試練後の地上です5
「うーん、まさかこれの素材が全部そろう日が来るなんてねー。さすがに想像だにしてなかったなー」
「俺はたまたま持っていましたが名前すら書いてない素材でしたからね」
「そうそう。オリハルコンを超える硬度を持つ素材っていうならいくつか候補はあるけど、それ以外はてんでだったからね。でも、こうして揃ってしまった以上は私がこの設計図の通りに作ることができるか否かが勝負の分かれ目になるわけだね」
「それで、この依頼受けてもらえるんですよね?」
俺の問いに対し、エルメラさんは手にしていた角を他の2つの素材の横に並べ、自信満々な表情を浮かべた。
「だが断る!」
「えぇ!?」
「冗談冗談。もちろん受けさせてもらう……と言いたいところではあるんだけど、はっきりとうんとは言いづらいかな」
「それはまたどうして?」
悪ふざけをした後のエルメラさんはどこか申し訳なさそうに視線を逸らした。
「まー何と言いますか、できるとは限らないんだよね、これ」
「あー……」
エルメラさんが申し訳なさそうにする理由がわかった。エルメラさんが俺に見えないように裏面を向けたままひらひらとゆすっているその数枚の設計図の束が本物であるのかどうか、そして、本物であったとしても自分がその通りに作ることができるのかどうかがわからないのに「はい、わかりました」と受けることはできないとそう言いたいのだろう。プロとして。
「どうしてもだめですか?」
「条件として、たとえ失敗しても追及も請求もしないっていうなら受けるよ。いや、一研究者である私としては是が非でもやりたいところではあるんだけれど、鍛冶師の私としてはぶっつけ本番のそれでお金をむしろうという気にはなれないんだよ」
「俺としてもあれらの素材をもう一度用意なんてできませんし、その設計図を使えるのはまぎれもなくあなただけ。それなら選択肢は1つしかないですよ。条件をのみますよ。鍛冶師のエルメラさんに依頼させてもらいます。この素材で折れることのない最高の1本をお願いします」
「……承知した! いやー、言ってみるもんだね。端から失敗するつもりはさらさらないけど、私も初めてやるものだからある程度期限はちょうだいよ? 具体的には今受けてる依頼が終わった後から1ヶ月くらい」
「あー、そりゃそうですよね。先にうけてる依頼をおろそかにはできませんよね」
「まあちょっと自分の研究優先してて依頼を絞ってたから、お得意様の盾修理だけなんだよ。それもあとは仕上げだけだし、2日以内には終わるから。ほんとのところはこんなド派手な出来事がなければ今日仕上げるつもりだったんだけど……」
「なんかすみません」
「いいのいいの! どちらにせよ掃除のために追い出されてたからね。それに……ふひっ」
たれてきたよだれをふき取りながら不気味に笑うエルメラさん。その頭の中に思い浮かべているのはアイテムボックスの中にある俺が渡した黒曜龍の素材とゼルセが助けを求めるのに差し出した腕だろう。龍鬼王なんていう初めてであるだろう龍の素材を手に入れた研究者のエルメラさんが興奮しないはずはないだろう。それほど知らない俺ですらそう思うのだから。
「おっといけないいけない。思わず愛が溢れて机を汚してしまうところだったよ。それじゃ、ちょろんと話をしてしまったけど確認事項に戻ろうか」
「……え? あ、あー」
思わず声が漏れてしまったが、そういえばそういう話だった。求める武器がどんなものであるか。それは依頼に当たって確認したいと言っていた項目の1つ目だ。脱線しすぎたな。
「まあその実、残りの2つとも話の中で出ていたからもう終わりなんだけどね!」
「えっと、素材をどうするかってことですか?」
「そうそう。武器については聞いたからよし。持ち込みじゃないとそもそもできないからそこはよしとして、1ヶ月待ってもらうってこともさっきOKもらったからよし。それじゃあさくっと契約書作っちゃおうか」
エルメラさんは立てた3本の指を1本ずつ曲げていきながら順に確認していくはずだった事項を改めて口に出していった。そしてアイテムボックスから1枚の紙を取り出した。そして「ちょっと待ってねー」と言いながら同じく取り出したペンでなにやら文章を書きあげていく。
「でーきた。内容に誤りがないかどうか一通り確認してもらえる? 内容と、金額に問題なければサインしてちょーだい」
書きあげられた契約書には箇条書きで先ほどの会話の内容がざっくりとまとめられていた。
・注文内容:エルメラの所有する設計図を使用し、以下の条件を満たす武器を1本製作する。
条件:不壊の属性を持つ。その硬度はオリハルコンを凌ぐ。使用者が片手で取り扱える。
・武器作成にあたり必要となる中心素材三種は依頼元であるメイが用意する。
・設計図にのっとり作成を行うが、そこで失われた素材についてメイはエルメラへ一切の賠償請求を行わない。しかし、作成以外の用途で使用された場合にはその限りではなく、メイへ相応の賠償を支払うものとする。
・設計図にのっとった武器の作成に失敗した場合もメイは一切の賠償請求を行わない。
・代金は素材の持ち込みによる減額を加味し、金貨400枚を前払いとして支払うものとする。
・本契約は作成した武器をメイに引き渡す、あるいは武器作成に失敗し代金の9割を返金することにより完了とする。
賠償云々については話にあがってはいなかったしそんなことは考えたくもないが、エルメラさんが素材をくすねてしまう可能性もないわけではないのだ。まあ本人がやったら賠償として契約書に記すくらいだからやるつもりはないのだろうし、自分はやらないという宣言でもあるのだろう。
1割は手数料ということなのだろう。まあ今回の依頼は設計図はあると言っても彼女も未知の領域だ。試行錯誤を重ねながらの作業になるだろうし、その期間は他の依頼を完全に断ることになる。そのことを考えれば1割と言うのは良心的かもしれないな。
「問題ありません。代金はこの場で支払いですか?」
「この場でもいいし、私の工房にきてからでもいいよ。さすがにここでいろいろ調べたりするには道具が足りないからあとで来てもらうことになるし」
「この後についてエンシェントエルフ様と話さないといけないですし、先にこの場で払いますよ」
俺は先ほど手に入れた大量の金貨の中から必要分を取り出してエルメラさんに渡す。エルメラさんはなにやら探知機のような魔道具でそれを調べ、金貨が足りていることを確認すると自分のアイテムボックスにしまった。そして俺とエルメラさん両方のサインの記された契約書に向かって魔法を唱える。
「『鍛冶師エルメラの名のもとに冒険者メイとの武器作成契約を結びます』契約!」
エルメラさんの魔法により、2人が書いたサインの横に「契」の文字が浮かび上がった。
「よーし契約完了! この書類はもう修正できないようになったから渡しとくね。1ヶ月期間はもらうけど時々様子は見に来てほしいかな。もう少し早くできる可能性もないわけじゃないし」
「了解です。今後のことも含めてエンシェントエルフ様と話さないといけないのですぐとはいきませんが」
「はいはーい。それじゃ行きましょーか!」
受け取った契約書をアイテムボックスへしまい、俺たちはエンシェントエルフ様の待つ部屋へ向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20)
有効職業
聖魔??の勇者Lv20/?? ローグ Lv64/70
精霊使いLv32/40 舞闘家 Lv59/70
大鬼人 Lv20/40 上級獣人Lv15/30
魔導士 Lv81/90 魔人 Lv12/20
探究者 Lv31/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイトLv1/99 剣闘騎士Lv1/99
上級龍人Lv1/30 死龍王Lv1/30 』
1週飛ばさなかったのはいつ以来だろうか。
残念ながらCS2連敗という形で阪神タイガースの2021年シーズンは終了となりました。
悔しいいいいいいいいいいい! 最後まで応援してました。選手の皆さまお疲れさまでした!
さあここから仕事後の楽しみ7割減の季節が始まってしまう…
ではまた次回




