エルフの里での一日です2
エルメラさんの工房でからんできた『金の軍団』の3人が後についてくるのを確認しながら俺は外に出た。入るときはちょうど死角にいたから気が付かなかったが先ほど冒険者ギルドで宣言をしていたリーダーの男を含めた他のメンバーは外で待っていたらしく、後から入った俺のあとをつけるようにして外に出てきた3人に何事かと問いかけてきた。
「エルメラ殿に依頼できたのか?」
「あー、もともと依頼してた分は受け取りました。支払いも済んでいやす」
「追加分については、厄介なことに1ヶ月ほど依頼断ってるそうなんですよ」
「その理由がこっちのあんさんの依頼をこなすためってことで。交渉してたんすよ」
「そういうことか。少年、無理を承知で頼む。先にこちらの依頼をしてもかまわないな?」
「いやそれ頼んでないな」
「そうか、ではいいということだな」
「だめだ。話を聞かないタイプの人間なのか? 俺もあまり長居はしたくないんだ。諦めてくれ」
「我々は『金の軍団』。うちのトップはSランクの冒険者だ。そんなお方にいつまでも格落ちの武具を使わせてしまっている現状を世界はよくは思っていないはずだ」
中で話していた時も話題に上がっていたが、どうやらあのジョーさんとペアになって戦った時に壊れた盾の修理が終わっていないらしい。一瞬エルメラさんがあの盾の製作者なのかとも思ったがあの時ゴールドさんは『彼に怒られる』とつぶやいていた。ギルドで話していたエルフの男性もエルメラさんがやっているのは一部の装備だと言っていたし、おそらくお抱えの鍛冶師が別にいて、その人が作った盾だったのだろう。
実際に防具を壊した立場からしたら多少の罪悪感はあるが、あれは向こうが仕掛けてきた戦いの中で起きたことだ。それにジョーさんからは例の薬をもらったが、ゴールドさんからは何ももらっていない。こちらが引くような理由はないかな。
「彼女が作り上げる武器防具のすばらしさ、そして彼女が求める物も我々は理解している。依頼の内容を聞けば彼女もこちらを優先したいと言うだろう。しかし一度受けてしまった以上、彼女も依頼主の意向を無視してそういうわけにもいかない。だから君から言ってくれ。それですべて解決だ」
「俺もそんなに長くここにいたいわけじゃないのに、この状況でわざわざ自分の依頼を遅らせてくれなんて言うわけないでしょ?」
「それは我々に1ヶ月もの間ここで待っていろと言うことか? 君も頑固だな」
「まあまあリーダー、その辺の話はついさっきまでやってたんすよ。俺たちの方で。そんでもって、外に出てきたってことはわかるでしょう?」
「なるほどな。では場所を借りてこい。町の外れでやってもよいだろうが、公正な見届け人が欲しい。少年よ、我々が勝ったのであれば君の依頼を後回しにしてもらう」
「はっきり言って納得はしてないんだが、俺が勝った場合は?」
「お前、勝てると思ってるの?」
「あまり人を侮辱するものではない。我々が『金の軍団』のメンバーであるというのは一目見ればわかること。冒険者ギルドの中で宣誓も聞いていただろう? 掲示板の近くにいたな」
「さすがリーダー、よー見てますね。依頼受けへんかったの?」
「明日には予定がある。数日かかる物しかみ見当たらなかったから諦めただけだ」
「明日に予定を残しながら依頼を探しに冒険者ギルドに行くとは。大方エルメラ殿の依頼に金を使いすぎたのだろうな。たまにいるのだ。エルメラ殿の作る武器防具の性能を聞き、自分もそれを使えば強くなれると己の身の程を知らずにやってきて、身を滅ぼしかねないほどの金額を使い、人によっては借金までして手に入れる。しかしそれをきっかけに生活に困り、身の丈に合わない危険なモンスターに挑み死亡する。そのような哀しき連中が」
「んー、それならその一部、1割くらい? 払うから先にやらせてよ?」
「鍛錬もかねて依頼は探していたんだよ。別に生活に余裕がないわけじゃない。まあいくらでもあるわけではないが先にってのはだめだ」
「であれば君が勝利した暁には1割を支払おう。その代わり我々が勝利したのであれば先に依頼をこなさせてもらう」
「1割か……」
試練を突破したことで手に入れた金があったから先にエルメラさんに支払った金貨400枚もそこまでの痛手ではない。それを思えば別に彼らの話を聞く理由はないと言っても過言ではない。しかし、1割でも金貨40枚。それを勝てる勝負で勝利するだけで手に入るというのは魅力的だ。向こうの言う公正な見届人というのが誰なのかは知らないし本当に公正なのかという疑問はあるが、第三者が間に入ってくれるというのはいい。こうしてもめているのが既に貶めているような気がしなくもないが、『金の軍団』としてはあまり無茶なことはできないはず。ゴールドさんの顔に泥を塗るのも同然だからだ。
「わかった。俺が勝った時にはエルメラさんに支払った依頼代金の1割をもらい、依頼の割り込みは諦めてもらう。ただし、そちらが勝った場合は俺からエルメラさんに説明してそちらの依頼を先にこなしてもらう。その条件ならば受けよう」
「よろしい。『金の軍団』第三パーティがリーダー、クリステラの名のもとに尋常に勝負だ」
「リーダー、フィアーが来てくれたっすよ」
「クリステラ卿、元気?」
「うむ。そちらもお元気そうで。今回は突然の依頼申し訳ない。場所を貸していただけるということでよろしいか?」
『金の軍団』のメンバーが連れてきたのはよさそうな鎧を付けたエルフの女性だった。フィアーという名前に聞き覚えがあったがどこだっただろう。エルフの知り合いなんてほとんどいないしユウカの話にでも出てきたんだったかな?
「変態のところで喧嘩がという話が聞こえてきてはいたが、別にそういうわけでもなさそうだな。そちらの君も災難だったね。それで、訓練所を借りて戦いをしたいと聞いているが相違ない?」
「俺が勝てば俺の依頼代金の1割を彼らが払う。向こうが勝てば俺の依頼を後回しにしてエルメラさんが彼らの依頼を受ける。そういう約束で彼らの挑戦を受けました」
「横入りは感心せんなー。だが、こと依頼という話なら彼女は本物だから。横入りしてでも先に作ってもらいたいのも無理はない。しかも『金の軍団』は彼女の作ったものも使っているからその性能も知っている。少しでも早くほしいと思うのはやむを得ない。こうして正々堂々と戦いを行う以上、後からギャーギャー言わせないからそれは安心してほしい。これでも副隊長だからある程度の権力はあるからね」
「それなら安心ですね。よろしくお願いします」
「はいはい。それじゃクリステラ卿、第二訓練場が空いてるからそこで」
「うむ。感謝する」
俺はフィアーさんについて『金の軍団』と共に第二訓練場なる場所に向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
ものすごい久しぶりの連日更新です! いつ以来だ……?
はい。これで2021年の更新は最後となります。あと3分!
今年は(今年も?)毎週投稿がとぎれとぎれになってしまいましたが2022年こそは途切れないように頑張りたいと思います。完結目指してのんびりだらだら進みますので、これからも読んでいただけると嬉しいです。
2022年もよろしくお願いします!
ではまた次回




