死の草原再びです4
活動報告やツイッターでは書いてますが、俺が勇者じゃ救えない!?
3巻が12月1日に発売になります!
あ、後半は視点が違います。
外に転移してきた俺たちは、歩いて戻るにもキャラビーの疲労が限界だったこともあり、『テレポート』で館に戻った。いつもであれば館に戻った後はアイテムボックスにしまい込んだモンスターの死体を解体したり、解体したものを仕分けたりしているのだが、今日はそんな余裕もなかった。
第二段階の戦闘それ自体はなんとかなりそうだということはわかった。1層での戦闘はキャラビーも問題なくついて来れていたし、2層ではあの数を相手にして全員が怪我無く戦いきれた。でも、ヒツギの負担が非常に激しく、あれ以上続いていたらどこかでミスをして怪我をしていた可能性は十分にあったことを考えると、先に進むのが少しためらわれるな。
以前ユウカと一緒に参加した会合では、『死の草原』は4層で攻略が止まっていると言っていた。あれからすでに2週間以上が経過しているわけだが、ギルドで攻略が進んだという話は聞かない。他の第二段階のダンジョン3つもそうだが、一度止まってしまうとこうも進まなくなるものなのか。
明日、明後日は第二段階のダンジョン攻略はお休みにするとして、今後どうするのかは要相談だな。『死の草原』の4層で止まっているのは大量のレッドレオとオペラウルフの群れが原因だ。見たことはないけど、ティグレさんが率いるパーティなど、この町で最上位のパーティと思われるようなパーティたちを軒並み足踏みさせるほどの戦力と考えるとかなりの数になるだろう。それこそ20や30では済まず、3桁にまで達する可能性もある。
対多数との戦闘という点に関してはなぜだかそれなりに身に覚えがあった。所狭しとひしめき合いながら細い通路めがけて襲い掛かってくるオーガたち、森から脇目も振らずに門めがけて向かってくるオークたち、広場全てを埋め尽くさんとする様々なアントたち、そして空も大地も関係なく襲い掛かるドラゴンたち。いずれもやばい状況ではあったが、それぞれがこちらが有利な状況で戦うことができていた。
オーガ戦では巨体や数を活かせない細い通路。
オーク戦では統率をとる者もおらず、見晴らしもよい中でまっすぐにこちらに向かってきたこと。
アント戦は1体1体のランクが低く、扉を背にしたことで後ろが完全に守られていたこと。
ドラゴン戦では俺たちだけでなく、高ランクの冒険者であるドリー姉妹とラムダさん、そして何より、途中からではあるものの、水龍様と火龍様という圧倒的な戦力があったこと
それぞれが戦う環境、行動、統率者の有無、味方の強大な戦力と理由は異なっていたが、それでもこちらが有利であるというところはかわらない。
しかし、第二段階のダンジョンでは、それが真逆になる。
『死の草原』で考えるなら、こちらは完全にアウェーなのに対して、モンスターにとってはホームグラウンド。見晴らしという点では草木が枯れているおかげでそう悪くはないが、どこに罠があるかまったくわからない状況で、モンスターたちがどこから仕掛けてくるのかはわからないし、どこに湧くのかもわからない。
オペラウルフもレッドレオもそもそもは群れで行動するモンスターだ。その数が多くなったから統率が取れないなどということはありえないし、話ではレッドレオともきちんと連携をとれていたとのことだ。どちらのモンスターも言うことを聞くほどの統率者足りえるレベルのモンスターがいる可能性は否定できない。2層3層と出現するビッグレオが出現せず、下位であるレッドレオとオペラウルフの群れだけというのは違和感がある。しかし、ビッグレオと比べたらランクは落ちるとはいえ、レッドレオもオペラウルフも弱いわけではない。群れとなればその脅威は増すし、数が多いのであればさらに脅威は増すだろう。
最後の、こちら側の戦力という点に関して言えば、水龍様や火龍様のような圧倒的な戦力がいるわけではないが、多少改善する方法ならばないわけではなかった。
1パーティで足りないのであれば他のパーティとともに戦えばよいのだ。だが、これにはいろいろと問題が多い。まず第一に、『死の草原』の4層に行けるパーティがそれほど多くないということだ。いまだに攻略者への報酬が残っている『貴の山』の先である『賤の山』と比べればかなり多いと言えないこともないが、せいぜい100人にも満たないくらいだろう。ビッグレオがあちこちにいる第2層を超えられる戦力となると、その数はさらに激減すると思われる。全パーティがあんな連戦をするとは思えないが、万が一みんなが遭遇したとすれば、すべてのパーティが超えられるとは思えない。まあ戦力的にだったり、方針だったりと違いはあるだろうが、1層で少し戦うだけのパーティも多いと聞く。実際に4層攻略作戦みたいなことをするとなっても参加できるパーティはほとんどないだろう。
そもそも、他のパーティといきなり連携が取れるとは思えないし、足を引っ張りあうことにもなりかねない。人のことを言える立場ではないが、能力や従魔を他のパーティに隠すやつも多いだろう。
「まあ何をするにしても相談してからかな」
ベッドに寝転がりながら独り言をつぶやき、俺はそのまま眠りについた。
---------------------------------------------------------
「なんだと? もう一度言ってみろ!」
ある屋敷の謁見室で、仰々しい椅子に腰かけたその男は、手に持っていたグラスを地面に叩きつけながら、報告にやってきた男に向けて怒鳴った。ガシャンと地面で割れるグラスと、男の放つ迫力に、周りに控える世話役の者たちがびくっと怯える中、スーツのような恰好で、へらへらと笑みを浮かべながら男は話す。
「だから、殺すことはできなかったと言ったのですよ。残念ながらね」
「残念ながら、じゃない! 貴様が、必ず殺せると言うから高い金を払ったんだ。それなのに失敗しただと? ふざけるな!」
「ふざけるな、とおっしゃられましてもね。こちらも同じ言葉をいいたいところなのですよ? 我々は普段かなりの時間をかけてターゲットを調べ、その周囲の人間も調べ上げます。ところが、今回はそちらが全部調べたからと料金の割引、期限の大幅な短縮、さらには後払いまで認めて。まあこんな取引に応じたくずは消しましたがね」
「言い訳など聞きたくない! この落とし前はどうするんだ! 私がお前たち闇ギルドに依頼して、ユウカ・コトブキを殺そうとしたなどとばれてみろ。私は間違いなくこの家から除名されてしまう!」
「それがどうしたというのですか? あんな戦力分析は適当、能力の把握もろくにできておらず、誰でも調べられるような情報だけしかないゴミみたいなもののせいで貴重な戦力が削られているんですよ?」
「そんなこと、だと!? 貴様のような下賤な輩に何がわかるというのだ! いいから貴様はさっさとあのくそ女を殺してこい!」
「はぁ。まったく、話にならないとはこのことですね。あなたとの取引はもう終わりですよ」
「くそ!」
椅子に座る男が手すりをバンと叩くと、それに合わせて報告の男の立っていた地面が消えた。そして男の目の前から姿が消えた。
「役立たずめ。依頼一つこなせないようなゴミのくせに。せいぜい地面のシミにでもなっていろ」
「いやー、私も相当なくずと思っていますが、あなたはそれ以上ですね」
「なぜだ!」
床が戻るのを見て、男が落ちたと思ったのもつかの間、気が付けば自分のすぐ左に男は立っていた。
「この程度で私を消そうなどと考えていたのなら私もなめられたものですね。いや、この男の頭が弱いだけかな?」
「い、いつの間に」
「はぁ、さようなら」
男は少しのためらいもなく、自分をはめようとした男の首を刎ねた。それを見た周りが慌てて逃げ出そうとするが、それらを陰から現れた体格、表情、格好とまったく同じ二人の男が殺していった。
「うーん、量産型だからか動きが緩いですね。やはりオリジナルを失ったのは痛い。遺体も回収できませんでしたし」
「---サマ、シュウリョウシマシタ」
「ご苦労。撤収しますよ、ヴァンハルト。これからあのジョーを筆頭に高ランク冒険者たちを迎え撃たなければなりませんから」
男たちは部屋に広がる死体をそのままに、その場から姿を消した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
先週は更新できずすいませんでした。仕事上、夜勤日は3時頃には家を出るのでさすがに間に合いませんでした…。
いろいろ書きたいことはありますが、前書きでも触れていたことをば。
俺が勇者じゃ救えない!? の3巻が12月1日に発売になります!
なろうでは書かれなかった天上院視点でのダンジョン攻略や、書籍オリジナルストーリーもあります!
また明日活動報告でイラストを追加公開します。
忘れていなければ…。
次は発売当日か前日かな?
ではまた次回




