはできるし、変な持ち方して自傷するような真似はしないけど、ああいう変わったやつとかは触りたくないよ。なんであの辺全部鎖で2本ずつつながってるの?」
フィアーさんが指さした先には剣と棍棒だったり剣2本だったり、なぜか柄のところに取り付けられた鎖で2本1対となっている武器の山だった。他の武器も一部を除いて割と乱雑に積み上げられているが、その中でも明らかに雑に山になっていた。
「あーその辺ね。そこのやつはそういう依頼があって作ったやつの失敗作だね。武器自体が満足のいく出来じゃなかったのもあるし、組み合わせ間違えたやつもあるよ。鎖でつなぐ前提で作ってるから他で出すわけにもいかないしタイミング見計らって処分するつもりだったやつ」
「二刀流で使う前提なんだろうけど変な組のやつもあるし普通には扱えないな。それ以前に鎖でつながっている時点で可動域も限られるし、動きも制限される。まともに戦えると思えないんだが」
「いや、鎖の長さにもよるけどその鎖自体を相手に引っ掛けて崩すこともできるし、もう片方の武器を掴んで遠くの敵を狙うこともできる。普通に持って攻撃を仕掛けている最中に持つところを鎖に変えて間合いを変えることもできる。完璧に使いこなしている相手なら厄介だよ」
そう。その強さはこの場では俺が一番理解している。昔の柩を知っているエンシェントエルフ様であればもっと知っているかもしれないけどこの場では間違いない。とは言うものの、あの戦い方はヒツギとして召喚の儀によって手に入れたあの武器だからこそというところが大きいだろうとも思う。正確に言えばあの2つの棺桶をつなぐ鎖の特性によるものだ。
ヒツギの持つあの棺桶は少なくともオリハルコン以上の硬度でなければ欠けることすらないステュラをあっさりとへし折ることができるだけの硬度を持ち、マナの持つ杖のように魔法の威力を高めるための触媒としても機能し、魔法以外にもとげを飛ばすなど多岐にわたる特殊効果を持っていた。
そしてそれを最大限に生かすための機能として用意されたのがおそらくあの鎖なのだろう。制限はあるのだろうがヒツギの意思によってどこまでも伸びて、任意の長さでそれ以上伸びなくなる。ユウカとは模擬戦をやっていなかったし、俺も試したことがないがただの鎖なわけがない。切れても復活させられる、あるいはそもそも切れないのかもしれないな。
「でもあの長さの鎖だと役には立たないんじゃないか?」
「そこに気づくとはさすがだね。まさにその通りなんだよ」
積み上げられた武器の山に置かれているそれらに共通して言えるのは鎖が短いということだった。俺とそう変わらない背丈のフィアーさんが両腕をピンと伸ばした程度で鎖がたゆまなくなるくらいの長さしかなく、前に出して使うならともかくヒツギのように。背に回して使うのならば普通に手に持って使うことさえ支障が出かねない。使うのが小人族とか子供であればいいのだろうが大人ならいっそのこと鎖を真ん中で切ってしまって超短い鞭のように使う方が効果的だ。
「いやーこの依頼をしてきた人も実は自分で使うものじゃなくて私を下請けとして使いたかったみたいでね。私に対して細かいオーダーまではしてこなかったから大元と依頼内容がずれちゃって。変な依頼だなーとは思ってたんだけど、その時ちょっと魅力的な依頼受けてて適当になってたんだよね」
黒歴史黒歴史と笑うエルメラさんは楽し気だがその大元が誰なのかは知らないようだ。なんとなくどこかのエルフなような気がしなくもないが気のせいだろう。
「せっかくだからこの際作る武器の試し切りに使って供養する。だからちょっと邪魔にならないように整頓しといて。ね?」
「いや、ね? じゃない! たまには自分で片付けろ!」
「私の片づけはまだまだこれからだ!」
「打ち切ろうとするな!」
「そういえばまた角を提供いただきたいんだけどまだある?」
「無視するな!」
「ははは」
エルメラさんに自分で片付けろと説教をかますフィアーさんとそれをスルーして俺に素材をねだるエルメラさん。俺は苦笑いしかできず、言われるがままに研究に必要な素材を提供するのだった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
またしても先週はすみませんでした。体調的に早々と諦めてました…
ちなみに来週はワクチン接種があるので書けるかわからないです。ガンバリマスヨー
ではまた次回




