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マナの転移物語です6

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今回もマナ視点ですのでご注意ください。


 興奮冷めやらぬ様子のトーチさんに手を引かれながら部屋を出た私は、そのままトーチさんに引かれるがまま『魔法学園』の中を進んでいく。見た目的にも明らかに貴族ではなく、ただの女の子でしかない私がギルドマスターであり、Sランク冒険者であるトーチさんに手を引かれてギルド内を突き進んでいるのは異様な光景には違いなく、道中に見かける全員から『誰だあいつ?』と言わんばかりの視線を浴びていた。あまり居心地がいいとは言えないかな……。


 そのままギルド内を進んでいって、ようやく書庫までたどり着いた。私たちがさっきまでいた部屋から書庫まではほぼほぼギルド内の端から端だったこともあり結構な距離を移動した。それだけに多くの人に見られていたのは間違いなく、それを物語るように後方の通路の角から見ている人数が増していた。トーチさんはまったく気にしていないようで、私の手を引いたまま書庫に入った。ここから先はさすがに入ってこないらしく、閉まる扉の向こうで人がはけていくのがかすかに見えた。

 トーチさんは受付にいた女の人に何かを伝えると、そのまま私を連れて書庫の奥の方へ進む。トーチさんが話していた女性は、私たちが進み始めてじきぐらいに私たちを追い越すように小走りで奥へ向かっていった。


 書庫の中では、あちこちに置かれた机で勉強に励んでいる人たちが多くいた。トーチさんが来たのに気が付くと、皆一様に席を立って一礼して続きに戻る。そのすべてに手を上げて応えるトーチさんはどことなくドルトムント国王と対話していた時のトーチさんを思わせる姿だったが、奥に進むにつれてそうした机もなくなっていくと、素のトーチさんに戻っていった。


「今から向かう先にいるのがうちの幹部メンバーの2人だよ。ここを含めた資料保管庫すべての管理を任せてるの」


「2人ですべての資料を? それってとても大変なんじゃあないですか?」


「そりゃ大変だろうね。だからあの2人に丸投げしたんだもん」


「丸な」


「それまでも実質的に2人が管理はしてくれてたんだけど、あくまでも自発的にやってるってだけだったからね。正式に仕事として任せられてるわけじゃなかったから反発する人もいたんだ。だから、私がギルドマスターになった時に権限を使って正式にギルド内の仕事として任命したんだ」


「それでよく反発してた人達は納得しましたね。そこもギルドマスターの権限で?」


「彼らは首にしたよ。物理的に」


「へ?」


「もともとあんまり真面目に活動をしないメンバーが集まっていた一派だったんだけど、彼女たちが正式に資料保管庫の管理を始めたら資料が何冊もなくなっているのが見つかってね。その横流しをしてるのが彼らだったってわけ。バカなのか、それだけ私たちを下に見てたのか、罠にまんまと引っかかってくれて、その後の拷問であっさりとそれまでの罪も認めたから、一派丸ごと首にしたよ。そのころには既にベスティア獣神国、国王様との直接の取引も始まってたし、よりにもよって流した先がデルフィナを拠点とする、獣人の排斥を唱えるような過激な連中だったこともあって追放とかじゃ済まさなかったわ」


「そんなことが……それって話してもいいことなんですか? あんまりギルドの汚点とかって表に出さないものなんじゃ」


「そういうところも多いし、うちもすべてさらけ出しているってわけでもないよ。ただ、この件はもう二度と同じことをさせるわけにはいかないから、入ってきた子には全員教えるよ。『魔法学園』がベスティア獣神国と繋がりがあるのは今に始まったことじゃないし、有名な話。でも、国と繋がりがあるってことはその分悪事に対してははっきりとした罰を与えなければならないの。だから、本当ならマナちゃんもきちんと罰さないといけないんだよね」


「それはもうよくないですか?」


「きちんと国王様へ話を済ませて初めてマナちゃんの罪がなくなるのよ。申し訳ないけどね」


「私、いつ罰されるのかわからないところで過ごすんですか……」


「国王様のお客で私の預かりってことになってるし、勝手な真似はさせないけどね。それに、あの魔法について詳しく教えてもらうまでは死んでもらっちゃ困るわ! もし罰するとなったとしても私のモノにして見せる」


「いや、私は私のものですし、仮に誰かのものだったとするならメイのものですから」


「ライバルは強そうだねー。っと、この奥の部屋だよ」


 おそらく資料の階級を分けているのであろう門を何枚か超えて、私の境遇についてなどの足を止めてしっかりと話したくなるような話もしつつ書庫を進んでいくと、それまでの門よりも一際頑丈そうな門の前まで来た。


「おーい来たよー」


 トーチさんが門に向けて手を振りながら話しかけると、門の方から重々しい感じの声が降りてきた。


『階級と名前、それから要件を述べよ』


「私だよー。連絡来てると思うけど二級資料までの閲覧許可を出したから、その顔見せと、対応お願いしたいなって」


『階級と名前、それから要件を述べよ』


「よろしくねー」


『階級と名前、それから要件を述べよ』


「それじゃマナちゃん、今いるこの場所が三級資料だから、ここから先の二級資料が読みたかったら彼女たちを頼ってね」


『階級と名前、それから要件を述べよ』


「頼ると言われましても……」


「大丈夫大丈夫! あの子たち面倒見はいいから。たいていのことはなんとかしてくれるって」


「んな適当なことあるかぁああ!!」


 門から聞こえていた声を完全に無視して今にも帰ろうとしていると、門の向こうから女の子が飛び蹴りよろしく飛んできた。何もしようとしないトーチさんに変わって結界を貼って女の子を受け止める。下手に衝撃を流すわけにもいかず、私の影の中に潜ったコルクにシャドーハンドでサポートしてもらいながらだけど、無事周りに一切影響も与えずに女の子を止め切った。そのままマジックハンドを使って女の子を地面に降ろしてトーチさんの方を見たが、トーチさんは笑顔でこちらを見るだけだった。


「お姉様、はしたない真似はしないでよ。それにトーチ様、お姉さまはバカなんだからあんまりあおらないであげて。すぐに飛びだしていっちゃうんだから」


「バカとは何よバカとは! というか、ギルドメンバーでもない子に二級の閲覧許可出すなんて何があったのよ。というか今日はドルトムント国王様との会合だったはずでしょ? それなのになんでこんな誰とも知らない女に資料見せるなんて話になってるわけ?」


「んー、説明しないとだめ?」


「ダメに決まってるでしょ! というか、わざわざ世話役を私たちに頼むってことは一級資料の許可も視野に入れてるんでしょ?」


「わかってるじゃない! そういうわけで許可出してくれるよね?」


「だすわけないでしょ! いいから説明しなさい!」


 こうして私は『魔法学園』幹部メンバーの2人、マイとミイと知り合った。


どうもコクトーです。


今回もマナ視点ですのでステータスはなしです。


明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

2020年の初投稿ですね。今年ものんびりだらだら進めていきます。暖かく見守ってくださるとありがたいです。

明日から仕事になりますのでまた週末に投稿の形になると思います。意図せず今週も日曜でしたがまあ気にしない方向で。


ではまた次回

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