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エルフの森です3


 エンシェントエルフの下へ向かうために診療所を出た彼らは、メイが寝るベッドを抱えたゼルセと黄龍を抱きしめるエルメラを中心として、周りを警備の部隊が囲う様にして移動していた。

 隠すようなことはせず、堂々と移動していたため、周りの一般人たちはなんだなんだと野次馬のように様子を見に来る者も多かったが、警備隊のエルフたちに止められ、近づくようなことはしなかった。


 メイの怪我を少しでも早く治したいヒメたちに急かされながら、早足で里の中を進んでいくと、周りの建物と比べて一回り大きな造りの里長の屋敷に到着した。


「えぇ? エンシェントエルフ様って里長のとこに来てんの? 私ここなら何度も来たことあるよ?」


「ここにいるわけではないエンシェントエルフ様は守護龍様の側を離れられんのだ。ここからは転移での移動になる。人数が多いからな。魔力を借りることになるかもしれんがその時は協力してほしい」


「なーるほろろ。転移ってなるとさすがの私でもわかんないなー」


「言っておくが術式を解読してやろうとか思うなよ。直接というわけではないが守護龍様の下へつながる転移陣だ。それがどれだけ大事なものかはわかるだろ?」


「もちのろんさ! 彼の治療が済んだら黄龍ちゃんとオーガくんから血を分けてもらうって約束をしてるからね。彼から立ちこめる龍の香りについても聞いておきたいし、やることは盛沢山さ! しばらくは守護龍様の生え変わったウロコとかを狙ってる場合じゃないよ!」


「まあいい。私は部下に指示を出してくる。里長、後はよろしくお願いします」


 隊長の言葉を受け、エルメラたちは扉を開けて待っていた里長とともに、屋敷の地下に向かった。

 屋敷の通路は入り口から奥に向かうほどに狭くなっており、ベッドを担いだゼルセが通るのはさすがに厳しかった。そのため、後で回収してもらえばいいとベッドはその場においておき、そこからはゼルセがメイを背負っていくことにした。


 地下で植物の根によって隙間なく塞がれた通路を魔法でどけて奥の部屋に入ると、そこには床一面に魔法陣が描かれていた。


「では乗りなさい。私はこの魔法陣による移動を許可されていないのでここまでですが、エンシェントエルフ様、守護龍様に無礼のないように」


「わかってますってー。はあ、守護龍様楽しみだなー」


「これはわかっていないようですね。小さな龍殿、そして白虎殿、申し訳ありませんが、この変態をよろしくお願いします」


「ちょっとひどくない!?」


「か-うー」


 抗議の声を上げるエルメラを無視し、里長は壁際においてある水晶を通じて、魔法陣に魔力を注ぎ始めた。

 魔力が注がれると、魔法陣はだんだんと外側から順に色がついていき、5周することでようやく魔法陣が有効化されるようだ。最初の内はスムーズに進んでいたものの3周もする頃には里長は滝のような汗を流していた。


「かう」


「うむ。われらもてつだうのだ。おろしてー」


 ゼルセの頭の上に乗っていたヒメが地面におり、内側から魔法陣に魔力を注ぎ始めた。エルメラの腕の中でじたばたと手足を動かして自由の身になると、同じように魔力を注ぎ始めた。2体が魔力を注ぐのをみて、エルメラも同じようにしようとするが、その必要もなく、すぐに魔法陣を使用するのに必要なだけの魔力がたまった。


「ありがとう。では起動しよう。『開けゴマ』」


 里長の言葉を受けて、魔法陣が起動した。


--------------------------------------

「守護龍様、お探しの者が見つかったと報告がありました。いかがなさいますか?」


 各里ごとに置かれている連絡用の魔道具により、隊長からの報告はすぐにエンシェントエルフの下へ届けられた。守護龍様が探していた相手が見つかったとなればそうのんびりとはしていられない。状況によっては私自身がこの場を離れる必要もあるかもしれない。そう考えながら守護龍様へ問いかけた。


「誠か! 主は無事なのか!?」


「落ち着いてくださいませ。報告によりますと、先ほど少し話題にも上がりました鍛冶師が森で重症を負った男を保護したところ、その男の従魔を名乗る3体の中にお探しだった白虎がいたとのことです」


「ふむ……従魔と言うのはたしか人の下についたモンスターのことであったな?」


「細かいところを言えば違うのですが、まあだいたいそのようなものですね」


「主がその男の配下となった……? いや、主は守護者としてあの地に縛られていたはずだ。そのようなことは……。その重症の男と言うのは動かすこともできぬような状態か?」


「外傷という点で言えば既に治療は済んでいますが、何らかの魔法の影響を受けており、意識は戻らないと」


「動かせるということであれば、その男と、主とともにいる2体の従魔。そして鍛冶師とやらをここに呼べるか?」


「報告のあった里には転移陣も敷いてありますからそれは問題ないかと。しかし、あの(・・)鍛冶師もですか?」


「問題があるか?」


「その……彼女はかなり特殊といいますか、龍という存在に過敏なところがありまして。これまでも何度も守護龍様のウロコや爪を使って武器防具を作らせてくれと頼み込むほどに」


「そうか」


 守護龍様は樹木に絡まれ動かない腕を見ると、魔法で斧を作り出し、自身の爪を1本切り落とした。


「我が望みを叶えたほうびとしてそれを与えよう。爪などいくらでも生えかわる物だ。主とは比べ物にならん」


「……わざわざ切り落とさなくても以前抜けた爪があそこにあるのですが」


「そうだったか? まあいい。それならまたお前の実験の材料にでもしてくれればいい」


「ありがたく頂戴します。ではここに呼ぶように手筈を整えます」


 一礼し、守護龍様の下を離れた私は、報告を入れてきたハイエルフに守護龍様の指示を伝えた。ハイエルフも私と同じようにあの鍛冶師を呼ぶことに驚いた様子だったが、すぐに動きだした。


「さて、守護龍様が主と呼ぶ相手を従える人間。どんな相手なんだろう。あの方のように外の世界から来た方かな?」


 そして私は転移の魔法陣の側で、客人がやってくるのを待った。


--------------------------------------


 転移の魔法陣が起動し、先ほどまでいた地下の部屋から、私たちは巨大な木の近くにある魔法陣に転移してきた。


「ようこそ。私はエンシェントエルフ。守護龍様がお待ちですよ。白虎様」


 エンシェントエルフ様に迎えられ、私たちは守護龍様の下へ案内された。

 私の交渉術はこれからだ!





どうもコクトーです。


今回もメイ視点ではないので職業レベルは無です。


先週はまた更新できずすいませんでした。どうもうまいこといかない…


最近BOSSのとろけるカフェオレシリーズにカフェモカが出てますね。ハイ。大好きでございます。

カフェオレもカフェオレビターもカフェモカもどれも好きです。


ではまた次回

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