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守護龍の試練です20

 次のWAVEが始まり、現れたのはまたも3つ首の巨体だった。


『三頭竜(竜種)』


 見た目からもうわかりやすいスリーヘッドドラゴンの上位種でドラゴンの代わりに竜3体の首を持った巨大なモンスター。サイズとその強さのランクが大きく違うものの、スリーヘッドドラゴンの時とそれほど変わらず、森竜、闇竜、雷竜と単純な上位互換だ。


「『獣化』『スピードエンチャント』『魔力盾』」


 まともに拳を握れない状態でどう戦おうか考えた結果、俺はスピードを重視して『獣化』をとった。剣や斧など武器を持つことをしないというのであれば、この形態で拳を握れないというのは問題ではない。魔法の威力は通常よりも多少落ちるだろうが、回復するまで時間稼ぎと考えれば威力はそこまで重要ではない。まあダメージすら与えられないというのであれば牽制にもならないから困るが、龍の装甲であっても魔法は有効だったのは既にミラの町で証明済。であれば数の暴力で無視できない程度の攻撃はできるはずだ。

 それ以外にも、この状態なら爪も牙もある。死龍人のレベルが上がって手にいれた『死龍爪』や『死龍牙』のスキルは『竜化』限定かと思っていたが、『獣化』でも無効になっていなかった。この試練の中で手に入れたスキルだし、まともに確認する時間もなかったからな。


 早速三頭竜が動き出し、三種三様のブレスが飛んでくる。光属性も聖属性もないから当たっても効くことはないが好き好んで当たりたいわけではない。

 展開していた『魔力盾』を『シールドバッシュ』でそれぞれのブレスに向かわせ、直撃を防ぐ。盾にぶつかることで起きた爆風を利用してその場から距離をとると、『アイスニードル』をそれぞれの頭に向かって放った。

 雷竜の頭がバチバチと雷撃を飛ばしてそれぞれの頭に飛んでくる氷を砕く。他の2つの頭は次の攻撃に向けて魔力を貯めていた。

 俺はその攻撃が来る前に、力が入らずだらりとたらした腕を鞭のように使って爪から『剣閃』を飛ばす。思っていた以上の威力が出て、斬撃が地面を切り裂きながら三頭竜に向かっていった。


「「ギャァァオ!」」


 今度は自分たちの番とばかりに森竜と闇竜の頭から放たれた魔法が斬撃を防ぐ。

 攻撃は通らなかったものの、2つの頭がかりで防ぐということはすなわち有効な攻撃であることの証明ともいえた。『獣化』を白虎の形態に変えてしまったどこぞのチビ虎の影響なのだろうが。

 俺は体を回転させて連続で腕を振るい斬撃を飛ばす。先ほどの無造作な攻撃と違い、正確に三頭竜を狙う攻撃だ。さすがに魔法と違い撃った後で操作はできないが、広場という限られた空間の中であの巨体なら躱しようがない。


 三頭竜は少しでも躱そうと動きながら3つの頭がそれぞれ魔法で防御を行う。だんだんと力も戻ってきた中、防ぎきれなかった斬撃が三頭竜の尻尾を半ばから切り落とした。


「「ギャァァ!」」


「グガァ!」


 痛みに悲鳴を上げるつ2頭とは別に、雷竜の頭はその傷口を雷で焼いて止血していた。三頭竜が移動する先に向けて攻撃を続けるが、より防御に力を回すようになった2つの頭によってそれ以上斬撃が体を捉えることはできない。


「ガブっと!」


 斬撃の合間に『ファングショット』を混ぜ込む。普段の両手を合わせる攻撃と違い、口で噛むことで半透明な牙を生み出す。斬撃を防ぐ攻撃をかいくぐり、雷竜の首元に現れたそれは俺の動きの通りにその首の一部を噛み千切る。


 致命傷にはとても思えないが、はっきりとダメージを負ったことは見てわかった。

 3つの頭が協力して防いでいたはずの斬撃の中で自分の首元が突然抉られる。それはどんな恐怖だろうか。斬撃を防いでいた雷の盾に目に見えて綻びが生まれ、そこを斬撃が壊し去った。

 2つの頭がフォローに回り、雷竜の頭も再度雷の盾を展開しようとするが、その前に斬撃が盾の消え去った空間を通って雷竜の頭を切り落とした。胴から離れ、蛇のようになった生気のない首が地面に落ちる。それに動揺してガードを緩めるような2つの頭ではないが、すぐにすべてに対応できるはずもなく、その巨大な胴を斬撃が切り裂く。


 2つの頭になって、後先考えないとばかりに防御から全力の攻撃に転じた三頭竜だが、ようやく『再生』による回復が終わった俺に届くことはなかった。




 結局そのまま遠距離からの爪による『剣閃』の連撃で倒し切ったが、その次のWAVEはその死体が元になった死龍だった。竜の死体から生まれたアンデッドなのに死龍なのかとか思わなくもなかったが、ドラゴンゾンビと戦った時にその厄介さは認識しているし、回復まで終わっていた以上負けるはずもなく、『獣化』を解いて『強鬼化』の状態で放った『ブレイクショット』の連打の前にあっさりと崩れ去った。

 2度のスリーヘッドドラゴンとドラゴンゾンビ。そして三頭竜と巨体を誇るドラゴンと同じ場所で3度も戦った以上、あの程度に苦戦していてはかつて喰らったはずのダムドレアスに内側から殺されてしまうだろう。既に俺の力として溶け込んでいる以上ありえない話だが、呪いとか呪術とかそんな感じで。



 死龍を倒したことで少し休憩時間を期待したが、すぐに次のWAVEが始まってしまったが、そこに現れたのは三頭竜の半分にも満たない大きさの龍が1体だけだった。

 グリーンドラゴン、森竜と来たのだからなんとなく何がでてくるのか想像はついていたが、実際に目の当たりにして、残りの4つのWAVEの内容はすべて理解できた。三頭竜なんかと違って複数出てくるものだと思っていたが、目の前のこの龍は1体で十分に試練の最終盤のボスを務めるに値するのだと、魔力を解放した姿を見て理解した。



 WAVE96。森龍は、あふれ出る魔力によって、岩肌しかなかったこの広場に緑を生んだ。

 WAVE97。闇龍は、うっすらと壁面も地面も光るこの広場を、暗闇の空間へと変貌させた。

 WAVE98。雷龍は、広場に残る森も闇も、すべてを焼き尽くし、眩いばかりの雷撃の雨を降らせた。



『1分後、最終WAVE99を開始します』


 雷龍の死体が消え去り、最後のWAVEに向けてアナウンスが入る。この1分で可能な限りの準備を済ませておけということだろう。俺は数多のスキルから、この場で自身を強化できるすべてのスキルのリストアップを進めた。


『インターバルを終了します。WAVE99/99』


 そしてついにその時が来た。想像通り、部屋に現れるのは巨大な1つの魔法陣。


「ようやく終わる。これが最後だ、三頭龍!」


 次々にエンチャントをかけていき、魔法陣から最後の強敵が姿を現すのを待った。これまで見たどのモンスターよりも太く、力強い足。腹までも鱗に覆われ、半端な攻撃では通らないだろうと思われる巨体。そしてその先からずらりと生えそろった9本(・ ・)の龍の頭。


「……頭多くない?」


『九頭龍王(龍王種)』


 長かった試練の最後の戦いが始まった。

どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv19/?? ローグ Lv61/70

 龍人  Lv15/20   精霊使いLv28/40 

 舞闘家 Lv50/70   大鬼人 Lv17/40 

 上級獣人Lv12/30   魔導士 Lv62/90

 死龍人 Lv14/20    魔人  Lv10/20 

 探究者 Lv15/99

非有効職業

 狙撃王 Lv1/90     上級薬師Lv1/80

 呪術師 Lv1/80     死霊術師Lv1/100

 アーマーナイト Lv1/99 剣闘騎士Lv1/99  』

先週は投稿できずすみませんでした。え?日曜に間に合ってない?

まあ誤差の範囲ということでひとつ。


いよいよ次回から試練最終戦です。戦闘シーン書くのが楽しすぎて気づけば20話目…。楽しかったんだから仕方ないよネ!


本業の方が7,8月と夜勤ラッシュが待っていまして、体調がやばそうです。

夜勤明けの1日じゃリズム戻らないのよ…。


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
[一言] 九頭竜って見ると冒涜的な何かしか思い浮かばないな… いあ…いあ…くとぅるふ ふたぐん! ここから精神攻撃をするという前振りなのか!?
[一言] あれ?最後のステ表示に反映されてるのかなと思ったんだけど ユザパった三頭竜~wave98の雷龍までのレベルアップと報酬はなし?
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