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防具屋のおっさんです


 オークの群れ相手にやったコロイドの町防衛戦の次の日、俺たちは町に一軒だけある防具屋にきていた。

 ここは騎士の詰め所から少し町の中心の方に歩いたところの裏通りにある。まず俺たちが行って、防具を選び終えたら値段を聞いて詰め所へ行って、どうなるか決めるのだ。


「へいらっしゃい! 何のようだい!」


 扉を開けて中にはいると、奥から元気な小柄のおっさん……もといドワーフのおっさん……結局おっさんだな。が元気よく出てきた。


「防具を買いにきたんだ。安めのでいいのを見繕ってくれないか?」


「お安いご用で! あんちゃんにはこれなんかどうでい!」


 そう言いながら箱にいれたまま持ってきたのは真っ黒の皮鎧。


「これいいやつなのか?」


 俺は手に取ってみようと手を伸ばす。


「そいつはある貴族が持ってきた、一度つけたら二度と脱げねぇ、相手の攻撃を2倍にしてさらに自分の防御を半分にする鎧だぜい!」


「なんてもん出してきやがる!」


 慌てて手を引っ込める。呪い装備かよ!?


「お気に召さねえか? ならこっちはどうだ!」


 今度は靴だ。これは真っ赤であきらかに嫌な感じがする。


「こいつは一度はいたら半径2㎞以内の生物全てを蹴り殺さないと脱げない靴だ! これもさっきの貴族が持ってきたもんだぜい!」


「だから呪い装備を出してくんな!」


 だめだ、このおっさんやばすぎる……。


「自分たちで見繕うからいいや。マナかヒツギできない?」


「私できるよ。昔は一人で装備整えてたわけだしね」


「おいおい、もういいのか? まだまだ呪い装備(お宝)はたくさんあるぜ?」


「だれが好き好んで呪いなんか受けるか」


 こうなれば鑑定を駆使してめっちゃいいやつゲットしてやる……。

 それから鑑定で店においてある商品をしらみ潰しに見る。

『呪いの靴』

『呪いの兜』

『呪いの鎧』

『呪いのスカーフ』

『呪いのローブ+98』

『呪いの手袋』

『呪いの手甲』


「呪われたのしかねえのかこの店は!」


 つい怒鳴ってしまった俺を攻められるやつはいないだろう。だいたい呪いのローブ+98ってなんなんだよ。あきらかにやばいじゃねえか。


「メイ、でもこの辺とか呪われてないのもあるよ」


 マナの声につられてそちらを見る。たしかに呪われてないのもあった。しかも+つきのもある。+の有無でどれくらい変わるのか知らないけどせっかくなら+つきのやつがいい。

 俺たちがその+つきの防具を物色し始めると、おっさんはどこか不機嫌そうになり、俺たちの様子を見守りだした。

 各自で気になった防具を手に持って自分に合わせてみる。鎧が装着者に合わせてサイズを変えるなんて素敵性能はないので、雑多に置かれているものの中から自分の体格にあったものを選ぶ必要がある。多少は手直しを頼めるが、あきらかに違うものはやってもらえなくなる。

 それから数分後、自分の防具を選び終わった俺はもう一度眺めなおしていた。


「んーこれくらいかな」


 俺の手にあるのは

『鉄の鎧+8』

『皮の手袋+2』

『皮の靴+1』

の三点。一切呪われていたりなんかしない防具たちだ。鎧はこの店にあった+つきのなかでも最も+が大きいやつを選んだ。他のはサイズの都合で断念した。それにしてもこのレベルでいいのがないって他の町の店はどれだけすごいんだろうか。これは早く次の町にいなくちゃな。


「ねえねえメイ、このゴーグルなんだけど」


 やりきった感満載でちょっと喜んでいるとき、マナが見た目は普通のゴーグルを持ってきた。当然ながら普通なのは見た目だけだ。鑑定してみると、

『????のゴーグル』

 と表示された。それを受け取ってしっかりとみる。ゴーグルはどんなゴーグルなのかの表示がない。『????の』ってあるからそこにあてはまる文字があるんだろうが、俺のレベルが低いのか、鑑定にもそれなりのレベルがあるのか、今はまだ見えなかった。


「おぉお!! お目が高いね! そいつも俺のおすすめだぜ! どれだけ解析してもつけてみてもどんな効果があるのかわからないけど少なくとも呪われていることだけはわかるという一品だ!」


「結局呪われてんのかよ」


「まぁまぁあんちゃん、まずはつけてみろって」


「あ、俺は頭に装備できないんで」


「そーゆーのいいって。つけてみるだけならタダにするから大丈夫大丈夫」


 俺の手からするっとゴーグルを奪ったおっさんは俺の制止も気にせずに俺の頭にゴーグルをつけ始める。後頭部にひもをひっかけてつけるタイプのようで止める暇もなく俺の頭にゴーグルをつけた。

 案の定すぐに瞳に喰われてしまった。


「お、おい! ゴーグルどこいった!?」


 目の前で消えたゴーグルに驚きを隠せないおっさん。それに対して若干申し訳なさそうに告げた。


「だから俺装備できないって言ったじゃんか。そういう(呪い)があるんだよ。すまないなおっさん」


『????のゴーグルを喰らいました。条件が満たされました。『力』を一部解放・封印します。

 頭部装備許可が解放されました

 呪い吸収が解放されました

 生きている者を喰らえなくなりました』


 なんかえらいことになった。喰らってすぐ反応がなかったからおかしいなとは思っていたが数秒のタイムラグで能力を得ることができた。つか条件を満たしたってなに?

 いやそれよりもだ。頭部装備が許可されたってことはローブも兜もスカーフもゴーグルもなんでもいけるってことだよな?

 俺はぱっと近くにあった兜を頭につける。それは喰われることなく頭に残っていた。よっしゃ!


「……おっさん、さっきのいくらだ? あれも買う。ってかもうないしあれの分の代金も払うわ」


「い、いや、あれは銅貨1枚だけど……いいのか?」


「俺が止めきれなかったせいだしな。ただ少し実験してみてもいいか? おもしろい力が手に入ったんだ」


「おもしろい力? それはあぶねえものか? ならやめてほしいんだが……」


「たぶん大丈夫だ。呪い装備一つ使うよ」


 俺は初めにおすすめされたふざけた効果を持つ呪いの鎧を手に取った。鑑定でその効果も確認できた。こっからが大事だな。


「呪い吸収」


 呪いの鎧が光ったかと思うと、三度点滅して光は消えた。その色は心なしか先ほどよりきれいに見える。


『パラメータ:筋力上昇(大)を習得しました

 防御力減少(大)を習得しました』


 呪いの効果はパラメータへと変わった。減少もあるんだな。以前ゲットしてたもので打ち消せないかな? 筋力はあんまいらないんだけどな……。

 それというのもオークたちから得られた能力が全て筋力上昇だったからだ。筋力上昇(大)ではないが、数が数なだけにかなり強化されていた。それこそこれまでのが何だったのかと思うほどに。


「お、おい、いったい今何やったんだい? 急に光ったかと思ったら色が若干変わって……」


「あー『解析』使える?」


「え? 商売人として必須だから使えるが……」


「じゃあ使ってみてくれ。呪いなくなったから」


「……『万物を見通す瞳』解析」


 おっさんが元呪いの鎧を解析する。それに合わせて俺も鑑定でその効果を確認してみた。


『攻防の鎧:防御力を少し下げる代わりに攻撃を少し上げる』


 俺が使ったらまずそうな鎧になった。これ以上防御力を減らしてたまるか。あぁ……防御力上昇持ってるモンスター探さないとな。まあそんな都合よくはいないだろうけど。


「ななな、あんた神官か!? 呪い解くのなんか普通できねえよ!」


「あーそういうわけじゃないんだが……」


「ともかくありがてえ! できればもう2,3こ呪い解いてくれねえか?」


「それ解いたら防具3人分ただで譲ってくれないか?」


「それくらいならかまわねえさ。おやっさんに聞くまでもないぜ!」


 こいつ店長じゃなかったんだな。


「交渉成立だな。だけど確実にできるわけじゃないからな?」


「その辺は理解してるぜ。高位の神官でも失敗する可能性があるらしいからな。呪いの解除なんか俺には見当もつかねえし。じゃあやってくれぃ!」


「はいよ」


 俺はそれから3つの防具に対して呪い吸収を使った。ローブ、手袋、靴。それぞれが変わった呪いで、ローブには魔法の使用禁止の呪い。手袋には武器所持禁止の呪い。靴はおっさんが説明してた通りの呪いだ。そしてそれらの呪いを吸収した結果。


『スキル:魔力操作Lv1を習得しました

 パラメータ:器用さ上昇(大)

 職業:狂人になりました』


 という能力を得た。上の2つはわかるけどさ、狂人って職業なわけ?


「じゃあ好きな防具をもっていってくんな!」


 そう言われたので初めに選んでた皮鎧と手袋と靴、それから呪いを解いたローブをもらった。二人もそれぞれ普通の奴をもらってた。といっても+がついてるやつだけど。

 店長じゃないのに勝手に決めていいのかと聞いてみたところ、呪い解いた他の3つで相当稼げる予定だそうだから痛くはないらしい。店長を全力で説得するって言ってた。

 それから、ここであったことは他言無用だと脅……じゃなくて言っておいて店を出た。

 そのあと、武器屋に行ったけど+つきのものも呪い装備もなかったことと、マナは魔法、ヒツギには棺桶があることから買わずに行くことにした。棍棒はたくさんあるからそれで頑張ろう。

 ヘレンさんに防具はもらったって伝えたらあんまり驚いてなかった。もう驚かないって自信満々に言ってたから呪い解いたって言ったら驚いてた。なんか勝った気分。

 

 それから、昼ご飯を食べてすぐぐらいに町を出ることにした。目指すは隣町、そしてそこにある迷宮だ。

 見送りに来てくれたヘレンさんに別れを告げて、俺たちはのんびりと隣町に向けて森へと歩いていった。






どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『冒険者 Lv41/99

 格闘家 Lv41/50

 狙撃手 Lv34/50

 盗賊  Lv32/50

 剣士  Lv31/50

 武闘家 Lv26/60

 戦士  Lv26/50

 魔法使いLv32/50

 薬剤師 Lv32/60

 鬼人  Lv6/20

 ????の勇者Lv7/??

 狙撃主 Lv1/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50 』


新たな職業が追加されました

コロイドの町でのメイたち話は終わりますが2章はあと少しあります

ここらでスキルをまとめたりもしていきたいです


ではまた次回

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[気になる点] おっさん、死なない程度に捌き倒そうぜ?
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