エンシェントエルフの試練です2
階段を下っていくと、試練で使ったようなドーム状の何もない広場だった。さすがにあそこほど広くはないが、十分に戦闘も可能な広さがある。こんな場所があるのならわざわざ危険を冒してまで地下の龍たちのところに向かわなくてもいいのも納得だ。
俺はエンシェントエルフ様に続いて広場の中央に進んでいく。ダンジョンの機能を使って俺が試練として戦う相手を召喚するのだろう。
「ではこのあたりで待機していなさい。あなたへの試練を準備します」
「はい。現れたらすぐに開始でいいですか?」
「ええ。終わったら私も戻ってきますから」
「わかりました」
エンシェントエルフ様が何もない壁のように見えて実は回転扉になっていたらしい壁を抜けて奥に入っていって1分くらいたった時、広場全体が魔力を帯びて発光し始めた。どこからどんな敵が襲い掛かってきても対応できるように『魔法剣召喚』で用意した剣を『ダークソード』で補強し、『魔力盾』と『ダークシールド』を周囲に展開して構える。
『バトルスタート』
機械音声による謎のアナウンスの後、光が強くなり、周囲の状況が一変した。
「あっつ!」
俺が立っていた場所を含め、一直線に壁際まで続く陸地の周りはマグマに囲まれていた。ただの石壁だったはずの周りも滝のようにマグマの流れる危険な壁へと変貌し、マグマの熱気で空気自体が暑い。
「『死龍装甲』」
現状この暑さによるダメージはないが、それが『再生』などの回復が上回っているからこそのものなのかわからないし、まだ姿が見えないが試練のために召喚されるであろうモンスターとの戦闘のことを考えた結果の『死龍装甲』だ。外気にさらされたままの顔なんかはまだ暑さを感じるものの、全身を突き刺すような暑さも装甲に覆われた部分に限っては完全にシャットアウトできていた。
「『アクア』」
姿は見えないが『探知』に反応があった場所めがけて水の球を飛ばした。蒸発するとまではいかずとも多少の減衰の見られる『アクア』がマグマの中から飛んできた炎にぶつかって消し飛んだ。すぐに『サンダーレーザー』でその射出元めがけて追い打ちをかけるがマグマを撃ち抜くだけで炎を飛ばしてきた主には当たらなかった。
そうしているうちに周囲に新しい反応が次々発生し、マグマからその姿を見せた。
「マグマゴーレムか。『魔力砲弾』」
マグマから起き上がろうとする多数の人型めがけて『魔力砲弾』を放つ。マグマそのものによって形づくられたわけではなく、岩がマグマを纏ったようなゴーレムだったようで、『魔力砲弾』は貫通せずにゴーレムたちを破壊する。しかし、破壊した端から次のゴーレムが起き上がってくるのが見えた。『魔力砲弾』が撃ち抜く前に動いていた一部のマグマゴーレムが投げるように飛ばしてきたマグマが展開していた盾に当たって近くに落ちる。打ち漏らしや倒すのが遅れるだけで周りの陸地がなくなりかねないな。
「『全方位結界』『バーストショット』」
マグマゴーレムが生み出される場所を少しでも減らせられればと結界を張ってマグマを爆発で吹き飛ばす。マグマゴーレムに狙いをつけて『魔力砲弾』を放ち続けながらの行動だから爆発がひどく疎らではあるが、一時的にでもマグマがなくなる部分ができ始めていた。それも周りにあるマグマが流れ込んでくるまでではあるがないよりはましだろう。
「……そこか」
爆発によって飛び交うマグマの間を縫うように移動する何かめがけて分散させた『サンダーレーザー』を放った。それすらも躱そうと動き回るそれを狙って本数を増やす。そして増やした雷の1本がついにその飛び回るものを捉えた。
「------------!」
声なき声が上がり、拳ほどの大きさの火の玉に向かってマグマが集まっていく。マグマゴーレムたちもまとめてそれに巻き込まれるようにして流されていく様はなかなかシュールな光景ではあるが、そうも言ってられない。
集まったマグマによって形成されていく巨大な猪のような姿。爆発によって飛び散ったマグマの分なのか、事前に倒したマグマゴーレムの分か、本来形成されるはずだっただろう牙の先が片方かけていた。
『イフリート・ブレイブ(上級精霊)』
以前火龍様の下で見たイフリートとはまるで違うその姿に圧倒されつつも動き出す前に少しでもダメージをと『サンダーレーザー』を収束させて放った。その場で地面を蹴って威嚇するイフリートの目のあたりをまっすぐに貫いたが、『サンダーレーザー』が通った後が空洞になるだけで、すぐに周りのマグマを吸収して回復した。あのイフリートとは違って核となる部分を消し飛ばさないと倒せないのか。
「同じ方法を試すか」
マグマの滝は細くなったがまだ流れ続けており、そのままではそう遠くないうちにまたマグマの海が出来上がる可能性もあったが、『魔力砲弾』でマグマゴーレムを狙い撃たないでよくなった分楽にはなった。とりあえずそれを防ぐための一手として左右2ヶ所ずつ、4つの滝の噴出口に『バーストショット』を放つ。爆発によって流れ出るマグマが止まった。ここがダンジョンと考えると止まるのはおかしな気もするが、こちらとしては好都合だ。
マグマも止まったことで手の空いたところで『ダークネスボール』を大量に展開する。あれだけの巨体を形成するマグマであろうと消し飛ばしてしまえば体内を蠢く核を突き止めるのも時間の問題だろう。まあ最初の時点で消し飛ばせれば終わったのだろうが後の祭りだ。
「ブモォォォォオオ!」
マグマの猪が雄叫びを上げて突っ込んでくる。体を『ダークネスボール』で削られようがお構いなしか。
「『ダークシールド』」
イフリートの前に大量の盾を展開してその突進を受け止めた。『シールドバッシュ』も併用した壁によって止まったイフリートだが、牙によって一部の盾は貫通され、他の盾もマグマに焼かれてそう長くはもちそうにないな。
そうしている間にも大量の『ダークネスボール』を放つが、体を形成するマグマをえぐり取るだけでまともにダメージは入っていないようだった。そうして盾が焼かれている間にイフリートの口元にマグマが集まるのが見えた。あれには今の盾では耐えられそうにない。
「『ブレス』」
噴出するマグマで盾が焼き消されてこちらに向かってくるのを『ブレス』で打ち消す。吹き付けられるマグマは抑え込んだが、残っていた盾が体のマグマに焼き尽くされた。再びイフリートは突進すべく地面を蹴り始めた。勝ったな。
「『黒槍の雨』『黒雷』『ファングショット』」
足の止まったイフリートを上下から闇の槍が挟み込む。面で降り注ぐ槍によって体のマグマが消えていくが、大量の槍をイフリートの核はダメージを受けながらも抜けて出た。狙い通りに跳び出たそれが周りのマグマに逃げ込む前に核を噛み砕く。
砕けた核が地面、そしてマグマに落ちる前に『死龍のブレス』で完全に消し飛ばす。それが正解とでも言うように、噛み砕いた時点では何事もなかった周りの空間が変容し、マグマも、変わり果てた地面も何事もなかったかのように元の広場に戻った。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
先週はすみませんでした。酒コワイ…。ずっと飲んでないとああまで弱くなるのか。
ではまた次回




