エンシェントエルフとの話です2
「……失礼しました。俺の名前は刈谷鳴。そして魔将だったのは大きな2つの棺桶を自在に操り、聖雪属性の魔法を使って戦う俺の姉、刈谷柩です」
「……ようやく手掛かりをつかみました。話を聞かせてもらえますね?」
エンシェントエルフ様の表情は期待を込めた喜びのそれに変わった。
「真の名前? 姉? どゆことですか? 説明プリーズ!」
「あなたにはわかりませんよね。刈谷鳴、説明する気はありますか?」
「必要とあらば。あなたに対してこれ以上隠しておく必要は一切なさそうですし、エルメラさんに話して、たとえその話が他に漏れたとしてもここは『デルフィナ』じゃないですし」
「腕を見せてもらってから判断しようとは思いますが、1つ依頼を出すつもりだから彼女にも知っておいてもらう必要があるでしょう。その時になってもう一度説明をするというのは時間の無駄です」
えー、と困惑した表情のエルメラさんに対し、エンシェントエルフ様は俺に説明を促した。こんな状況になって今更隠し事をする必要もないと思っていたし、俺はエルメラさんの方を向いて自分のこれまでについて説明し始めた。
「どこから話したものかって感じもありますけど、俺はこの世界の人間じゃありません」
「知ってた」
「……なら話は早いんですが」
「ちょい待ちちょい待ちちょい待ち。ごめんなさい。ちょっと言ってみたかったんです。ほんとは何にも知らないんです。許してつかーさい」
「エルメラ、質問は最後にまとめて時間を作ります。ちょっとふざけるのはやめなさい」
「ほんとすみません。でも、つい衝動が抑えられなくて」
「まあ、その予定で話をし直しますが、俺は王国が行った『召喚の儀』によって、真那っていう俺の仲間と一緒に、天上院が呼ばれる前日に呼び出された日本人です」
「天上院とは勇者と言われている行方不明の少年のことですね。真那さんの名前は私も聞いています。王国からの情報に入っていましたね。魔王軍の幹部との対戦の最中、勇者とその仲間たちをかばうようにして亡くなったと王国が発表したと。まあ王国の虚言であるというのも同時に入ってきてますが」
王国の発表の中で真那が亡くなったことになっているというのは以前ユウカから聞いていた。本人はマナとして行動している自分には都合がいいなんて話していたが、少し調べればそんな戦い自体がなかったのはわかることだし、他国にまで届くように発表するなんて王国の意図が正直わからなかった。
「あー、私も風の噂で聞きましたよ。2人の勇者の話ですよね?」
「まあその3人目ということですね。『召喚の儀』では各々が特殊な『力』を得るそうで、俺が得た『力』は『敵を喰らう力』。この『力』で倒した敵を喰らうことで、その能力を手に入れることができるんです。今は多分偽造が外れていますし、解析してもらえればわかりますが龍人と死龍人の2つの職業を得ています」
俺の言葉を聞いてすぐにぶつぶつと詠唱を始めたエルメラさんに対して、エンシェントエルフ様は少し目を閉じて大きく開くと解析を発動したようだ。
「うわぁ……ほんとに龍人と死龍人が職業になってる。大鬼人とか上級獣人あたりもすごい気になるけど、全部その能力で得た能力ってことかい?」
「それらは鬼人、獣人のレベルが最大になったことで生まれた職業ですね。おおもとの2つは能力で得た職業ですが」
「ほうほう。ということはあれかい? 龍人になれるってことでOK?」
「『獣化』や『鬼化』と違って龍人化は使えませんね。『竜化』はありますが」
エルメラさんの目がきらりと光った気がした。しかし、そこを追及していると絶対に横道にしかそれないし、今は話の続きをと若干強引に進めることにした。
「柩の話ですが、もともと彼女は俺が落とされた谷底にあった『パイフー』というダンジョンの最奥で眠っていました。ボスの部屋を超えた先でスイッチを踏んだことで棺桶が上から降ってきて、その中にいたのが柩、向こうの世界で9年前に行方不明になった俺の姉でした」
「今の言葉の中で気になるところがいくつかあったけど、私は我慢できる女だ。きっと」
「助かります。俺は姉さんと一緒にダンジョンから転移陣で飛ばされて外に出てきまして、俺を探して旅をしてくれていた真那と合流して冒険者パーティの『マツノキ』として活動を始めました。まあそこからは紆余曲折を経てキャラビー、ユウカの2人が加わって、『チューチエ』というダンジョンに挑むためにグリムの町に拠点を構えて行動し始めたという感じですね」
ヒメが俺の魔力に戻ってきたときにわずかだけど感じた魔力のつながりから、窓の外に見えている巨大な樹の根元にいる存在は白虎の関係者だという謎の確信があった。そんな存在と一緒にいたエンシェントエルフ様であれば4つのダンジョンについても何か知っているかもしれない。そう考えて、あえて名前を挙げてみたが、『パイフー』にも、『チューチエ』にも反応がなかった。詳しくは後で聞くことにしよう。
「俺と真那がこの世界に来てちょうど1年というところで、今日魔王がやってきたんです。柩の記憶を戻し、最後の一人として迎えるために」
「それで邪魔になったあなたとその真那さんという方をどこか適当な場所に転移したということですか。そう考えると、ずいぶん運がよかったんですね」
「運がいい、ですか? エンシェントエルフ様の考えることは私みたいな一般人にはわからないですねー」
「あなたは一般人じゃなくて逸してる犯罪的な人で逸犯人でしょう? 適当な転移となれば、その手法はおそらく座標がランダムに決められるタイプでしょう。移動先を固定せず、適当に飛ばす。ある意味転移魔法を暴走させているともいえる技ですから、その消費魔力は計り知れない。それを操っている相手が弱いわけはないですし、ランダムに決められた座標が運よく落ちても死なない地面よりも高い数値で、変態が反応できる距離に落ちたんですから。運がいいと言えるでしょう」
「そう聞くと確かに運がいいと言えますね。というか私のこと変な風に呼びませんでした?」
「まあその運のおかげでこうして生きているとも言えますね。できるのであればすぐにでもグリムの町に戻ってキャラビーとユウカに生きてることを伝えて、マナを探しに行きたいんですが」
「それは無理ですね」
俺の要望に対して、エンシェントエルフ様が即答した。
「あなたは今私の預かりになっているだけで、この森に不法に侵入してきた不審者ですから。それに、私の話はまだまだ始まってすらいませんよ」
「一応名前も所属も明かしているわけですし、不審者ではないのでは?」
「そこは言葉の綾というものです。まあそこはいいでしょう。あなたにはまだまだ、柩様の話をしてもらわなくてはいけませんからね。根掘り葉掘り、1から10、いや1000まで。とことんお話していただきますよ」
エンシェントエルフ様から感じる圧力が増し、俺はその場から動けなくなった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50)
有効職業
聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70
重戦士 Lv62/70 剣闘士 Lv49/60
龍人 Lv10/20 精霊使いLv17/40
舞闘家 Lv29/70 大鬼人 Lv11/40
上級獣人Lv7/30 魔導士 Lv23/90
死龍人 Lv1/20
非有効職業
魔人 Lv1/20 探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100 』
連休中ですので1日くらいの誤差は誤差とは呼ばないということにしておきたいです。メソラシ
まだまだ続くよ会話回。1年話させていなかったからというわけではないですが、メイが話しまくります。本編中では1日すら経ってないんですけどね…
ではまた次回




