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最悪の一日です1

『主様、森に展開しているアントたちがやられています。侵入者は、館へまっすぐに向かっていると』


 1周年記念パーティが進む中、アンナの告げた一言で、その場のムードは一転した。俺はすぐにステュラをアイテムボックスから取り出しながらアンナに問いかけた。


「侵入者の人数とかはわかるか?」


『少々お待ちください……。現時点で把握しているのは3体です』


 3人、ではなく、3体というところが気になったのか、刀の用意を終えたユウカが俺の側にやってきてアンナに聞いた。


「人ではないということかの?」


『私も眷属からの連絡をもとにお話ししていますのでなんとも。報告ですと、侵入者の姿自体はコボルト、オーガ、ウルフだそうですが、強さが異常です』


「つまり、上位種か、異常種ということだね。すぐにでも迎え撃つのとして、どれくらいでここまでつきそうなの?」


『すぐに周囲に展開していた者が集まって足止めをしていますが、10分もかからないかと』


「あんまり館の近くではやりたくないな。なんとかいつも鍛錬で使ってる広場の方へ誘導できないか?」


 流れ弾とかで館が壊れるのは勘弁願いたい。しかし、それ以上に館の周りには木が多く、隠れる場所が多い。アンナの言う通りならば、オーガはともかく、ウルフとコボルトは厄介になりそうだ。広場はその分遮るものがないからスピードでかく乱される可能性もあるけど、広く使えるのはこちらも同じだ。


『すぐに伝えます』


「頼んだ。『ワープ』で跳ぶけど、カルアとみぃちゃん、キャラビーは館に残れ」


「私もご主人様と!」


「いや、誘導がうまくいかなかった場合に戻るまで時間を稼いでほしいんだ。それには小回りの利くお前らが最適だからな。誘導に失敗した場合は頼んだ」


「わ、わかりました」


「くわー」


「館の方に来たときはカルアが合図を飛ばせ。誘導がうまくできたならこっちから合図を出す」


「合図が来ましたらすぐにでも私も向かいます」


「敵がその3体だけとは限らんのじゃ。十分に気を付けるのじゃぞ」


「はい」


 俺たちはいつもの広場へ転移した。




 広場の中央付近で周囲を警戒しながらアンナの部下からの連絡を待っていると、遠くの方で木が倒れる様子がわかった。少しずつ近づいてくるな。うまく誘導できたようだ。


『来ます』


「うまくいったみたいだな。『エアロ』」


 俺はカルアたちへの合図に『エアロ』を空へ飛ばした。敵も俺たちがここにいることに気づくだろうが、こちらに来てもらうことが狙いだし、むしろいいだろう。


「みんな、先にエンチャントかけとくよ」


 そう話している間にも、3体ともだんだんと近づいてきて、ついに音が聞こえるほどになり、程なくしてアンナの部下の蟻たちが戦いながら後ろ向きに広場に出てきた。


「キィ!」


「キィキィ」


 森から出てきた2体はどちらも傷を負っていた。腕を何本か失っているのはグラスモンクアント。腕はすべてあるものの、体から血を流して今にも倒れそうになっているのはギガナックルアント。誘導のために少しずつ引きながら戦っていたのだろう。

 その2体を追う形で、敵が姿を現した。刀を口にくわえたウルフと、右手で短剣を持ったコボルト、そして息絶えたアントをグラスモンクアントに投げつけるオーガの3体。『鑑定』でも同じように表示されるだけで、上位種でも異常種でもない。ほんとにただのコボルトたちだ。


 息絶えた仲間のアントを受け止めて足の止まったグラスモンクアントがコボルトの短剣に切り裂かれた。コボルトは最小限の動きで首をきっちりと斬り落とすと、グラスモンクアントが死ぬ寸前に放った攻撃を受けないように素早く下がる。下がったところにギガナックルアントから魔力の拳が飛ぶが、間に入ったオーガが握りつぶした。攻撃後の隙を逃さずにウルフが襲い掛かり、攻撃をしのぎ切れなかったギガナックルアントもやられてしまった。


『お疲れ様です』


 アンナが小声でやられたアントたちに声をかける。彼らがもうその言葉に応えることはないが、彼らは役割を十分に果たしてくれた。あれらを倒すのは俺たちの役割だな。


「『黒槍の雨』」


 アントたちを倒して足を止めたやつらの頭上から『黒槍の雨』を降らせた。1体につき50本の黒い槍が降り注ぐが、全員が発射前に気が付いてかわされてしまった。地面を穿つその槍を見て3体は一か所に集まってこちらを見た。すぐに仕掛けてこないのは警戒しているからだろう。


「グロウウィード」


「アイスニードルレイン」


 マナとヒツギがそれぞれ天と地から攻撃を仕掛けた。『黒槍の雨』とは違い、点ではなく面で制圧する針の雨。

それに対して、ウルフとコボルトがオーガの影に入ると、オーガの雄叫びが自分たちに当たりそうな針を弾いた。続けて襲い来る根には、隠れていた2体が対応した。オーガの雄叫びの範囲内からは出ずに、正確に自分たちに襲い掛かる根を切り落とす。マナが操って回り込もうとしても、それを察知して根元から切り落とす。


「バフ!」


 ヒツギの飛ばした氷の針が止まったタイミングで即座にウルフが突っ込んできた。オーガとコボルトもワンテンポ遅れて向かってきた。アンナが酸弾を飛ばすが、スピードが足りず、すべてかわされてしまった。ユウカの斬撃とコルクのダークボールも同様で、唯一動きの遅いオーガには追いつくものの、他の2体にはかすりもしない。オーガも魔法を殴って砕くという、奇妙な防ぎ方であまり効果はないようだ。むしろ、魔法の効果がないようにも見える。よく見ると腕に何やら文様が浮かんでいるのがわかった。あれの効果で魔法がうまく効いていないのかもしれない。


「ゼルセ!」


「グラァ!」


 ウルフを迎え撃つのに動き出したユウカに合わせて俺も『獣化』状態でコボルトを狙う。オーガに向かっていくヒツギのフォローにゼルセを向かわせる。頭の上に乗ろうとしたヒメと黄龍は首根っこをつかんで、コボルトめがけて投げつけておいた。


「かう!」


「やるのだ! ぴかぴかネット!」


 ロケットのように飛んでいくチビどもが連携してコボルトを狙った。黄龍の広がる雷の網をかわしたところにヒメの半透明な牙が襲い掛かる。極力上に飛ばないように攻撃をかわすコボルトに対して、俺は背後をとるために回り込む。それを察したコボルトが他の2体に視線を向けるが、その2体もすでに攻撃を受ける立場になっていた。ウルフはユウカの斬撃に押されているし、オーガもヒツギの鎖に足をとられ、ゼルセに組み敷かれそうになっていた。


「いま!」


 黄龍が網から切り替えた雷の槍がコボルトの右足を捉えた。そのダメージで踏ん張れなくなったコボルトが足を踏み外し、地面を滑った。


「『自重増加』『獣の一撃』」


 倒れたコボルトの上に跳んで、ステュラの先端を突き立てた。短剣で防ごうとするコボルトだが、ヒメがそれを牙ではじく。ステュラはコボルトの心臓を貫き、コボルトは動かなくなった。


 すぐに周りを見ると、オーガとウルフもまさにトドメを刺されるところだった。ユウカの刀とゼルセの拳がそれぞれを仕留める。誰も傷を負っているような様子はなさそうだ。


「あーあ。オガ本もコボ山も村田も実践投入できるレベルだったはずなんだけどな。ゴブ助……ごめんよぉ」


 突如として聞こえたその声に、俺は声の方を向きながら返した。


「誰だ!」


 視線を向けた先には、1組の男女が立っていた。男の方が一歩前に出ながら右手を上げ、話しかけてくる。


「初めましてグラトニー。僕の名前はマモル。今代の魔王だよ」


 魔王。男は軽い感じでそう名乗った。



どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50)

有効職業

 聖???の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70

 重戦士 Lv62/70   剣闘士 Lv49/60

 龍人  Lv10/20  精霊使いLv17/40 

 舞闘家 Lv29/70  大鬼人 Lv11/40 

 上級獣人Lv7/30  魔導士 Lv23/90

 死龍人 Lv1/20

非有効職業

 魔人  Lv1/20 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80 』

遅くなってすいませんでした。昨日投稿するはずだったんですが…ナンデカナー。


いよいよ平成も終わりですね。明日(今日?)は夜勤なので投稿できません。

これが平成最後の投稿ですね。時代の変わる瞬間は職場だぜ!

新たな時代、令和でもよろしくお願いいたします。


ではまた次回

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