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僕は真の勇者だ!その2


 僕は今、宿で上機嫌だった。

 それもそのはず。真那さんに付きまとっていた(古里視点)鳴が死んだのだ!

 彼女のようなかわいい女の子を自分のわがままで連れまわして(思い込みです)挙句ドジやって死ぬような男のことなんか真那さんは表には出さなくても、心の中では見限っているに違いない。今は悲しんで部屋にこもってしまっているが、ここで俺が彼女を慰めれば……。


(大丈夫かい真那さん)


(古里様……)


(あんな男のこと忘れて、これからは僕が君のそばにいるから)


(古里様素敵!)


 ってなるに違いない! そしてそのまま……ふふふ


「うむ。此度の男はよくわからぬことを考えているな」


「誰だ!」


 突如として部屋の中で聞こえた声に驚きながらも剣を構える。

 扉の開く音も窓の開く音もしなかった。どこから入ってきたんだ……。


「お前何者だ!」


「あー敵対する気はない。事を構える気もな。まずはその物騒なものを下げてくれ」


 見た目は青年と言えるほど若そうではない。ただ、いかにも自分は人間ではありませんと言わんばかりにその指先から生えた爪は長く、鋭い。色も全体的に黒く、衣服に隠れて見づらいが首の後ろに数本のとげが生えているのが見えた。

 今やつが立っている位置は僕が腕を伸ばせば剣がしっかりとささるような距離。警戒しつつ、いつでも仕掛けられるようにしながら剣を下げる。


「まずはあれだ、自己紹介からだ。俺の名はソルト。悪魔のソ――」


 次の瞬間、僕はそいつの首に剣を叩きこんだ。その剣の先は軽く光っており、光の魔力が付与されているように見えた。さすがは勇者だよね、僕って。勇者には必須の光魔法を教えられなくても少し使えたんだからさ!

 正確には魔法をつかったわけではなく、ただ漏れ出した魔力がたまたま剣の先に纏わりついていただけなのだが古里には知る由もなかった。


「僕は真の勇者だからね。悪魔なんかと取引するつもりは全くないんだ!」


 そう言い放ちながら、なにか言いたげなその首から上のとれた悪魔をさらに切りつけた。悪魔は、地面に倒れ、跡形もなく消え去った。


「悪魔がこの光の勇者である僕に近づくな!」


 今超超超かっこいい!

 僕は真の勇者であり、今気づいたけど光の勇者だからね!(自称です)

 悪魔なんかは見つけ次第殺してしまわないと。もし取り入ろうとしてきたり交渉しようとしてきても聞く耳を持っちゃだめだ。なんたって勇者だから! 悪魔と取引してる勇者なんか勇者じゃない!

 でもこの世界に来て人以外との初めての戦闘が悪魔だなんてなんて主人公っぽいんだろう! この調子でどんどん倒していかなくちゃ!

 こうして一人心に決めて、宿のベッドに戻って再び夢描くのだった。






 あれから3日後、この世界に来て4日目に突入した僕は連日王様に城に呼ばれていた。

 この世界に来た初日は理由説明、2日目は真那さんが来なくてただのお食事に、3日目は真那さんと一緒にお城までデート(思い込み)して、それから僕たち二人(・・)(仲間のこと忘れてます)で魔王を倒すための修行の旅に出よということ。そして4日目の今日。


「失礼します。王様、古里様が参りました」


「うむ。入れ」


「失礼します! 今日は何の用事でしょうか?」


「今日はな、古里殿に伝えねばならぬことが2つある」


 王様が若干あきれたような様子で言った。なんだろう? 今日は旅の準備に真那さんと街で買い物(デート)の予定だったのに。


「実は、真那殿がこの国を出てしまった」


「なんだって!」


 なんということだ、大変じゃないか! それにしてもなんでだろう? これは僕が連れ戻しに行ってあげなきゃ!


「今すぐ僕が連れ戻しに」


「いや、それには及ばん」


「?」


「真那殿の出ていった方角はわかっておるが後を追っているものがいない。正確には何者かに殺されてしまってな。傷から見てモンスターだとは思うが。真那殿が生きておることはわかっておるが今どこにいるのかはまったくわからん」


「そんな……」


「そこで真那殿には個人で旅をしてもらうこととなった。真那殿は優秀な魔法使いであるから、すぐにでも優秀なパーティを組んでダンジョンに挑むはず。ならばあまり干渉せずにダンジョンを攻略してもらったほうがよいと判断したのじゃ。そしてある程度強くなったときに迎え入れてともに魔王に挑んでもらえばよいということになった」


「なるほど。じゃあ僕は僕でダンジョンを目指せばいいということですか?」


「うむ。そうなる。そこで、じゃ。おい、入ってこい」


 王様のその一言で右の奥のほうにある扉から体格のバラバラな5人の人が出てきた。

 一番右にいたのは騎士団長のおじさんだった。僕と戦った時とはあきらかに違う防具に身を包み、腰に剣を差している。

 その隣は真っ白なローブに身を包んだ、背が160cmくらいのきれいな女性。全身を覆うような白のローブで、一部に黄色のラインが入っている。フードをとっていることで露になっている顔はとてもきれいで、銀色の髪が輝いている。首からは十字のネックレスがかかっており、それがローブ越しでもわかる見事な双丘に乗っている。

 その隣もローブを羽織っているが、色は黒。手には木でできた杖を持っていてその先端には大きな水晶が付いていた。髪はピンクでおとなしそうな感じの人だ。背は同じくらいで、なにをとは言わないが、こちらはそれほど強調していなかった。

 その隣は見た感じで女性のエルフだとわかった。先のとがった鋭い耳ときれいな長い緑の髪そして薄緑の瞳がとてもマッチしている。背は僕よりも大きく、190cmはありそう。背中にはその背丈に合うような大きな弓と矢筒を抱えており、遠距離攻撃メインだろうと判断できた。さすがはエルフ。そして控えめながらも膨らみはあった。

 最後は猫耳しっぽの猫獣人。背は140cmくらいしかない。気弱そうな見た目で腰には何本かのダガーとポーチをつけており、太ももにも左右2本ずつダガーがさげてあった。しかし、それよりも一番気になったのは首輪だ。鎖が少し垂れ下がっている鉄の首輪。それじゃまるで……。


「古里殿、彼らが古里殿と旅を共にする仲間たちだ。順に自己紹介を」


「ではまずは俺からだ。こちら側から順にしよう。知っての通り王国騎士団長のバラーガ・グーテンだ。これまでとは違いこの口調で行かせてもらう。近接戦闘タイプといったところだ」


「次は(わたし)。カシュマ王国国王直属の魔法使いのサラ・ファルシマーです。治癒魔法と付与魔法を得意としております。戦闘では皆様のサポートに回らせていただきます」


「では(わたくし)の番ですわね。私も国王直属の魔法使いで、カク家次期当主候補、継承順位第2位のヴァルミネ・カクですわ。中距離から遠距離にかけての攻撃魔法を得意としておりますの」


「あたいはエルフのマーサだ。いろいろと言えないことも多いけど詮索はなしにしてくれよな。こっちにも事情ってもんがあるから。武器は弓。遠距離攻撃が主流だ。一応ヴァルミネよりもさらに遠距離ってことになる。あとは精霊魔法を少しだな」


「マーサさんの弓の腕は私も認めているほどでしてよ!」


「ヴァルミネ、まだ終わってないからあとにしといてくれ」


「ぼ、いや、わ、私……猫獣人のキャラビー……です。ローグで、罠を仕掛けたり、罠を解いたりが得意、です」


「あの、その首輪は?」


 全員の紹介が終わったところで僕は聞いた。たぶんだけど想像はついている。


「奴隷だな」


「奴隷……ですか……」


「はい、です」


 想像はできていたけどいざ聞くと変わってくるな……。


「まあ奴隷と言っても今回の件が終われば解放される約束になっているし奴隷として扱うつもりはないから古里殿も普通に接してやってくれ」


「わかりました」


「ではさっそくだが今日よりこのメンバーで活動してもらう。なんとしても1日でも早く強くなり、魔王を倒してほしい!」


「「「「「「はい!(です)」」」」」」


 真那さんとの二人きり(違います)の旅はなくなってしまったけど男2に対して女4。ハーレム目指して頑張ろう!

 こうして僕の勇者の旅が始まった。


どうもコクトーです

3人目の話をしたとたんに感想の数が跳ね上がりました。

人気に嫉妬しております…


まだまだ続く3人目回。

今回も感想楽しみです(笑)



ではまた次回

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