エンシェントエルフとの話です3
エンシェントエルフ様から感じる強力な圧力。それにより動けなくなっていた俺以上にエルメラさんがダメージを受けていた。
「ストップストップ! まずいですって!」
「あら」
真っ青な顔で息をすることすらままならない状態になっていたエルメラさんだったが、エンシェントエルフ様が俺の言葉でその圧を解除すると、ゼーハーゼーハーと荒く息をして、そのままソファに倒れ込んでしまった。今の数秒の間で倒れるほどだったというよりはこれまでの累積があって、そのとどめになってしまったのだろう。
エンシェントエルフ様がエルメラさんの様子を確認し、「ダメですね」と一言残してエルメラさんをさっきまで俺が寝ていた部屋に運び出した。
「少々私も気が緩んでしまってましたね。彼女には向こうで眠っていただきました」
「いや、あれはさすがに気が緩んだというレベルでは……」
「あれくらいでなければ守護龍様のそばにはいられませんよ。というか、あなたならわかってますよね? もう見ていますし」
「なんのことですか?」
「ごまかさなくてもいいですよ。鑑定や解析はされた側の魔力感知の能力が高ければ結構簡単にわかりますから。私は上級隠蔽の魔法は使えませんから、見えていますよね?」
エンシェントエルフ様の見透かしたような言葉に、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
エンシェントエルフ様の言う通り、話の中で俺はこっそりと彼女のことを『鑑定』。そして『上級鑑定』していた。
『メイム・クルフェ(エルフ・エンシェントエルフ)
称号:森を守護する者、絶望に立ち向かいし者、玄武討伐者』
「どこまで見えているのか、というより、どこまで見ているのかはわかりませんが、あなたの想像通り、私はあなたのお姉様のかつての仲間でした。そして、この900年の間、ずっとあの方の手掛かりを探し続けてまいりました。そしてようやくその手掛かりがあなたというわけです。逃がしませんよ?」
エンシェントエルフ様の言葉に合わせたように俺の座っていたソファからツタが伸びて俺の手足を絡み取った。力を入れればすぐにでも振りほどくことはできる程度の強度しかないのは本気で抑えるつもりがないという表れだろう。
「正直、何から話してよいものかまだ決めかねているのです。手掛かりをずっと探し続けていたのは確かなのですが、いざ目の前にその手掛かりとなる人間がいるとなると、なんと聞けばいいのか思ったほど出てきませんね。……では1つずつ交換としましょうか。私が聞きたいことを聞く。次にあなたが聞きたいことを聞く。これでどうですか?」
「俺としては気になることはいくつもありますからありがたいですけど、いいんですか?」
ヒツギ、いや、姉さんの当時の仲間ということは他のメンバーたちのことも知っているだろうし、今後戦う時に役に立つ情報があるかもしれないし、そもそも姉さんがどんな風にこの世界で過ごしてきたのかも気になる。
俺たちと一緒にいた間は常に笑顔を絶やすことない、楽しそうな様子だったが、俺に棺桶を当て、わずかな時間でしかないがラースやスロースたちと一緒にいた姉さんは苛立ちが前面に出ていて、笑顔がなくなっていた。それは地球で過ごしていた頃まで合わせても今まで一度たりとも見たことがなかった表情だった。あの姉さんがそんな表情を浮かべるようになる。どんな状況だったのか聞いてみたい。
「別に構いませんが、彼女あのエルフが起きてくるまでには終わらせましょう。私が聞くことはいくつもありますが、そのすべてを今聞くような真似はしません。時間はありますから」
時間はあると、そう告げるエンシェントエルフ様ではあるが、言外に話すことはそう多くないと伝えているようだった。何もかも聞けるわけじゃなく、本当に自分に尋ねることはそれでいいのか考えてから話せと、諭すようであるとも思えた。
「では私からいきましょうか。先ほど、ダンジョンの奥で棺桶に入った柩様が降ってきたとそう話していましたね。その前後のことも併せてもう少し詳しく話しなさい」
「前後のことというと、白虎のことですか?」
「ああ、勘違いしているようですね。私と守護龍様は付き合いはそれなりに長くはありますが、あなたの小さな従魔との関係についてはまったく聞いておりません。興味もありませんでしたし、何より守護龍様が話したがらなかったので。私が知りたいのはそのダンジョンの位置、環境、そしてどのように柩様が棺桶に眠っていらしたのか。それだけです」
「俺自身気が付いたらダンジョンの中だったので正確な場所はわかりませんが、入り口はデルフィナの王都の近くにある谷底にあるダンジョンの中です」
「王都近くの谷ですか。見当はつきました。基本的にこの世界のほとんどを探索したつもりでしたが、ダンジョンの中とはノーマークでしたね。ドライアドもあの谷の底には媒介とする植物が生えていないために近づけませんでしたし、そこにダンジョンがあるなんて話は聞いたことがない。しかもそのダンジョンのさらに奥だなんて探しようがありませんね」
「そこにあったのは名前はわかりませんがオーガたちのダンジョンです。そこのボスをやっていたのが今は俺の従魔になっているゼルセ、当時はオーガキングでした。そいつを倒したことで『パイフー』の入り口となる地下への階段が現れたんです」
「あの龍鬼王なるモンスターですか。そのあたりはいいでしょう。それで、『パイフー』というダンジョンの最奥部のボスである白虎を倒して、その奥に柩様が眠っていらしたんでしたか?」
「いきなり棺桶が2つ降ってきて驚きました。落ちた衝撃なのか、何かの仕掛けがあったのかはわかりませんが、ひとりでに棺桶の蓋が開いて、その中で姉さんが眠っていたんです」
「その棺桶は天井に刺さっていたということですか?」
「なかったような気はしますが、正直わからないです。当時は探査系のスキルもほとんどなくて、警戒もざるでしたし、はっきりと見えていない天井のことなんかまともに調べてなかったですから」
「ならばなぜそこに柩様がいたのかはわからないわけですか……」
「それは俺から聞こうと思っていたことなんですが、なぜ姉さんはあんな場所で眠っていたんですか? 900年もの長い間生きているということも疑問がありますけど、姉さんに何があったんですか?」
「それは答えられませんね。私も知りませんし」
「え?」
「知っていたら柩様の居場所の手掛かりを900年間も探したりしませんよ。そういえば、魔王のそばには誰がいましたか? 柩様がそうであった以上オルスはいたでしょうが、まさかあのアホ犬もいましたか?」
「アホ犬が誰を指しているのかは知りませんけど、憤怒のオルス、怠惰のエルギウス・ファントム、そしてバラーガ・グーテンという男の体を借りてはいましたが、セン・グーテンもいました」
「あの裏切り者のセンが魔王の軍にいたというのは奇妙ですね。機会があれば私が殺しましょう」
「裏切り者?」
「王国の犬と言い換えてもいいですよ。まあ私たちのパーティの視点から見たらただの裏切り者でしかない。アホ犬がいないとなると、くたばったようですね。腹立たしいですがアホ犬は柩様、そしてエルの最期を知っている人物でしたが、墓がどこにあるか調べる必要がありますね」
「さっきからアホ犬と言っているのは姉さんの仲間、奴隷と言っていたシルフィードという犬獣人ですか?」
「アホ犬のことも柩様から聞いていましたか。ええ。そうですよ。柩様の奴隷という立場を利用して何度となく私と柩様の大切な時間を邪魔してくれたあのアホ犬です」
思い出すだけでも嫌なのか、エンシェントエルフ様は座りながら足をどんどんと鳴らす。
「そういえば、魔王に体や心の制御を奪われる直前のセン・グーテンが彼女について気になることを言っていました」
俺のその言葉に、エンシェントエルフ様はこれまでで一番驚いた表情を浮かべていた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50)
有効職業
聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70
重戦士 Lv62/70 剣闘士 Lv49/60
龍人 Lv10/20 精霊使いLv17/40
舞闘家 Lv29/70 大鬼人 Lv11/40
上級獣人Lv7/30 魔導士 Lv23/90
死龍人 Lv1/20
非有効職業
魔人 Lv1/20 探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100 』
先週はすみませんでした。携帯のデータやらアカウントやらの移行で思ったより時間がかかってしまいまして…。Xperiaの1から5に変えたんですが操作性変わりすぎぃ!
ちょっとキリがつくところがなかったので半端な気もしますがここで。
次週は日曜が夜勤なので微妙かも。10月は夜勤がタクサンダー(泣)
ではまた次回




