守護龍の試練です16
「「「ヴゥァァアアア」」」
『ドラゴンゾンビ(ドラゴンゾンビ種):元スリーヘッドドラゴン』
力尽きたはずの死体が、先ほどまでのエンチャントが全てかかったまま、その体をゆっくりと持ち上げた。
WAVE80で倒した時とは違い、WAVE90のスリーヘッドドラゴン戦では、グリーンドラゴンの頭を除けば表面的な傷はほとんどつけておらず、サンダードラゴンとダークドラゴンの頭に食らわせた『死龍のブレス』によるダメージで倒したようなものだった。それもあってか、表面的には2つの頭は先ほどまで見ていたそれと大差はなく、そこだけ見ていればなんだか生気が薄い気がする程度で通常のスリーヘッドドラゴンに見えなくもない。しかし、残す1つの頭はとどめに使用した『ダークネスランス』のせいで穴だらけで、それでも問題なく首を持ち上げているその光景、この目の前の個体ががゾンビであることを物語っていた。
観察を続けていると、3つの頭がブレスを放とうと口元に魔力を集めだした。穴だらけのグリーンドラゴンの首からブレスが漏れ出てしまっているが、そのブレスの色は、明らかにグリーンドラゴンのそれではなく、紫がかったブレスだった。
俺はそのブレスに嫌な予感がして『クエイク』で壁を作ると同時に、大量に『ダークネスシールド』と『魔力盾』を展開した。
「「「ヴゥレァァアアア」」」
3本の同じ紫色のブレスが目の前に作った壁をいともたやすく消し飛ばす。土壁はほとんど意味をなさなかったが、大量の盾によってその猛威を耐えきることはできていた。
『魔法剣召喚』で周囲に剣を並べながら、崩された土壁の残骸を見ると、ブレスで焼き飛ばされたというわけではなく、ぐじゅぐじゅと溶かされているような状態だった。実際、今もブレスを受け止めている『魔力盾』も、普通に壊されている時とは違い、ブレスを受けているところが紫色に変色し、それが全体に広がった途端に消えていた。
「下手に喰らうとせっかくゲットした装備を持っていかれそうだな」
広範囲に拡散させた『エアロブレス』で残留しているブレスを吹き飛ばし、そのうえで少しでもブレスが当たっていた盾とその周囲の盾をすべて破棄する。ブレスを吹き飛ばした後でも盾の表面を覆う紫色の浸食が止まっていなかった以上、残したところでいずれは壊されてしまうだろうし、必要経費と思って盾の壁を再構築する。
ドラゴンゾンビが次の攻撃に備えて魔力をためている中で、俺は『ダークネスランス』をその巨体に放った。先ほど首を狙った時のように貫通したりはしないが、碌に防御をとらないドラゴンゾンビの体に次々と刺さっていく。
暗黒の槍が刺さり、穴だらけになったドラゴンゾンビの体からは、赤い血が流れ出る代わりにブレスと同じような紫色の液体がプシッと音を立てながら噴き出していた。その液体の垂れた地面からは煙も上がっている。さすがに盾の時とは違って、垂れた場所を中心に徐々に地面を侵食するということはないようだが、大量に開けた穴から垂れまくっているせいでドラゴンゾンビのいるあたりの地面は小さい池のような有様になっていた。
この後に支障をきたさないようにするためにも、ドラゴンゾンビの次のブレスに合わせた『エアロブレス』の他に、『アイスレーザー』を飛ばして体とその足元を凍らせる。『エアロブレス』のついででしかないそれでは表面に氷が張る程度でしかなく、少し体を揺らしたらすぐに砕かれてしまったが、いくつかの穴には氷の膜が残ってくれた。
「『魔法斧召喚』『ダークネスハンド』」
周りに大量の魔法斧を召喚し、それを『ダークネスハンド』に掴ませて突撃させる。体への攻撃はほとんど防御しなかったドラゴンゾンビだが、狙いが首であれば話は別なようで、俺の操作により多様な軌道を描いて迫る斧群に向けてブレスの代わりに2つの頭が魔法弾を撃って迎撃に入った。
真ん中の頭だけは引き続き次のブレスのために魔力をためているが、その首元を狙って飛んでくる斧を首を鞭のように使って叩き落そうとする動きも見れた。
「本命はこっちだよ『死龍のブレス』」
まだ残っている『ダークネスハンド』の操作をやめ、『空蹴り』で一気に天井付近まで駆け上がった俺はドラゴンゾンビに向けてブレスを放った。多量の魔力を込めて放たれたブレスは、頭1つ分のブレスなど意にも介さず、3つの頭を半ばあたりから消し飛ばした。
ドラゴンゾンビは、3つともの頭が首半ばあたりから消し飛んでも尚倒れてはくれないらしく、消えた首元から魔力弾が飛んでくる。『不死殺し』のおかげか再生は阻害できているが、まだ潰し方が足りないようだ。
「今度こそ『死龍のブレス』」
俺は『魔力盾』と『ハンドレッドナイフ』の適当乱射で魔力弾を打ち消しながら、追い打ちのブレスを放った。多少魔力弾で相殺されたものの、ドラゴンゾンビはブレスに飲まれ、その首をさらに短くしたところで力尽きた。
『職業:聖魔??の勇者Lv19になりました。
ローグLv61になりました。
龍人Lv15になりました。
精霊使いLv28になりました。
舞闘家Lv50になりました。
大鬼人Lv17になりました。
上級獣人Lv12になりました。
魔導士Lv62になりました。
死龍人Lv14になりました。
魔人Lvに10なりました。
探究者Lv15になりました。 』
『スキル:聖なる光Lv1 精霊魔法闇属性Lv1 死龍爪 死龍牙 死龍腕 死龍足 魔人化Lv1 罠利用Lv1を習得しました。 』
『スキル:毒吸収Lv3 近接格闘威力上昇Lv9 ファングショットLv3 獣進化(虎)LV7 魔力上昇LvMAX 罠察知Lv8を習得しました。 』
『スキル:聖なる光が消失しました。 』
ようやく戦闘終了扱いとなったことでレベルが大量に上がった。まああの戦闘量を思えば納得の上がり幅だ。気になりすぎるスキルがいくつか追加になってはいるが、試すだけの時間はやはりないようだ。
ドラゴンゾンビの死体が消えると、地面に垂れていた液体も同じように消え去った。さすがにえぐれた地面までは復活しないからドラゴンゾンビのいたあたりだけかなり凸凹にはなってしまったから、戦闘の最中であのあたりに行く必要があるときには足元に注意だな。
『WAVE92/99』
いっそのこと魔法でさらに削って平らにしてしまおうかなどと考えていると、これまでよりは多少の時間をおいて、次のWAVEが開始された。
今度の魔法陣は広場中を埋め尽くすようなことはなく、オーガとかが出てきた時と同じくらいのサイズのものが1つだけ光っていた。ここから先は群れとの戦闘ではなく1対1になるのだろうか?
エンチャントをかけなおしながら魔法陣からモンスターが出てくるのを待っていると、ぴょんとバスケットボールくらいのサイズの丸い塊が跳び出てきた。それはこれまで戦ってきた91戦のどのモンスターとも系統が違う。
「スライム?」
薄い青色がかったそいつはスライムだった。WAVE92まで来て戦う相手なのだからただのスライムではないことはわかっているが、それでもここまで1種たりともでてこなかったスライム系のモンスターがここにきて急に出てきたことに困惑しつつ『鑑定』をかけた。
『キングデーモンズスライム(スライム種)』
見たこともない種族のスライムで、名前からはどんな攻撃が来るのか予想を立てることもできそうになかった。キングスライムであれば武闘大会で見たからそれと同じ対処法を取れればいいかな。幸い、半透明なキングデーモンズスライムの体内には核と思わしき部分が見えていた。そこを狙うしかない。
「ゴボッ!?」
貫通力重視で『魔法槍召喚』で両手に槍を出してスライムとの距離を詰めようと1歩目を出した次の瞬間、俺は空間すべてを埋め尽くした水の中に閉じ込められた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv19/?? ローグ Lv61/70
龍人 Lv15/20 精霊使いLv28/40
舞闘家 Lv50/70 大鬼人 Lv17/40
上級獣人Lv12/30 魔導士 Lv62/90
死龍人 Lv14/20 魔人 Lv10/20
探究者 Lv15/99
非有効職業
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイト Lv1/99 剣闘騎士Lv1/99 』
先週はすみませんでした。GW中で1話更新したからというわけではないのですが書ききれませんでした…。
結果は陰性でしたが、ついに職場でも濃厚接触者扱いの方が出てかなりピリピリしてきました。
逆に今までずっと周りで濃厚接触者すらいなかったのがすごいのでしょうが…。
皆さまも十二分に気を付けていきましょう!
ではまた次回




