エンシェントエルフの試練です4
疑似龍昇華により龍と化した水竜との戦いから10日、エンシェントエルフ様からの試練と並行して竜に挑み続けているが、順調に相手を倒し続けている一方、何も変わらない状況に俺は焦りを隠せないでいた。
イフリート・ブレイブに続いて、延々と水とそこに潜む多種多様な小さな水の精霊を召喚し続ける水瓶の姿をしたウンディーネ・ブレイブ。地面がすべて土に変わり、その土から延々と土ゴーレムが出続け、土をすべて消し飛ばさなければ倒すことのできなかったノーム・ブレイブ。一定時間ごとに分身し、そのすべてが本体という燕の姿のシルフ・ブレイブ。試練4回で早くも火水土風の4種の上位精霊を討伐した。
また、エンシェントエルフ様の試練がない日には竜との戦闘をこなしてきた。少ない日でも1体、多い日には一日で3種の疑似龍と戦って、そのすべてを叩きのめしてきた。
そんな風に戦闘狂とも言える日常を過ごしてきたわけだが、焦っている理由はただ1つ。スキルも、職業レベルも一切上がっていないからだ。
そんな俺とは対照的に、従魔たちは言っていいのかはわからないが龍たちの協力もあって順調に強くなっていた。俺のレベルのようにはっきりと数字として見えるわけではないが、黄龍なんかはあの雷の鎖の操作がとてもうまくなったし、ヒメもぱっと見はまったく一切これっぽっちも変わっているようには見えないが、その力が強くなっているのは間違いない。
そして一番の成長株はゼルセだ。初日から今日にいたるまでゼルセはひたすらに試練と同様の100連戦に挑み続けていた。雷龍たちが干渉していないため俺が挑んだものほど理不尽な強化はされていないらしいが、それでも十分に高い難易度を誇っていた。途中で2度ほど休憩を挟みはするものの、そもそも異なる種類のモンスターたちの群れと連続で100戦もこなすというのはかなり負担が激しい。『再生』スキルがあるとはいえどもう一度やるかと聞かれたら答えは否だろう。少しの油断が即死に直結するあの連戦に挑めば間違いなくいくつものスキルや職業レベルが上がるだろう。しかし、あれをクリアするための疲労によって、今度はエンシェントエルフ様の試練で死ぬ可能性が高くなる。
エンシェントエルフ様の試練もここまでは問題なくクリアしているが、別に簡単なわけではない。イフリート・ブレイブ戦は広がるマグマとそこから現れるマグマゴーレムたちの対処を間違っていれば迫りくるマグマと、そのマグマから発せられる熱で間接的に殺される可能性があったし、ウンディーネ・ブレイブも時間をかけてしまっては守護龍様の試練の中であったキングデーモンズスライムとの戦いのように水中に引きずり込まれ、息ができなくなって普通に死んでいた。召喚される水精霊の中にはタコやイカ、ウミヘビのように絡みついてくるようなタイプもおり、水深が浅くても溺死させられる可能性はあった。実際にそうなったら『竜化』しただろうが、そうなったら遠距離攻撃の餌食になっていただろう。
ノーム・ブレイブもシルフ・ブレイブもいくらでも死ぬ要素があった。あのダンジョンに他にどんなモンスターが出てくるかはわからないが、エンシェントエルフ様がそんな半端な相手を用意するとは考えにくい。いくら俺からひつ姉の話を聞く目的があると言ってもそのために手を抜くようなことはしてくれない。というか、『これくらい簡単に超えてくれるでしょう?』とでも言うようにモンスターをけしかけてくるのだ。手加減をなんて話を出したら最後、1ヶ月かけて行われるこの試練を突破したとみなされないかもしれない。そうなってはいつまでたってもこの国から出ることは叶わないだろう。勝手に出ていけばいいだけの話かもしれないが、そうしたらエンシェントエルフ様がどんな手をうってくるかわからない。守護龍様の力を借りて気が付けば延々と終わりのない森の中を歩き続けるとかそういうこともありえるかもしれない。
「ふふふ、どうなんでしょうね?」
考え事をしながら二人で試練を行うダンジョンまで転移してきたところで不意にエンシェントエルフ様が笑いかけてきた。
「……その、自然に頭の中を読むのやめてもらえませんか?」
「しっかりと顔に出てましたよ。早く出ていきたいと。それに、私が本当にあなたを国外に出すのかと」
「姉さんにえらく執着しているようですからね」
「執着だなんて言葉が悪いですね。これは私の愛であり、約束ですから。当然、あなたの屋敷に戻ったとしても定期的に連絡は入れてもらいますよ。柩様の居場所の手掛かりを見つけたとか、柩様がかつて使っていた物が見つかったとか、柩様に通ずる何かしらが見つかったとか。どんな些細なことであっても連絡はいれてもらいます。水晶はもう準備してありますよ」
「なんだかんだで俺が試練を超えられると思ってもらえてるんですね」
「……これは失言でした。まあ今回の試練で折り返しとも言えますし、ここまで来て簡単に死ぬことはないでしょう。先に伝えておきますが最終日の試練は特別な物を用意していますから、万全な状態を整えなさい。あなた自身のみならず」
エンシェントエルフ様の言葉が意味するところは今エルメラさんが頑張ってくれている俺の剣のことだろう。ここまでの試練では魔法をメインにしていたし、武器がいるとなった時には『ダークネスソード』や『マジックソード』で代用していた。しかし、自分で言うのもなんだが俺の真骨頂は近接戦闘にこそある。
『死龍装甲』を纏った『竜化』状態での『龍殺しのブレス』という龍種特化のスキルは除くとしても、大量の魔法スキルはあくまでも牽制であったり、相手を確実に閉じ込めるためのもの。『鬼化』や『獣化』によって身体能力を上げて物理で殴ることこそが俺の最大火力だ。数で無理矢理強く見せているだけで、本物の魔法使いには到底及ばない。だからこそ、今の俺にはその最大火力を活かすための道具が必要だ。豊??地のガントレットを手に入れたことで素手での格闘も以前よりダメージを気にせずにできるようになってはいるが、ユウカレベルの相手の場合、俺の技術力では通常攻撃でもガントレットごと腕を切り落とされて攻撃を受けることもできないだろう。壊れない、壊れにくい武器、それでいて自分にあった武器があるというだけで戦いの幅は大きく広がるし、そのレベルも上げられる。
「それでは今日の試験といきましょう。準備してきます」
エンシェントエルフ様はいつものように奥に進んで行った。
そしていつもよりも少し長めの待機時間の後、広場全体が魔力を帯びて光り始める。
『バトルスタート』
機械音声のアナウンスの後、広場自体には何の変化も見られなかったが、俺を中央とした四方に四種の上級精霊が姿を現した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
なかなか書けずに時間がかかってしまいました。
花粉症が辛すぎる上に阪神が負け続けているのでテンションがかなり低めのコクトーです。
4月5月と案件が立て続けに入って夜勤だらけで体調を整えるのが難しいですがなんとか頑張ってます。今日も夜勤ジャー
ではまた次回




