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キャラビーの物語です9

キャラビー視点(?)です。ご注意ください。

「さて、アンナの問題はいったん解決策ができたわけじゃが、今後の大きな問題を解決せねばならんの」


 ユウカ様は半ば無理矢理という感じに私をアンナたちの主にしてしまいましたが、それは前座だと言わんばかりに真剣な表情に戻りました。


『キャラビー様の従魔になることで私たちはよろしいですが、依然として主様やヒメ様、マナ様たちの安否が不明であるという点に変わりはありません。まったく繋がりを感じないことを考えると、少なくともこの近辺にいるとは思えませんね』


「そうでした! ご主人様……」


「キャラビーにはさっきも言ったのじゃが、闇雲にメイとマナの2人を探すというのは無謀でしかないとわしは考えておる。まったく、何の手がかりもない状態で、無事であるかどうかもわからんのにこの広い世界を探すというのはあまりにも無駄が多いというか、愚策じゃ」


『マナ様はもともと同じような状況で一人で主様を探しに旅にでていたのですが』


「その話はわしも聞いておるよ。じゃが、それはこの世界に連れてこられたばかりで、何もわからず、誰にも伝手もない時じゃろう? しかも味方と思えるような存在もおらず、下手に頼るとその人物を殺してしまうやもしれん。そんな状態と今のわしらの状態を同じにするでない」


「そこまでお聞きになったのですか?」


「マツヤナ殿の話は別にマナから聞いたわけではないのじゃ。王都でもそれなりに著名な研究者が突然国家反逆罪で家ごと燃やされた。しかも女の勇者にかかわる罪だという話じゃ。当時はまだ所長をやって居った頃なのじゃから、話が入ってこんはずはない。その前日に魔法使いが大量に集められておったのももちろん知っておったし、メイがあのつり橋から騎士に落とされた話と、マナの話を聞いて居れば何が起こったのか誰だってわかるじゃろ」


『私がマナ様と出会ったのは既に主様と会った後でしたのでその辺りの事情には詳しくありません。ですが、その話を聞いていると、マナ様は随分と運がいいお方というのがわかりますね』


「運がいい、ですか?」


『ええ。そのような状態であったのにもかかわらず、3カ月の間一人でほとんど何もわからない世界で生き続け、崖下に落ちて生死がわからない主様を探し、見事に出会うことができたのですから』


「たしかにそれだけを聞くと運がいいように聞こえるの。まあ実際運はよかったのじゃろうがな。状況からして、マナは国の意思に反して王都を出たのじゃろう。メイを捨てると決めた王国が、そのメイを探すために勇者一人で旅をするなど認めるとは思えん。表向きは王国の情報網を使って探すと言いつつ、天上院、あの男のパーティに入れて、そのままあやつの女になるように薬でも盛っておったじゃろうな」


「強制的に奴隷にしてしまうという可能性も……」


 実際、私が育てられた環境で、そういう方はこれまで何度となく見てきました。奴隷になりたくてなった人なんかいません。


『そうならなくて幸いでしたね』


「そうじゃのう。実際にそうなるかと言われると微妙なところじゃがな。力ずくとなると何とも言えんが、マナも警戒は怠らんじゃろうし、あのマナがあやつに惚れるかと言われると……」


「マナ様がご主人様以外の男の人になびく光景は想像ができませんね……」


 人のことをとやかく言える立場ではありませんが、マナ様のご主人様への愛情は異常です。ご主人様によると、マナ様とは生まれてすぐからずっと一緒だそうですから、その時間でご主人様への愛情が培われたのでしょう。


「じゃな。まあそろそろ話を戻すとするが、安否不明で、どこにいるのかまるで手がかりもない、その状態であるわけじゃ。当時のマナと同じようにの」


『つまり、あきらめずに探そうということでしょうか?』


「わしの言い方が悪かったの。同じなのはここまでじゃ。その当時のマナと大きく違うところが2つある。1つはマナもメイも冒険者ギルドに登録しておるという点じゃ」


「そうか。ご主人様もマナ様も、どこか近くの町まで行ければ冒険者ギルドを訪れるはず。ギルドに依頼として訪れたらこちらに連絡をもらうようにしておけば」


「そういうことじゃ。と言っても、どこに訪れるかわからんし、ほんとにやってくるかもわからん。いつになるかもわからんし、その間依頼を維持するのにも相当な金額がかかる。メイたちがランク試験に挑んでおった頃くらいのペースで稼いでおれば問題はないレベルの金額であろうがな。じゃが、言いたくはないが、場合によっては永遠に達成されることのない依頼のために金を払い続けることにもなりかねん」


「……」


 考えたくもないことですが、ご主人様とマナ様が亡くなっている場合。亡骸か、ギルドカードだけでもギルドへ届けてくださる方がいらっしゃればそれはわかりますが、そうならなかった場合、私達にはそれを知る術はありません。いつまでも、いつまでも帰ってくるのを信じてお金を払い続けるのでしょう。


「もう1つ違う点としては、その当時とはマナもメイも実力がけた違いになっておる。あの二人が大人しくしておるなんてわしには想像ができん。まして、魔王が動き出すことを宣言した今、あちこちで戦いが起こる可能性は否定できん。その中であの2人が黙っておると思うか?」


「思いません。ご主人様のことですから、自分から関わろうとしなくても、周りが巻き込むのかなと」


『主様はいろいろと秘密を抱えていますからね。ご主人様自身の『力』がそもそも問題の種になるでしょうが、ご主人様のところには間違いなくヒメ様がいらっしゃいます。私のようにかつての白虎様の下を去った眷属は各地に散っています。中には白虎様に敵意を示す者もいるでしょう』


「その元眷属のモンスターがヒメちゃんに気付いて襲って来るということですか?」


「ただのモンスターであれば問題はなさそうじゃが、アンナを見ておるとそうもいかなさそうじゃしの」


『申し訳ありませんが、ここも元眷属が襲って来る可能性は否定できません。ここにそれなりの間滞在していましたし、その間にヒメ様の魔力を感じた元眷属がいないとも限りません。朱雀の領域であるここに攻め込むような勢力がいるとは思いたくありませんが、0ではありません』


「そやつらは当然強いのじゃろうな?」


『今はどうなっているのかわかりませんが、少なくとも当時の私たちアント種では勝ち目がなかった眷属は無数にいますね。相性とかではなく、純粋に実力で』


「そんな相手が……。ユウカ様」


 アンナの話を受けて、私の決意は固まりました。もしかしたら、アンナはわざとこんな話をしたのかもしれませんね。


「なんじゃ?」


「私を、殺す気で鍛えてくれませんか?」


「殺す気、とは穏やかではないのう」


「私はもう、あんな風に一人逃がされるなんてごめんです。私は、ご主人様たちと、ユウカ様とともに戦いたい!」


 私の言葉に、ユウカ様は何も答えませんでした。ですが、コクリと頷くと、刀を取り出して広場の方へ歩き出しました。私はユウカ様の後について、広場に向かいました。


 こうして、私はご主人様たちの帰る場所を守るため、ユウカ様、アンナたちとともに歩きだしました。



どうもコクトーです。


今話もキャラビー視点ですのでステータスはありません。


振休で今日はお休みだったので今日更新です。

昨日のうちに書ききれなかったんですよね…

鳥谷の退団に続き、メッセンジャー、横田、高橋と引退…お疲れ様でした!

べ、別に引退試合見てたのが遅れた原因とかありませんよ?ホントダヨー

知らない方にはなんのこっちゃって話ですがね。


来週からしばらく週末に予定があるので投稿が厳しいかも?


ではまた次回

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