ギルドからの呼び出し後です
「これで事前に決めてあった質問は以上ですね。特に追加で聞かなければならないようなことがあるとは思えませんが、そちらはいかがですか?」
「こちらも特には。頭を潰しても体が再生したという点は気になりますが、遺体はありますからね。実験で試すことはできるでしょう。何をどう試すのかは研究者の皆さんの知恵に頼るしかないですが」
「こちらも協力させていただきますよ。『マツノキ』の皆様からは何かありますか?」
「正直、これほど質問の数が少ないとは思っていなかったのでなんと言っていいのやら……」
会議が始まって、ギルド側、領主側と順番に質問を受けて俺が答えていくという流れで進んできたが、まだ20分くらいしか経っていない。ほんとにこれで全部でいいのかと心配になるレベルだ。
「今回はいろいろと証拠もそろっていますからね。制御下を外れたはぐれ者だけとはいえ、もともと騎士たちが戦っていたということもありますし、色々と情報は既にありました。それに皆さまが倒したゾンビの死体も確保できています。戦闘中の出来事については細かく詮索するようなことはしませんよ」
「冒険者のスキルや能力に関して詮索するような真似はよろしくないということはわかっていますよ。彼らはあまりそのあたりは気にしないので細かく聞こうとしていましたがね」
イメルダさんがちらりと壁際の研究者に視線を向けると、無言のまま研究者たちは目をそらした。スキルや能力の詮索しようとしていたと言われてばつが悪いんだろう。
「領主の権限とかで話せとか言われるかもとか勝手に考えちゃってました」
「そういう意見もないわけではないですよ? と言うより、皆様でなければ今回もそうなる可能性が高かったですね」
「可能性なんてかわいいものではないですよ。確実に聞きますね。もっと細かいところまで」
言葉をオブラートに包んだりせずにはっきりと話す2人の視線がちらりと俺から外れた。わざと何だろうが、それでその理由を理解することができた。ギルドとしても、領主としても、Sランク冒険者を敵に回したくはないのだろうな。
「追及されないのであればこちらからさらに何か言うようなことはありませんね」
「そうですか。今日はありがとうございました。報酬は受け取れるようにしておきますので、帰りに受け取ってください」
「わかりました。それでは失礼します」
研究者たちの物足りないという視線を背中に感じながら、俺達は部屋を後にした。
帰りに受付に寄り、報酬を受け取ると、俺達は館に戻ることにした。
「予想以上にあっさりと終わったね。事前に打ち合わせしてあったのに」
館に戻ってきて、みんなでリビングでのんびりしていると、ヒツギが不意に話し出した。
「どこまで話すのかとか、スキルのことも覚悟してたのにね。ユウカのおかげかな」
「Sランクの肩書が役に立ったということじゃろうな」
「でも、あの研究者の人たち物足りなさそうだったね。もしかしたら直接聞きに来るかも?」
「そこはさすがにカラスさんとあのイメルダさんって方が許さないでしょ。それを許しちゃったらわざわざ今回俺たちを呼び出して、ギルド側と領主側で話し合ってまで決めたことが無駄になる」
「どちらかの人間が抜け駆けでもしようものならその後の関係が悪化しかねんからの。そんなことになれば研究者の首1つではとてもすまんじゃろ」
「だといいけどな」
「そういえば、いよいよ明後日だね」
「明後日……何かあったかの?」
「メイは『パイフー』にいたからそんな実感がないかもしれないし、ユウカたちは知らないから無理もないかな」
「あー、なるほど。そういえばそろそろって言ってたっけ。もう1年経っちゃったのかー」
「この1年でいろんなことが起こりすぎてるからな。早く感じるのも無理はないさ」
「早、く? 1年進むのに4年半もかかって」
「ヒツギ、それ以上はだめ」
「お主らがこの世界に来て1年じゃったか。1年前はまだわしは騎士団におったからの。懐かしいのじゃ。この奪われた愛刀を取り戻してくれたのもお主らのおかげだったそうじゃな。改めてありがとうの」
「ユウカの刀についてはあんまり関係ないって。なんかあの町の貴族が自滅したって言う話だったじゃない」
「それでも、お主らがおらんかったらその自滅すらなかったんじゃからの」
「私はその当時はまだ国の奴隷でしたね……」
「つらいことだろうし、思い出さなくても」
「その時があるからこそ今の私がありますから。ご主人様、ありのままの私を」
「見ない」
「じゃあお風呂」
「一緒に入らない」
「ヘタレなんだからー」
「ヘタレじゃねーし」
「メイがいくじなしと言うのはこの際置いておくとして、明後日はお祝いでもしようかの」
「置いとかなくていいから忘れろ!」
「お祝いとなると、明日はいろいろ買い出しに行かないといけないかな?」
「さすがに明後日となるとアレフを呼ぶのは無理じゃから料理は自分たちでやることになるしの」
「ちびっこたちも明後日くらいはお肉食べ放題とかでもいいかもな」
「ヒメちゃんたち大喜びだね」
「ああ。後ろで踊りだしてるよ」
「お肉! お肉!」
「何を作るか今のうちに決めちゃおうか?」
「賛成!」
その後、各々食べたいものを上げながら明後日のお祝いの準備を進めた。
そしてついに俺たちがこの世界にやってきてちょうど1年となるその日がやってきた。
運悪く朝からパラパラと雨が降っていたその日は、俺達全員にとって、忘れられない1日になった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50)
有効職業
聖???の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70
重戦士 Lv62/70 剣闘士 Lv49/60
龍人 Lv10/20 精霊使いLv17/40
舞闘家 Lv29/70 大鬼人 Lv11/40
上級獣人Lv7/30 魔導士 Lv23/90
死龍人 Lv1/20
非有効職業
魔人 Lv1/20 探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80 』
先週は投稿できずすいませんでした。
風邪を引いた上に背中を寝違えまして……。くしゃみの度に激痛が(泣)
なんだか思うように筆が進まず、少し短いですがご了承ください。
ではまた次回




