守護龍の試練です8
オーガキングの群れを殲滅し、キングアント、ハンドレッド・アイズ、キングサーペントの群れを続けて殲滅した。当然ではあるのだが、それぞれの種族でもかなり上位に位置するモンスターとなると、これまで戦った下位種、魔法系上位種とは、1体1体の火力そして防御力も桁違いだ。相手の攻撃は基本的にスキルで様々な盾を生み出して受けているし、喰らうことができるから俺自身へのダメージはないに等しい。しかし、それはあくまでも俺自身の問題だ。
ハンドレッド・アイズの攻撃を喰らって手に入れた『衝撃波』。それは自身を中心として一方向への見えない衝撃波を放つスキルだ。それ自体は喰らったことで俺へのダメージはなかったが、俺の『喰らう瞳』はその効果自体を無効化するわけではない。攻撃にしても、相手が堅ければ堅いほどにその反動は馬鹿にならない。『ブレイクショット』などの反動が大きいスキルは極力使わず、その上で各種スキルで強化して少しでも影響を減らしたとしても、完全に0にすることはできない。
その結果が今の惨状だった。
実際にこの惨状を生み出してしまってから気が付いたことだが、キングサーペントは鱗に若干の反射効果を持っていた。ベルセルさんが使っていたようなカウンターのスキルというわけではなく、種族の特性と言った方がいいだろうか。全部が全部直接攻撃で倒したわけではないが、それでも10体以上は俺が直接その身を叩いて倒した。俺の筋力はこれまで喰らった数多のモンスターたちの影響で非常に強い。それも悪かったのだろうが、いくら龍の素材の武器と言えど、連戦による酷使に耐えられなかったのだ。
ダンジョンでの戦いの中で手に入れたモンスターの使っていたお古の武器を除き、俺のアイテムボックスの中にもはやまともな近接武器は残っていなかった。
剣閃龍の直剣、牙龍の剣、龍骨短剣はすべて強化と反動に耐えられずにひびが入り、突龍の細剣はすでに刀身がない。地龍の大槌、ピッケルもオーガキングとキングサーペント戦で砕けてしまった。龍骨の棍棒はとっくに真っ二つだ。
龍の素材による武器と言えば投げ槍だけはまだ10本以上残っているが、投げることを前提に作られたそれは近接戦闘で使うような物ではないし、そもそも槍術スキルもないし、それ用に鍛錬を積んだわけでもない俺の槍さばきでここからのモンスターを仕留めるには使い捨てにする覚悟で強化を重ねないとだめだろう。
『WAVE55/99』
後悔をしている時間も、この現状を打破する対策も碌にないまま、次のWAVEが始まり、キンググリズリーの群れが姿を現す。毛皮に隠れた筋肉の塊が生み出す火力で繰り出される鋭い牙や爪の前には、『貴の山』でモンキーソルジャーから奪った鉄の剣なんか紙切れも同然だろう。手入れなんかしてないし。
素早い動きで迫ってくるキンググリズリー達を前にして、俺は『鉄鬼化』に『ダークネスナックル』を纏って『魔なる構え』で応える。纏う時よりも魔力の消費が上がり、集中力も必要となるが、いざとなれば『ダークネスソード』や『マジックハンマー』を近接武器として使うしかないが、ひとまずは無傷で残る武器で戦うことにしよう。
最後のリザードマン・トップの放つ槍を受流し、無防備な胴に『ダークソード』を纏わせた鉄の拳による貫手を入れる。連打の4発目で心臓をえぐりられ、だらんと力の抜けるリザードマン・トップがすぐにその体を消す。これでWAVE59突破だ。
遠距離からの魔法、そして拳をメインに戦い始めて5つ目のWAVE。数をこなせばこなすほどに、戦い方に常識が失われつつあった。貫手に『ダークネスソード』を纏わせる。両足に『マジックハンマー』を纏わせて蹴りを加速させるなど、『再生』頼みの攻撃もそうだが、『ダークシールド』を『衝撃波』に乗せて敵に飛ばす。『サンダーレーザー』で檻を築き、その隙間から『ハンドレッドナイフ』で串刺しにするなど、スキルの組み合わせもこれまでとは違う趣向になっていた。思い付きでやってみたら案外有効だったことが一番の要因だが、ジェネラルスケルトンとの戦いが始まってすぐにレベルが上がった『欲望増大』が悪さしたのかもしれない。
ヒツギの呪いを喰らって習得してしまった、オフにできないパッシブスキル。どうもその欲望というのは戦闘欲、破壊欲のような欲望も対象らしかった。こうしたらより効率的に敵を壊すことができる。こうしたらより気持ちよく潰すことができる。戦闘中にそんな思考が頭の中をよぎり、それに抗わなかった結果生まれた戦法がこうした組み合わせだった。レベルが上がることでより抗おうという気持ちが薄れていく可能性もあるし、できればこれ以上上がってほしくはない。何がとは言わないが心配事があるからな。
『WAVE60/99』
やってきたWAVE60。てっきりドラゴンの上位として竜がでてくると思っていたが、10この魔法陣から出てくるのは様々な姿をした無機物的な様相のモンスターたち。『鑑定』によるとデビルガーゴイルと言うそれらは、WAVE10以来となるゴーレムの上位種に当たるのだろう。
ピー
突然響き渡る機械音に警戒していると、現れて20秒程経つが全く動く気配のなかったデビルガーゴイルたちのそれぞれの姿の目とも呼べる部位が赤く光る。それと同時に、俺の体に10個のターゲットマーカーが浮かんだ。
「ロックオンか!」
俺には既に使えなくなったそのスキルの有用性は十分に理解できている。デビルガーゴイルたちが動かなかったのは俺がターゲットとしてしっかりロックされるのを待っていたというわけだ。魔力を感じなかったから完全に油断していた。
「『不動明王』『迦楼羅』『雷纏』『魔力盾』」
既にロックされてしまった以上、まともに躱すことは不可能。すべてを受け止める覚悟で防御を固める。デビルガーゴイルたちはそれぞれ2つの武器を虚空から生み出し、攻撃の動作に移った。弓、槍、剣など武器は十人十色だが、魔法を帯びた物とそうではない物の2つなのはいずれも共通していた。
見当外れの方向に放たれた弓矢が、弧を描いて背後に構えた『魔力盾』を捉える。それが合図だとばかりに一斉に攻撃が始まった。普通ならありえない角度から止めどなく襲い来る攻撃の嵐に、事前に構えていた盾だけでは足りず、その間を縫うように迫る槍が俺の頬をかすめていった。傷はすぐに『再生』で消えたが、同じように地面に刺さった槍もすぐに消えた。
明らかにデビルガーゴイルの構えていた武器の数を超える量の攻撃が飛んでいる。この槍が消えたことがその理由だった。
デビルガーゴイルの攻撃は、一度放たれると、まったく同じ速度、威力で自動で再現されていた。すぐに槍が通り抜けてきた隙間を『魔力盾』で埋めると、そこに槍が当たる。デビルガーゴイルたちは再現される攻撃とは別に新たな攻撃も繰り出してくる。それも再現され、俺の逃げ場が減ってしまう。
少しでも攻撃の手を減らさせるために槍と弓のデビルガーゴイルに『ダークネスランス』を放つも、槍を操作するほどの余裕はなく、まともに当たらない。しかも、攻撃に集中を割くと対象になっていない他のデビルガーゴイルの攻撃が激しくなる。
ガン
いつの間にか近くまで来ていたハンマーを持つデビルガーゴイルの攻撃を盾が防ぐが、この距離での攻撃はまずい。そう考えられたのも束の間の時間で、デビルガーゴイルは連続でハンマーを振り下ろしてくる。振り下ろす度に再現も増え、すぐに盾が砕かれた。残った再現のハンマーが俺の肩を打ち付け、骨が折れる鈍い痛みが襲うも、すぐにそのデビルガーゴイルに『魔力砲弾』と『ダークネスニードル』の連射をぶつけて仕留める。これでハンマーによる攻撃はなくなったが、既に別のデビルガーゴイルが盾に直接攻撃を始めていた。
この試練が始まって以来最大のピンチを前に、俺は自然と笑みを浮かべていた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv52/70
龍人 Lv11/20 精霊使いLv21/40
舞闘家 Lv34/70 大鬼人 Lv13/40
上級獣人Lv8/30 魔導士 Lv33/90
死龍人 Lv3/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
非有効職業
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイト Lv1/99 剣闘騎士Lv1/99 』
今はもう修正済みですが、投稿してすぐは非有効職業からアーマーナイトと剣闘騎士が抜けてました。すみません。久しぶりに増えたせいだ…
忙しい2月も3分の2を過ぎました。でもまだ夜勤残ってるんですよね…。ナンデダロウナー
まあそこさえ過ぎてしまえば多少落ち着きますからね。ガンバリマス。
ではまた次回




