エンシェントエルフの試練です1
エンシェントエルフ様の下へ転移してきた。一人で転移してくるのは初めてだったが特に問題もなさそうだ。
転移に使用した多量の魔力も『再生』などの回復スキルで順調に回復していく。これなら転移後に休憩も必要なさそうだ。
『来たようですね。私の部屋ではなく、先日の地下への魔法陣の元まで』
頭に直接エンシェントエルフ様の声が響く。地下への魔法陣とは俺が試練を終えて地上に戻ってきた時にできたもののことだ。エンシェントエルフ様があの地下にいた龍たちに協力を依頼したということだろうか。
指定された場所までやってきた。『クエイク』で暫定的に作った箱はなくなっており、守護龍様かエンシェントエルフ様かどちらの手によるものかはわからないが、多量の木の根によって作られたドームに変わっていた。
「2日ぶりですね。準備はできていますか?」
「おはようございます。いつでも大丈夫です」
根が蠢きドームに穴が開いたかと思えばエンシェントエルフ様が出てきた。前置きはなくそのまま本題に入るエンシェントエルフ様は、再び木の根を動かして魔法陣を塞いでしまった。
「それでは行きますよ。ついてきなさい」
エンシェントエルフ様はドームに包まれた魔法陣を使うのではなく、その足で明後日の方角に移動し始めた。
「地下の龍たちのところに行くのではないのですか?」
「なんのために? それに、私はあの転移陣を使用はできないでしょう。メイさんと共に行くか、守護龍様に護っていただきながらならばいいでしょうが、転移したところでその場で消し飛ばされる可能性もあります」
「てっきり地下の龍たちと話をつけてあそこで試練を行うとばかり……」
「以前話したと思いますが私が守護龍様の試練を超えた時には介入などなく、この地に守護龍様とともにおられる龍たちのうち、お会いしたのは2体のみ。それも守護龍様のおまけとしてであり、私のことはほぼ認められてはいないでしょう。今一度試練を踏破して見せれば多少は考えも変わるやもしれませんが、あの試練に再び挑むには今の私は立場が悪い」
エンシェントエルフとしてこのヤカリ森国全体の盟主であり、守護龍様から自身の守手としてこの地に住まい管理する役割を任されている自分では簡単には命をかけることはできないということなのだろう。そもそも900年間も柩のことを探していたというが、今の立場がなければ自身の足で探していたのだろうな。
「そんなわけで試練を行うのは別の場所です。少し歩きますよ」
「わかりました」
エンシェントエルフ様の後について行こうとすると、エンシェントエルフ様の行く手を塞ぐような位置に従魔達が姿を現した。
「かう!」
「おやおや」
威圧しないようになのか腕を後ろに組んだゼルセの両肩にちびっこ2体が乗っかる形で出てきたかと思えばぴょんとヒメがその肩から飛び降りた。
「かうかーうかうかう」
「がぁあ」
ヒメが身振り手振りで何かを説得しようとしているが、エンシェントエルフ様にはまったくもって通じていなかった。まあ何言っているのか俺もわからないからな。
その様子に気が付いたゼルセが呆れ気味に俺と黄龍を交互に見た。通訳をというわけだ。
「ちちさま、われらだけでもあそこにいきたいのだ。だめ?」
「あー、そういうことか。でも、お前らだけ送ったところで戻れるのか?」
「かうかう!」
「だいじょーぶなのだ! ちょっとくらいちちさまからはなれてもぴゅーってもどれるのだ! いまなら」
黄龍の最後の一言はとても悲しそうな言葉だった。その言葉に込められた思いは今俺とつながりが切れている4体の従魔たちに向けられたものだろう。あの特殊な渦の魔法による転移によって引き起こされたこの状態ではあるが、目の前の3体はなんとかつながりを保ったままなのだ。であれば多少の転移で離れるくらいなら戻ってこれるだろう。
「それならこっちが終わった後も気にしなくていいか。エンシェントエルフ様、ダメでしょうか?」
「いえ、彼女らであればあなたと同様きちんと認められているでしょうから」
エンシェントエルフ様はくるりと向きを変えて木の根のドームにまた穴を開けた。
「かうかう!」
「がぁ」
「ありがとなのだ!」
三者三様に礼をして魔法陣に乗る。ヒメが魔力を通して地下に転移していくのを確認して、再びドームの穴は閉じられた。そして俺たちは試練の場所だという森の方へ移動した。
森に入って1分ほど歩くと、周りの木に隠されて外からでは見れなかった物が見えてきた。
木が生い茂る森の中にぽっかりと空いた空間に置かれた、周りの木よりは少し低いが十分に大きな真っ黒い巨岩。明らかに異彩を放つその巨岩は歪な三角錐のような形をしており、よく見てみるとその表面には四角の穴が開いていた。
「行きますよ」
エンシェントエルフ様がアイテムボックスから取り出した何かの箱をその窪みにはめ込むと、ガコンと何かがずれる音がして、切れ込みも何もなかった巨岩がゆっくりと2つに割れて開いていく。
岩がずれたことでその下に隠されていた階段がその姿を現した。ゼルセがぎりぎり通れるか通れないかというサイズの階段。俺とエンシェントエルフ様ならば並んで降りていくことも可能だろう。
「いつまでも開いているわけではありませんからさっさと行きますよ。心配しなくても一度これば今後は転移できます。たった2層しかなく、モンスターも出現しない特殊なダンジョン。そんなものだと思ってください」
エンシェントエルフ様からの言葉で気が付いたが、開ききった岩の扉が閉まり始めていた。開く時よりもさらにゆっくりではあるが、それでもすぐに通れなくなってしまうだろう。
ライトを浮かべてさっさと先に下っていくエンシェントエルフ様を追いかけて俺もその階段を下った。
特殊なダンジョンだとは言っていたが、階段を下りて行った先は研究所のような場所だった。中央に巨大な装置があり、そこから伸びるコードはそれを埋めるような形で後から作られたのであろう床と同化し、壁際に置かれたまた別の装置につながっていた。エルフの里を思えばこそのその異様な光景。俺たちがやってきたことにも気が付いていないかのようにそれらの機械をいじっている数人の人間。しかしその全員が無表情でまるで生気を感じない。
「行先はもう少し下ですよ」
俺の困惑を知ってか知らずか、エンシェントエルフ様はこちらにとさらに下に続く階段を指し示す。
「えっと、あの、彼らは?」
「ああ、ホムンクルスとでも言えばいいのでしょうかね。大昔に愚か者が作った人工生命。意思もなく、命令をこなすだけの存在です。ここでなければ数秒ともたない命ですが、ここでならまだ生きていけますから、ここの管理を任せているんです。ちなみに、あれは200年ほど前ですかね。事故で制御が緩んだ隙にダンジョンが生成した機械たちです。簡単な治療ができるだけのものですが、何もないところでもしょっちゅう転ぶここのホムンクルスたちには重宝しますね」
「は、はあ」
無表情なドジっ子と一部の方々が歓喜しそうな面々に困惑しながらエンシェントエルフ様と共にさらに階段を下った。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
多少は話が進ん……でない? サブタイトルは変わったので進んだよねきっと。
レジェンズアルセウスが楽しすぎる。図鑑完成と言うやりこみ要素があって、本編でそもそもやりこみを推奨されているなんてもうやりこむしかないじゃない。
ではまた次回




