守護龍の試練です19
『WAVE93/99』
力なくぴちぴちと地面の上で跳ねる生き残りの魚にとどめを刺したことで戦闘終了となり、次のWAVEが始まった。
程々の大きさの魔法陣が出現し、そこから姿を現したのは3mほどのサイズの水色のゴーレムだった。
『キングオリハルコンゴーレム(ゴーレム種)』
先ほどと同じような色をしていたから実はスライムが形を変えているだけじゃないかと疑いをもって『鑑定』してみたが、さすがに杞憂だった。
実際、先ほどの戦闘において、俺が得た物は何もないと言っても過言ではない一方で、失った物はかなり大きい。魔力や体力という点では『再生』のおかげで全快とはいかないが、7~8割程度回復できている。『暴食の王』に喰われて一時的になくなった脇腹や足も回復しているし、この戦闘次第ではあるが全快までは時間の問題だろう。
そんな風に体はいくらでも回復できるとしても、装備自身にそういう効果を持っている物でもなければ身にまとっていた装備までは回復しない。『暴食の王』によって喰われたせいで服の胴の部分はほとんど素肌をさらすことになっているし、ズボンは長ズボンなのに片方は膝までしか布がない。当然足ごと喰われたから靴も片方しか履いていない。予備の靴もアイテムボックスに入っていなかったからここから先はずっとこのままだ。
そんな状態ではあるが、何よりもショックなのはこの試練の中で手に入れた装備までボロボロなことだ。
豊??地のガントレットに関してはこうして地面についてさえいれば修復されるからいいとして、風?空?のマントはもはやただのボロ布と化していた。脇腹を貫いたときにマントも喰われていたというのもあるが、脱出の時にも躱しきれなかった部分が大きく喰われ、結果としてマントとして効果を発揮できなく成るくらいに破損してしまったのだ。『鑑定』しても、もはや布としか表示されなくなってしまったし、マントとしては完全に死んでしまったとも言えた。
キングオリハルコンゴーレムがその巨体を揺らして迫ってくる。魔法こそ使ってこないようだが、その巨体がまっすぐに向かってくるというのは恐怖でしかない。
その場で『強鬼化』『不動明王』を使い、ゴーレムの勢いの乗ったパンチに合わせて両腕を突き出して受け止めた。体格の差からじりじりと押されるが、体が浮かないように何とかその場にとどまる。
勢いをうしなったことなど知ったことかと力で押してきていたゴーレムの動きが止まり、反対の腕で殴りかかってくる。左右の切り替えの隙に『不動明王』を解くと、懐に飛び込んでがら空きの胴に『鬼の一撃』を放った。攻撃したこちらの手の方が痺れを感じる一方でゴーレムには少しのダメージもないように見える。オリハルコンは伊達ではないようだ。
ゴーレムは俺の攻撃を意に介せずに殴りかかってくる。俺は潰されないように横に跳んで躱すと、『ダークネスランス』を放った。至近距離から放たれた槍だが、ゴーレムの体に当たると砕けるように消えてしまう。
かすり傷すらつかない様子に舌打ちしつつも『アースレーザー』で動きを止めにかかった。しかし、その思惑もむなしく、ゴーレムは距離をとろうとする俺に裏拳をしかけてくる。その腕を蹴って距離をとると、10連を収束させた『ダークネスランス』を試す。大量の槍が束ねられ、まるでドリルのようになりながらもゴーレムに当たった途端やはり砕け散った。俺の使える魔法の中でも最大級の火力なのだが、オリハルコンの装甲をどうにかするには火力不足のようだ。
槍がダメならと思考を切り替えて『ダークネスハンマー』でゴーレムを上から叩きつけた。ゴーレム自体の重量も相まって地面に軽く凹みを作るが、それほど効いている様子はなくこちらに向かってくる。刺突よりは打撃の方がダメージは大きそうだが、今の状態では火力不足だ。
ゴーレムの巨体によるタックルを『空蹴り』で上に跳んで躱し、その背中に『鬼の一撃・付与』と『ダークネスナックル・纏』を込めた『破壊の一撃』を打ち込む。纏わせたおかげか今度は一方的に手がしびれるということもなく、しっかりと拳をたたき込める。
しかし、3発4発と殴っていくうちに纏っていた『ダークネスナックル』がはがれ、やむなく攻撃を中止する。離れざまに『クエイク』でゴーレムの足元を押し上げて、その頭部分に『魔力砲弾』をぶつけて転倒させた。それでもすぐに起き上がるゴーレムの様子から、今の連打でも大したダメージにはなっていないのがよくわかる。
「さすがはステュラと同等以上の硬度と言ったところだな」
目の前の動くオリハルコンに対して愚痴をこぼすが、逆に言えばこいつにまともなダメージを与えられなければあの棺桶には立ち向かえない。しかも、ただ突っ込んでくるだけの目の前のこいつとは違い、その棺桶を操るのはあのヒツギだ。棺桶同士、そしてヒツギ自身を結びつける鎖だって使ってくるし、聖雪魔法という上位魔法も使う。嫉妬の名を冠しているということは、そいつをもたらす悪魔の『力』もあるだろう。考えただけでも恐ろしい。
『クエイク』で持ち上がった地面を踏み砕き、こちらを向いたゴーレムがまた俺に向かって走り出す。
次こそオリハルコンの装甲を打ち砕くため、先ほどの強化に加えて『獣の一撃・付与』も行い、両手に集束型の『ブレイクショット』を複数留める。無理矢理留めているせいで豊??地のガントレットに包まれているはずの両腕が悲鳴を上げるが、まだ足りない。
「久しぶりに『ためる』よ。『魔力盾』『シールドバッシュ』」
威力の底上げのためにまだまだ攻撃を『ためる』。しかし、ゴーレムがためている隙を見逃してくれるはずもなく、向かってくるゴーレムに対して、生み出した盾を自分に向けて飛ばすことで無理矢理距離をとる。ゴーレムが地面を殴るたびにできるクレーターに怯えながら必死に力をためた。
「『破壊の一撃』『魔拳突』!」
最大ではないが、今の腕が耐えられそうな限界まで十分にたまったところでいよいよゴーレムに両拳を突き出した。両腕をクロスして突進してくるゴーレムを、その腕の上からぶん殴り、1秒にも満たない拮抗の後、衝撃に耐えられずにお互いが吹き飛んだ。
2度ほどバウンドした後で背中で地面を滑り、ようやく俺は止まった。反対に飛んだゴーレムが壁に激突する音を聞きながら自分の状態を確認する。ガントレットに包まれている拳こそ無事だが、肘が向いてはならない方に向いていた。
『スキル:反動半減LvMAX を習得しました。 』
『スキル:反動激減Lv1 を習得しました。 』
自分もなんとかしようとしたんですとばかりにスキルのレベルが上がった。痛みをこらえながら肘をちゃんとした向きに折り曲げ、『再生』による回復を待つ。両腕がいかれてるせいで外せないが、今はこのガントレットの重みでさえしんどい。
回復を待っていると、めり込んだ壁から抜け出し、地面に落下したゴーレムがこちらに向かって走り出していた。俺の攻撃で全身にひびが入り、走るたびにボロボロとオリハルコンがこぼれていく。そして体の半分ほどを失いながらも俺のところまで走りきり、叩きつぶすべく右腕を上げる。
「『ダークネスチェーン』」
影から飛び出した鎖がそんなゴーレムの全身を蛇のように締めあげる。そして最後に少し力を入れた途端、ゴーレムはダメージに耐えきれずに全身が崩れて瓦礫と化した。
対象がなくなり、支えをなくした鎖がその瓦礫の上に落ちて姿を消すと瓦礫もまた消えてなくなった。
『WAVE94/99』
まだまともに拳すら握れない程度にダメージが残る中、次のWAVEが始まった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv19/?? ローグ Lv61/70
龍人 Lv15/20 精霊使いLv28/40
舞闘家 Lv50/70 大鬼人 Lv17/40
上級獣人Lv12/30 魔導士 Lv62/90
死龍人 Lv14/20 魔人 Lv10/20
探究者 Lv15/99
非有効職業
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイト Lv1/99 剣闘騎士Lv1/99 』
だんだんと終わりの見えてきた試練戦闘回です!
延々と続く戦闘シーンについてきてくださっている方がどれだけいらっしゃるのか…
それにしてもサトテル選手(阪神)まじやばくね?大谷選手はさらにその上をいってますが事実は小説より奇なりということで。
ではまた次回




