守護龍の試練です1
前半はエンシェントエルフ視点となります。ご注意ください。
『よくぞ来た。エンシェントエルフ、穴を閉じる。先に小僧を下ろせ』
メイさんとともに守護龍様の元へ向かっていき、通路を抜けるかどうかというところで守護龍様から声がかかる。私たちが通ってきてすぐに穴を塞ごうとするのは別に珍しいことでもないですし、私はメイさんに声をかけた。
「空を蹴っていましたし大丈夫ですよね?」
「はい。では」
メイさんがすぐに穴から飛び降りた。テレポートができなくなったと聞いていましたが、少しの躊躇もなく飛び降りるのはまだあの空を蹴る移動法があるからでしょう。穴を完全にふさいでしまうと、この空間と樹の外のつながりがなくなってしまう。そうしても問題がないように結界の調整はもう慣れたものですしあと10秒もあれば終わる。その時でした。
『今代の白虎の主足らんとする者よ、試練の時間だ』
守護龍様が床に大穴を開き、そこにご自身の放つ無意識の圧力を意識してかけることでメイさんを叩き落としました。普段とは違い、殺意とも思える、目に見えるほどの圧力。さすがにあの圧力の中ではメイさんもほとんど抵抗することができず、数歩分重力に抗ってはいたものの、すぐに落ちていきました。
「メイさん!?」
守護龍様の思惑がどこにあるのかわかりませんが、今ここで柩様への手掛かりを失うわけにはいきません。穴の中にいた私には守護龍様の圧力の影響はなく、すぐにフライの魔法をメイさんに向けて飛ばすために外に出ようとしました。
『邪魔するでない』
守護龍様の言葉があってすぐに穴の入り口が8割がた、壁面を這うように伸びてきたツタで覆われてしまい、私は動けなくなってしまいました。少し強めに魔力を込めれば別に吹き飛ばせるようなものではありますが、こうなってしまった時点でもはやメイさんの救出には間に合わない。私は抵抗をあきらめて守護龍がツタを解除するのを待つ。
「よし、行ったぞ」
メイさんに重力を与える必要もなくなり言葉に魔力を込めることもやめた守護龍様の言葉があり、すぐにツタが消えた。私はすぐに自身にフライをかけて穴から飛び出る。既にメイさんの姿はなく、床に開けられていた大穴もなくなっていた。守護龍様のワクワクとした表情をうかがいながらすぐそばに降り立つ。
「守護龍様、彼をいったいどうするおつもりなのですか?」
「お主にも聞こえていただろう? あやつに試練を与えるために呼んだのだ」
「彼は今これまで培ってきた最大の戦闘技術を失っています。本人のスキルもあって回復自体は終わっていますが、その状態で試練に挑ませるなど無茶があります!」
「そうだったか。で、それがどうかしたのか?」
「どうかしたのかって」
「その弱くなったという状態でわしの圧に抗って見せたのだぞ? それに、その程度のことで弱くなったからなどとぬかすような輩に白虎様を任せるなどありえん」
守護龍様は有無を言わせぬ迫力で私に告げた。私は守護龍様と白虎様の関係をほんの数時間前に聞いただけだ。そんな私には守護龍様がどれほど白虎様を想っているのかはわからない。それが想像以上に大きかったということなのだろう。
「せいぜいが100戦程度魔物の群れとの戦いが続くだけだ。真に白虎様を倒した者であれば半日もあれば終わるだろうよ」
「ハイエルフの試練の間につなげたということでしょうか?」
「あそこのように特殊な結界はないが似たような場所だ。最奥に行かせることはできんが、試練とするにはちょうどいいだろう」
「あの結界がないということは一歩間違えば死ぬということですよね?」
「そうだな。まあその時はその程度の輩に白虎様は預けられんと判断し、ここでわしが殺すだけだ」
いや、死人を殺すことはできないのではと思いながらも、殺すと言った守護龍様の目は真剣そのもの。これ以上私が何かを反論しようものならそれこそその標的が私になりかねないほどでした。
「どちらにせよ、メイさんには自力で脱出してもらうしかないわけですね」
「なに、心配はいらんだろうさ。あれが穴に落ちていく時の顔。後で殴ると、そう言っておるようだったぞ? 面白いものよ。無事試練を突破できた暁には1発くらいなら受けてやってもよいかもな」
地の底、守護龍様が送り込んだダンジョン。そこで激闘を繰り広げることになるであろうメイさんの身を案じながら、私は守護龍様と待つことにしました。
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『今代の白虎の主足らんとする者よ、試練の時間だ』
守護龍様の言葉と同時に俺の足元に開いた大穴、そしてそこに叩き落さんとする圧力に対して、数歩だけでも『空蹴り』で抗ってはみたものの、結局穴の範囲を超えるようなことはできず、俺はそのまま大穴に吸い込まれていった。せめてもの抵抗をと、獰猛な笑みを浮かべる守護龍様をにらみつけるが、すぐに穴の壁面に遮られて見えなくなった。
守護龍様が見えなくなってすぐ、俺が落ちた大穴には蓋がされた。俺が通るためだけに一時的に開けられたものだったのだろう。その時点では既に守護龍様の圧力は感じなくなっていたが、こっそりと構えていた『ダークネスシールド』を足場にして上に戻るのはできなくなってしまったか。どこまで落ちるんだろうか?
底がわからない空間を落ちるという、いつぞやに感じた感覚をまた味わうことになった俺ではあったが、30秒も落ち続けていると穴の底、というかかなりの広さを持つドームにやってきた。
さすがに地面に激突するのは嫌だし、『ダークネスシールド』で『空蹴り』のカウントをリセットして勢いを落として着地した。半円状のドームの中央の天井という最も高い位置につながっていた大穴だったが、俺が着地してすぐに見上げてみるとすでに塞がり始めていた。本当に閉じ込められるということか。
『WAVE 1/99』
完全に穴が塞がってすぐ、天井に文字が表示されたかと思うとドーム全体がうっすらと光り、床のあちこちに同じくらいの大きさの魔法陣が現れた。
「ギャギャギャ!」
すべての魔法陣から同時にモンスターが姿を現した。ぼろい革鎧に身を包んだ緑の小鬼、ゴブリンたちだ。
「ギャーイ! ギャーイ!」
見渡す限り全方位を囲まれた。一体一体はそれほど強くなさそうなのはまだ助かるな。
「どういう意図でこういう試練になったのかはわかんないけど、新しい戦い方を身に着けるためにはちょうどよさそうだ。99連戦といこうか」
俺はアイテムボックスから牙龍の剣を2本だし、迫りくるゴブリンたちとの戦いに備えた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50)
有効職業
聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70
重戦士 Lv62/70 剣闘士 Lv49/60
龍人 Lv10/20 精霊使いLv17/40
舞闘家 Lv29/70 大鬼人 Lv11/40
上級獣人Lv7/30 魔導士 Lv23/90
死龍人 Lv1/20
非有効職業
魔人 Lv1/20 探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100 』
変なタイミングでの更新になりましたが日曜は間に合わなかったんです…すみません。
一応本日で2020年の仕事納めになりまして、明日明後日でもう1話…いけるか?
というわけで1年の締めの言葉は次話にまわしておきます。
間に合わなさそうならこっそりあとがき直すかなぁ。
ではまた次回




