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エンシェントエルフとの話です5


 『名もなき物語(ネームレス・テイル)』を読み終え、本から視線を上げると、エンシェントエルフ様はこちらをじっと見ていた。おそらく読み終えた感想を求めているのだろう。


「その、姉さんが戦った絶望と呼ばれていた巨大なモンスターの名前はわかってるんですか? いや、なんとなく想像はつきますが」


「私自身が解析したわけではありませんが、玄武というモンスターです。このヤカリ森国にあるどの文献にも出てこない未知のモンスターですね。まあ他国の文献までは調べられないですし、私がこうして柩様の話が書かれた一冊を持っているように、個人で保管している書物に記載がある場合は調べようがありませんが」


「やはり玄武ですか。柩から聞いたことがあるかはわかりませんが、俺たちの世界ではヒメの種族である白虎と同じように四神という風に呼ばれる存在なんです」


「神ですか……。柩様からはそのような話は聞いたことがありませんね。ですがさすが柩様。一つの世界で神と崇められるほどの存在に単独で挑んで勝利なさるとは。あの時は露払いではなく柩様と共に戦いたいと思ったものですが、柩様が伝説となられるために必要不可欠だったのですね。ああ、気づかなかったとはいえ私はなんと愚かだったのでしょうか」


「その、トリップしないでいただけますか?」


「失礼。柩様への愛があふれそうになってしまいました。しかし、あなたの従魔も同じく神とよばれていたのですよね? 四神というのであれば他にも2体神の名を持つモンスターがいるということでしょうね」


「玄武、白虎の他には青龍と朱雀の4体です。でも、この話が事実なら玄武は姉さんが、そして白虎は俺が討伐しているんですね。以前マナが悪魔から聞いた話だと、元の世界に戻るためには四神をすべて倒さなければならないらしいんですよ」


「ふむ……悪魔の言葉をそのまま鵜呑みにするのはあまり褒められたことではありませんが、そもそも四神とは何を司る神なのでしょう? 神というからには何かしら司るものがあるはずですが」


「いろんな物語の中でネタとして使われる神ではありますけど、なんの神かと言われるとわからないですね。東西南北の四方向にまつわる神様だってことはわかってますが」


「それが事実であればあながち間違いとは言えないのかもしれませんね。4つの方角を守護する神が世界のつながりを一方的なものにしているとすれば、あなたたちの世界からこの世界へ召喚することはできても送還することはできないという仮説が成り立ちます」


「なんでまた一方通行に?」


「柩様から聞いていましたが、そちらの世界には魔法もスキルもモンスターもなければエルフも獣人もいない。それどころか魔力という概念が空想上の物語だけしかないということですよね?」


 やたらと姉さんからということを強調するエンシェントエルフ様の言葉にうなずく。まあ古代文明だとかオーパーツとか、魔法なんじゃないかと思わなくもない話は地球には結構あった。他にも人が瞬間移動したといわれるような逸話とかも残っているし、完全にないとは言い切れないのかもしれないけど。


「モンスターや亜人種はともかく、こちらの世界に存在する魔力という要素がそちらの世界にないのであれば、それが人体にとって、もしくは世界にとって有害ではないと言い切れますか?」


「俺たちがこっちに来て普通に生きているのが無害な証拠というわけにはいかないんですかね?」


「柩様の場合はあの武器でしたが、あなたもこちらの世界に来た時に何かしらの能力を得ているはず。その時にこの世界でも問題なく生きられるように体に何らかの補正が加えられている可能性はありますよ。まあ以前この国を襲ってきた召喚者と名乗った人間をバラしたことがありますが、その時は何もわかりませんでした」


「さらっと恐ろしいことを言いますね」


「きちんと殺してからやってますから。国を襲おうと考えるような人間を簡単に殺してあげただけ優しいと思うべきでしょう? 本来なら生きたまま少しでも多くの情報を抜き取ってその体は有効活用するはずのところを、私の興味を優先して即座に殺してあげたのですから」


 さも当然というように語るエンシェントエルフ様に寒気を感じつつ、俺は本をエンシェントエルフ様に返した。


「俺は以前セン・グーテンが生前に残した石碑を読みに行きましたが、そこでも姉さんの名前は不自然なほどに削れてしまっていました。その時に姉さんのことが書かれた『名もなき物語(ネームレス・テイル)』の存在に気が付いていればもう少し違う展開になっていたのかもしれませんね」


「それはどうでしょう。吟遊詩人が謡う話はともかくとして、人を守護する龍の町に伝わる話もあるはずですし、主に教会の手によって意図的に消された話もある。『名もなき物語(ネームレス・テイル)』をまねて、あえて名前を一切出さずに語られる話もあります。既にこの話が書かれた資料はほとんどがなくなっていますが、まだ多くが残っていた時代ではこの物語も歴史家たちの間では当時の王、バーナ・マ・カシュマの決断力を示す資料として見られることもあったそうです。仮にあなたが柩様が七魔将の一人であると思っていたとして、何ができましたか? まさかとは思いますが柩様を殺すなどと言いませんよね?」


「そんなわけないでしょう。俺にとってはかけがえのない姉さんなんですから」


 俺の言葉にエンシェントエルフ様は若干満足そうな笑みを浮かべた。それとほぼ同じようなタイミングで、先ほどエンシェントエルフ様がエルメラさんを寝かしつけた部屋の扉が開かれた。


「あー。まだクラクラする……。でも私にはまだ見ぬ龍素材が待っているのにおちおちと寝ていられるほどの余裕はない!」


 まだ顔には青さが残っており、空元気全開ですと言わんばかりの様子のエルメラさんが起きてきた。


「まだ寝ていた方がよさそうな具合ですね」


「いえいえエンシェントエルフ様。御心配には及びません。ちょっと龍の素材をいただければこの程度のだるさは一瞬で吹き飛ばして見せますよ!」


「多分黄龍はまだきついと思うので出しませんよ?」


「何言ってるの? そこに元気な龍がいるじゃないの」


 エルメラさんはきょとんとして俺のことを指さした。


「ここで『竜化』を使うわけにもいきませんし、使ったとして素材にされるのは勘弁願いたいのでアイテムボックスにある龍の素材で許してもらえませんか?」


「龍の素材! 何があるの? 爪? 鱗? 牙? それとも武器に加工したものがあったりするの!?」


「内臓系はありませんが、そのあたりは一通りはそろってますね。武器もいくつか作ってもらったものが」


「見せて! ハリーハリー!」


 さっきまでの余裕のなさはどこに行ってしまったのか、エルメラさんは元気になって俺に詰め寄ってきた。実際に素材を出したわけでもないのに宣言通りとは恐れ入る。


「何十種類かありますがどれがいいとかありますか?」


「何十種類!? あー、鼻血が……。武器というなら剣閃龍は欠かせないよね! 剣刺さってたし、牙龍もあるかな? むむ、待てよ。そのあたりは別に簡単じゃないだけであるところにはある。ここはもっと珍しい龍の素材がいいな。黒曜龍か獣龍系の素材がいい!」


 獣龍系と言われる龍がそもそも何かわからないが、黒曜龍はアイテムボックスに入っていた。腕でいいかな。


「これでいいで」


「いぃぃいやっほぉぉおおい!」


 アイテムボックスから黒曜龍の腕を取り出した途端、エルメラさんに奪われた。エルメラさんはそのまま先ほどまで寝ていた部屋にダッシュで戻ると、バタンと扉を閉めて閉じこもってしまった。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70

 重戦士 Lv62/70   剣闘士 Lv49/60

 龍人  Lv10/20  精霊使いLv17/40 

 舞闘家 Lv29/70  大鬼人 Lv11/40 

 上級獣人Lv7/30  魔導士 Lv23/90

 死龍人 Lv1/20

非有効職業

 魔人  Lv1/20 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80

 呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100 』

なぜだろう…1週間で更新するのがすごい久しぶりな気がする…

ちょっと前話までが2話ほどかなり短くなってしまいましたがようやく(?)元通りの長さですね。

またコロナも増えてきてしまいましたね。私は明日からもまた元気に出社です。オシゴトガンバルゾー

皆様も十二分にご注意ください。手うがも忘れずに!


ではまた次回

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[一言] 四神は神じゃないゾ
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