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森の中の出会いです1

 渦にのまれた後、意識を失い、メイは深い森の中に転移していた。

 渦が現れた転移先は、森の木の高さよりも少し高い程度で、木の枝がクッションにもなったこと。そしてしんしんと降り続く雨のおかげで地面が柔らかくなっていたことが幸いして、動けない状態で地面に叩きつけられてもひどい骨折にはならずに済んだ。それでも、そのダメージは、マナを助けるために辛うじてつないでいるだけだったメイの意識をもっていくには十分すぎた。


 意識がなくなったことで、メイが柩の聖雪魔法に対抗するために発動していたスキルたちが効果を失った。『ホット』はともかくとして、『やわらか熱毛』『迦楼羅』の2つは本来なら使用者にダメージを与えるようなことにはならない。しかし、メイが多量の魔力を注ぎ込み、暴走させたことによって体を蝕むほどの火力となっていた。それらがメイ自身の回復の量を減らしてしまっていたのは事実ではあったが、それ以上に聖雪魔法を抑え込んでいたのだ。


「ちちさま!」


「かう! かうかう!」


「がぁ」


 メイの下へともに転移してきた3体が心配そうにメイの下へ駆け寄ってきた。ゼルセも黄龍も体中がぼろぼろではあったが、回復が始まっており、メイと比べたら比較的ましと言う状態だった。


「かうあう」


 ヒメが口で器用にメイの体に刺さったステュラを引き抜く。傷跡から噴き出した血によって自分の体が汚れるのも気にせず、剣先を捨て、傷口を舐め始めた。


「ちちさまのからだが!」


 『獣進化』によって強化されていたメイの体が元に戻った。表面を覆っていた白く長い体毛が消えたことによってメイの体が露わになり、体中に広がる火傷の跡。そして脇腹を中心にしてゆっくりと広がろうとする白い雪が見えた。


「がぁあ!」


 その雪に最初に気が付いたのはゼルセだった。3体とも、メイが使用していたアクティブスキルの効力が失われているのには既に気が付いていた。だが、体の奥底にあった聖雪魔法の残滓にはさすがに気づいておらず、焦げてはいたものの、白い体毛に覆われていたことが相まって発見が遅れてしまった。

 ゼルセは、すぐに自身の腕を捨てる覚悟を決め、雪が広がる脇腹を右手でつかみ、腕にホットのスキルを纏い、魔力を過剰供給してメイの脇腹に広がる雪を焼き始めた。自身の腕も同時に高温で焼かれるが、一時的にでも腕を捨てる覚悟を決めたゼルセには些細なことだった。


「頑張るのだゼルセ! あっついエンチャント!」


 黄龍が少しでもゼルセの負担を減らすべく、ゼルセにエンチャントをかける。しかし、黄龍自身にはほとんど扱えない属性のエンチャントであるためにほとんど気休めにしかなっていなかった。


「かうかう!」


「がぐがぁ!」


「にゅぅううう、わかったのだ! すぐにさがすのだ!」


 そのエンチャントにかける魔力を無駄と判断したヒメの指示のもと、黄龍は薬草を探すために周囲の捜索を始めた。ここら一帯は森になっており、感じられる魔力も豊富。そのため、薬草がどこかに生えていると考えたのだ。

 メイのアイテムボックスの中には、館の畑でアンナと配下の蟻たちが育てた多種多様な薬草が入ってはいたが、従魔でしかない3体にはそれを取り出すことはできなかった。普段から勝手にメイの魔力から出入りしたり、喰らった物を拝借しているヒメではあるが、さすがにメイのアイテムボックス制御まではできない。身の丈をはるかに凌ぐ大きさの大剣を扱うゼルセの能力の中にはアイテムボックスに近い能力はあるが、それには武器以外の物は入れられず、メイのアイテムボックスとつながっているようなこともなく、今はほとんど意味のないものになっていた。


「ががが」


「うにゅにゅにゅにゅ……。レーダーが広がりにくい」


 思うように火力が上がらず、聖雪魔法の広がりに少しずつ押し負け始めたゼルセと、薬草を雷のレーダーで探そうとする黄龍の能力を妨げている物。それは雨だった。

 聖雪魔法はメイの天敵とも呼べる聖属性を帯びた氷魔法の上位魔法であり、その本質は冷たさというところにある。先ほどまでは、『獣進化』によって虎獣人のようになったことで体の表面を体毛が覆い、さらに『やわらか熱毛』『迦楼羅』の2つがメイの体を温めることによって、聖雪魔法に侵されながらも、単純に体温が高い状態を維持できていた。しかし、それらがすべて取り払われ、『再生』や『リジェネレイト』のような、パッシブのスキルだけになったことでメイの体を温める効果はなくなってしまった。木々の葉によって多少防がれてはいるが、そんな葉を伝ってポタポタと落ちてくる冷たい雨と、その雨に濡れた、陽の光の当たらぬ地面がメイの体を加速的に冷やしてしまっていた。それと同時に、地面すれすれに広がる黄龍のレーダーも絶え間なく降り注ぐ雨粒に遮られ、思うように広がらない。

 ボフっと覆いかぶさるようにしてヒメがメイを雨から守ろうとするも、小さなヒメの体ではとてもではないがメイの体を雨から守り切ることはできなかった。だんだんと冷えていくメイの体を全身で感じながら、少しでも温まるようにと自身の体毛をやわらか熱毛のスキルで熱くする。幸いと言うべきか、ステュラの刺さっていた傷口からあふれ出る血は最初に比べるとかなり抑えられており、それほど気にしなくてもよくなっていた。『再生』が効いているという証拠でもあり、それだけがヒメたちにとっての救いであるとも言えた。


「かぁああああうぅうううう!!」


 ヒメが腹の底から声を上げた。現在、自身の配下とも呼べる他の従魔達とはコンタクトがとれなくなっていた。それだけ離れた地にいるということだが、それでもなんとか通じてくれることを信じ、叫ぶ。

 『助けて』と。


 しかし、そんなヒメの声を最初に聞きつけたのは、森の中に住まうモンスターたちだった。

 雨でかき消されながらもかすかに届く血の香り。そしてそこに聞こえてきた何者かの叫び声。他ならぬ、()を求めて、最も近くにいたモンスター(ウルフ)たちが、脅威として、その姿を現した。


「がぁ!」


「やめるのだ! ちちさまはお前たちのえさじゃないのだ!」


 強さと言う点で圧倒的上位に位置するはずのヒメたちではあったが、運悪く、目の前に現れたモンスターたちはそれすらも理解できないほどの低位のモンスターだった。メイのことに集中しているため、魔力を伴わないゼルセの威嚇も意に介さない彼らの思考は、『目の前に死にかけの餌がある』。それだけだった。


「ゴロゴロ!」


 3体の中ではまだ自由に動ける黄龍が現れたウルフたちを一掃する。普段であれば片手間で対処できるレベルのモンスターでも、自身がぼろぼろであり、そのうえで薬草探しも行いながらと言う、余裕のない状態の黄龍にとって、うるふたちは明確な(邪魔者)となっていた。制御が甘く、過剰とも思える雷で焼き殺したことでプスプスと煙の上がるウルフたち。その焦げた香りがあたりに広がり、さらなるモンスターの襲来を予感させた。


「ごめんなのだ。……あ、レーダーが!」


 気をとられた一瞬で、レーダーの制御が途切れる。再びレーダーを展開するも、真っ先に見つかったのは、薬草ではなく、自分たちのすぐそばにまで近づいてきていた何者かの存在だった。


「ああああああああ! すごいすごいすごいよこの匂い! 君か、君なのか、君なんだね!? いや、そこの倒れてる彼からももっと濃厚な香りがって……なんどぇすかこれは!?」


 超低空タックルで黄龍を抱き上げたその存在は、血走った眼で黄龍に頬ずりを決め込みながら、倒れるメイとその周囲にいるヒメとゼルセを見て、叫び声をあげるのだった。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50)

有効職業

 聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70

 重戦士 Lv62/70   剣闘士 Lv49/60

 龍人  Lv10/20  精霊使いLv17/40 

 舞闘家 Lv29/70  大鬼人 Lv11/40 

 上級獣人Lv7/30  魔導士 Lv23/90

 死龍人 Lv1/20

非有効職業

 魔人  Lv1/20 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80

 呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100 』

ひっっっっっさしぶりの職業レベルです。

投稿する時に気づきましたが8カ月もメイ出てなかったんですね…(勇者ヒメの大冒険は除く)

ぶっちゃけ感想をいただく機会も減り、モチベーションが下がり気味ではありますがそもそも書いてる話数が少ないですからね…。でも平日って書けないんだよね。

そんな状態でも、月間で10万~20万くらいのアクセスをいただいていることを知りまして、改めてこんなぐだぐだ長いお話を読んでくださってありがとうございます。ほんとに感謝です。

自粛の甲斐もあってだんだんとコロナも収束に向かっているのかな?と思ったり思わなかったりですが、ここで油断したりせずに気を引き締めていきましょう!

果たして最後に現れた存在の正体はいかに!


ではまた次回

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