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試練休みの一日です2

 深紅に輝く瞳をした水龍が俺に牙をむいた。

 水龍となったことによりその体は一回りも二回りも大きくなっていた。太くなった胴の周りを漂う水の帯がもはや先ほどまでの水竜のようで、それぞれが意思を持っているかのように蠢いている。


「クゥォォオオオ」


 水龍の雄叫びに合わせるように地面のあちこちから水がわき出し、昨日のダンジョンと違ってマグマではないが滝が生まれて壁からも水が流れ出た。これではすぐに足元が水で埋まると判断して『全方位結界』を張りなおす。なんとか結界の内側は水が入ってこずに足を取られない場所を確保できたが、それも一時的なものですぐに水嵩が増して重みに耐えられなくなって割れてしまった。


「『クエイク』」


 この水の量ではどこまでもつかわからないが、少しでも動きやすくするため周囲の地面を隆起させる。それほど広いとは言えないが足を水につからせたままよりは大いにましだろう。


「『サンダーブレス』」


 水を出し続けるのに必要なのか、雄叫びを上げ続ける水龍に『サンダーブレス』を放った。水龍はそれに対して何も動きを見せないが、周りの水の帯が盾のように広がって雷を受けた。貫通はできそうにないか。

 防がれはしたが、雷を帯びた水を再び周りに浮かべることはできないようで水龍は周りの水に落としてその雷を散らしていた。その分水がせりあがり水龍の周りを漂う帯になる。こうしているうちにも周りの水位はどんどん上がっており、この足場に届くのも時間の問題だ。


「『アイスレーザー』」


 雄叫びを唐突にやめた水龍の口元に魔力が集まっていく。それを見て水龍本体ではなく周りの水の帯へめがけて『アイスレーザー』を放った。拡散させて周りを狙ったレーザーに水の帯が広がり防がれるが、凍った端から重力に従って落ちていく。自分で操るというよりは自動で動く水の帯だからこそかもしれないが、『アイスレーザー』によって凍り付いて落ちていく水の帯はその氷を盾にするでもなく減っていく水が防ごうとしていた。

 水が凍って手薄になったところを『ハンドレッドナイフ』で狙い撃つ。わずかな時間差で発射されるナイフたちが薄くなった水と氷を貫いて水龍の体に突き刺さった。すべてとはいかないが数が多い『ハンドレッドナイフ』が次々に水龍の体に突き刺さりその血が周りの水を濁らせる。


「クゥォォオオオ」


 傷つきながらも水龍がブレスを放った。『ハンドレッドナイフ』では太刀打ちできずに水の奔流に呑まれ、そのまま俺にまっすぐ迫りくる。

 ブレスを打ち消すように『ブレイクショット』を飛ばして真正面から迎え撃った。俺と水龍の間でぶつかってその威力を減じたものの、溜める時間が足りずにブレスをすべて打ち砕くにはサイズが足りなかった。すぐに『ダークネスシールド』と『魔力盾』を大量に展開して弱まったブレスを受け止めるがわずかにまにあわなかった一部が頬をかすめて背後の水に消えていった。回復系スキルによって1秒と経たずに塞がった傷から流れ出た血をぬぐい、『シールドバッシュ』でブレスを押し返す。


「『ダークネスランス』」


 『シールドバッシュ』の勢いもなくなってブレスに押されかけてきたところで盾ごとブレスを撃ち抜いて水龍が開く口の中に飛び込み内側から水龍を破壊した。

 比較的柔らかい内側の肉と硬い鱗を貫いて飛び出す黒い槍が通った穴からどくどくと血が流れ、赤く染まった水だまりに飛ぶ力を失った水龍が大きな音を立てて崩れ落ちる。

 水の中で水龍の体から直接流れる血によって水がどんどん赤く染まっていくが、その水位が待てども待てども下がらない。


「『クエイク』」


 嫌な予感がして地面の高さを上げた。それを察知されたのか、俺が上げた地面を赤い水の塊が襲った。水の塊が当たった土の壁がぼろぼろと崩れ、さらに活動できる地面が減ってしまった。


「『雷纏』『サンダーレーザー』『サンダーボール』」


 周りに赤い水球が次々と浮かび上がり、俺の立つ土壁や俺自身目掛けて襲い来る。俺は気づけば赤く染まりきり、地面も見えなくなってしまった赤い水たまりに向かって大量の雷を流し、浮かびあがる水球は個別に『サンダーボール』で撃ち落とした。

 赤い水に姿を隠してこちらを狙う水龍もその水を伝って襲い掛かる雷にいてもたってもいられなくなったのか激しく傷ついたままの体を揺らして水の下から姿を見せた。赤い血の混じった水が滴るその姿は、水龍へと無理矢理昇華したことによって変わってしまった真っ赤な瞳も相まって怒りに染まっているようにも見えた。


「クゥォォオオオ」


 浮かび上がる水球に変わり、『アクアランス』のように水が伸びてきた。水球と違い『サンダーボール』では撃ち落とすことも難しいそれらではあるが、既に俺の仕掛けは終わっていた。


「『ファングショット』」


 空中に浮かんだ半透明な牙が無防備な水龍の頭を噛み切った。胴体から離れ、瞳の色を失った首が水に落ちるとともに、目前まで迫っていた水もその力を失って地面に落ちる。水龍の力がなくなり、血の混じった水が地面に吸い込まれていくのを見ながら『クエイク』で上がった地面も元に戻す。水がなくなってもあたり一面が真っ赤に染まっている光景は地獄としか表現できそうになく、あまり見ていたいものでもない。


「いやあ、お見事でした」


 極力視界に入れないように上を見上げていると、先ほどよりも一回り小さくなった水竜が姿を現した。はっきりと見てわかる程度には弱体化しているが、これは無理矢理水龍になったことの副作用なのか、俺に殺されて復活したことによる副作用なのかと考えていると、軽く上を見る俺の様子に気がついた水竜が放つ魔法によって地面の赤色がきれいに押し流される。生活魔法の『クリーン』とも違うようだが、それは俺の周りを避けながら波紋が広がるように地面についた血を残さず消し去った。


「あなた相手では意味がないかと疑似龍昇華で龍へと偽りましたがダメでしたね。ですが鍛錬にはなりましたか?」


「おかげさまで。殺してしまいましたが」


「それは言わないでくださいな。我々も自分の力を試す場ができるし、足りない物も見えてくる。そして何より決意が鈍ってもいけない。私はしばらく無理ですが、今後も鍛錬をと言うのであれば我々竜がお相手しますよ」


 元の穏やかな微笑みを浮かべながら話す水竜の言葉には、姿は見えないがこちらを射殺すように見つめる何体もの龍の姿を幻視した。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

 龍人  (20) 死龍人(20)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70

 精霊使いLv32/40   舞闘家 Lv59/70

 大鬼人 Lv20/40   上級獣人Lv15/30

 魔導士 Lv81/90    魔人  Lv12/20 

 探究者 Lv31/99   狙撃王 Lv1/90

 上級薬師Lv1/80

非有効職業

 呪術師 Lv1/80    死霊術師Lv1/100

 アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99

 上級龍人Lv1/30    死龍王Lv1/30 』

ちょっと遅れてしまいましたがまだ日曜の25時前なのでセーフ!


なぜ休みのタイトルで戦闘を書いているのか自分でもわかりません。

開幕阪神が3連敗した腹いせに誰かをぼこぼこにするシーンを書きたかったのでは?とか言わないでね(懇願)

夜勤、案件だらけの4月がやってくる…


ではまた次回

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