表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/597

会議です

 俺たちはレンさんのひろげた紙を見た。

 そこにはこのあたりのかなり簡易的な地図が描いてあり、真ん中に町、周りに草原、そして森。紙の端には東西南北と書かれている。そして森の北と東と西の部分には×印が書いてある。


「これは私たちの部隊の調査報告をもとにしたものです。私自身は北の調査にいっていたのですが……」


 そこでレンさんは一呼吸おいて重々しく告げた。


「×が書いてある方角に200~300匹クラスのオークの群れがいます」


「「「―――――っ!!!」」」


 その言葉に全員が驚愕を示した。


「……それはたしかな情報なのか? お前らを疑うわけじゃねえがそれはシャレになんねえぞ」


 ヘレンさんが頭を押さえながら尋ねた。まあ頭の痛くなる話だよな。


「いや、でもキャタピラー500匹の群れもいたんだし……」


「数は問題じゃねえんだよ」


「ですね……もっと大きな問題がありますよ。これは」


「3つの方角に同時に現れたことですよね?」


「ああ。1か所だけなら全兵力でそこを叩けば終わる話だ。被害はバカにならないだろうがそれでも勝てる見込みはある。でも3か所同時なんか論外だ。1か所に集中させて順に潰すにしても町は終わる。かといって3か所に分散させたら全部同時に崩される。もしその方法でやるなら衛兵(俺ら)で2か所。ギルド(奴ら)で1か所ってところだな」


「ギルドに2か所じゃだめなんですか?」


 俺はそう聞いてみた。冒険者たちは言ってみれば対モンスターのプロたちだ。ランクが低いといっても3,4人がかりで1体を相手にすれば倒せるし、2人くらいでやれば足止めくらいにはなる……と思う。それに、溝を掘ってひたすら遠距離からという方法もとれる。冒険者ギルドなら魔法を使える人も多くいるだろう。なら2か所でも大丈夫なはずだ。


「トップがあれだぞ? あいつは情報つかんだら真っ先に逃げる。それは間違いねえ。そんなのに任せたら怯えて冒険者たちも片っ端から我先にと逃げるに決まってんだろ。冒険者からすれば別にこの町じゃなくても仕事はできる。冒険者ギルドがあるのはここだけじゃねえんだ。ここにとどまって死ぬかもしれない防衛戦に参加する必要なんかないんだよ。つまりはっきり言って冒険者ギルドはあてにならねえ」


「なら高ランクの人に依頼すればいいんじゃないですか? 強い人が何人かいれば、言い方はあれですけど、所詮オークなんだから殲滅できると思うんですけど……」


「それはこの町に高ランクの強い奴らが何人もいることで初めて成り立つことだ」


 言われて気づいたがこの町にマナと同じくらいか、それ以上のランクのやつらはあの3人とギルドマスターしかいない。でもヘレンさんいわく真っ先に逃げていくような人だから数えないとして


「……いませんね」


「ああ。この町の周辺にはダンジョンがない。わざわざ儲けの少ないこの町に長くとどまるような奴らは少ないんだ。それこそ町を出て、森を抜けて別の町に行く実力も持ち合わせていないような奴らか、ガルたちみたいにここがいやすいと感じてるやつだけだ。あいつらはここには強い奴なんかめったに来ないから好き勝手できるってんでここにいるんだよ。ギルマスも『赤の団』所属のあいつらによくしてればもしかしたら『赤の団』から何かあるかもしれないってことでそれを黙認どころか助長してる。領主もそうだからさらに調子に乗るんだよ」


「そういえば俺に負けて連れていかれたあとすぐにマナと口論してたんだっけ」


「そうだよ。二人の救援のために行くよって言ったのになにかと言い訳してね。まあいらなかったけど」


「連れていく最中に釈放命令が来てな。迷惑かけたな。まあ、とにかくその話は置いとくぞ。お前ら、何かいい案あるか?」


 ヘレンさんがそれぞれの部隊長に聞いていく。それでもなかなかアイデアは浮かばなかった。俺がさっき考えてた溝を掘るって案を出した人もいたけどヘレンさんに時間の問題で却下されていた。そういえばすぐそこの森まで来てるんだよな。


「こりゃ真面目に南から避難を考えたほうが……」


 俺の近くにいた一人がボソッとつぶやく。俺はそこに何か引っかかった。


「……ヘレンさん、北に戦力を全て集めるってできますか?」


「ん? 集めるのは可能だがそれだと他のとこから攻め込まれるから実質無理だな」


「東と西は俺とマナで食い止めます」


「無理だ」


 俺の言葉にヘレンさんは即答した。そして険しい顔になって若干怒ったように言う。


「キャタピラー500匹を同時に相手できたからってうぬぼれるなよ。キャタピラーとオークは全然違う。強さも、硬さも、スピードも、何もかもが違う」


「大丈夫です。俺のおぼえてる魔法は1対1よりも1対複数で効力を発揮するものが多いんです」


「それでも魔力がもたない。すぐに攻め切られる」


「俺は自動回復系のスキルがあります。撃ってからしばらくすれば魔力は完全に回復できる。それになにも殲滅することが目的じゃないんだから、足止めさえできればいい。オークとも戦ったことがありますし、俺はそれをできるスキルもある。衛兵のみなさんが北を殲滅し終えるまでの時間稼ぎくらいは大丈夫です。それでもだめですか?」


「……お前さんはいいとしてもそっちの嬢ちゃんはどうなる」


「私は土魔法のクエイクを使えるから足止めは大得意です」


 クエイクは地面を隆起させ、土の壁を創り出す呪文らしい。それなら戦わなくても時間は稼げる。


「クエイクってそこまで高いものはできねえだろ? もって数分ってとこになっちまう」


「今からすぐに作り始めるので。メイとヒツギもできれば手伝ってくれる?」


「私は魔法使えないから厳しいな」


「俺はその魔法を覚えられればなんとかなるけど……」


「よし。ってことで大丈夫です。私規格外(・・・)ですし♪」


 マナは笑ってみせる。そういやフレアはバカでかい火の玉になってたな。クエイクは見たことないけどどうなるんだろ。


「……一度どうなるか見してくれ。壁の状態を見て決める」


「わかりました! じゃあ今から東に行きましょう!」


「いいんですか隊長? もし失敗すれば」


「それはわかってるが、今は他に方法がねえ。それによっぽどじゃなきゃ許可は出せねえよ。あと、お前さんのほうも魔法見してもらって判断すっからな」


「了解」


 俺にも来た。まあ10連くらいでいいかな?

 そして俺たちはその場にいた人たちとともに東の門の外に向かった。




 門の外の草原に出た。

 時刻はおよそ飯時。来る途中にいいにおいのしている家が何軒もあった。そういや俺まだご飯食べてない……。


「さっそく見してくれ。よっぽどじゃなければ許可できないからな」


「わかってます。じゃあ離れててくださいね。ちょっと張り切るので」


 俺たちは言われた通りにマナから離れる。10mくらい離れたところでOKと声がかかった。


「じゃあいきまーす。『大地よ、その力をもって我を護り給え』クエイク!」


 マナはあえて詠唱しながら唱える。そして唱え終わると同時に地面に両手をつける。


ゴゴゴゴゴゴゴ


 マナのすぐ目の前に壁が出来上がった。

 横幅およそ150m、高さ5mそんな巨大な壁だ。

 あの巨大なフレアを見ていた俺でも驚きを隠せなかった。周りなんかみんな唖然としてる。


「少しやりすぎちゃったかな。隊長さんこれでいい?」


「……はっ、これってあといくつできる? そして戻せるのか?」


 ポカーンとしていたヘレンさんははっとしてマナに尋ねた。


「今だとあと10こくらいが限界ですね。回復するの待てばもっとできますよ。戻すのは簡単です。こうすれば」


 マナは壁に手をついて再び魔法を使った。


「アンチクエイク」


 壁は再び地面に帰っていく。そのときにちらっと見えたけど奥行き3mくらいだった。


「これでいいですか?」


「あ、ああ。では東は任せよう……」


 あ、びっくりしすぎていまいち冷静に判断できてないっぽい。


「つ、次はお前さんも魔法を見してくれ。これを見た後だ。よっぽどじゃなきゃ驚かん」


「じゃあよっぽどをお見せしますよ」


 とは言ったものの本当にできるかと言われたら微妙だ。たかだか10連くらいじゃ驚いてもらえない可能性もある。ここはもうちょっと増やして15連の300発でいこう。

 メイは知らないことだが、この世界において無詠唱魔法を使えるものはきわめて少数しかいない。さらに、魔法の同時使用なんかそうそういないようなレベルなのだ。ゆえに10連でも十分すぎではあった。

 俺は魔力をこめて両手を頭上に持ってくるとダークランスを発動していく。


「『暗き影よ、闇の力よ我が敵を葬らん』」


 俺は即興で考えた適当な呪文を唱えながら、発射タイミングを魔力でいじって同時になるようにしながら次々と同じ場所にダークランスの球体を生み出していく。

 12……13……14……15。そろそろだな


「ダークランス、発射!」


 上空に向けてダークランスを発射した。合計300本にもなる黒い槍が続々と夜空へ飛んでいく。そして最後の1本も出尽くしたところで球体は形を失う。

 その光景を唖然と見ていたヘレンさんたちが声を上げた。


「それで終わりか? たしかに多くの敵を相手にはできそうだが、広範囲に広がる敵には効果が薄そうだな。一直線の敵なら多大な効果を期待できそうだが……」


「いや、まだ終わりじゃないですよ。むしろこっから」


 俺は上空を見上げる。雲がなく、星々がきれいに輝いている。


「普通に星があるだけだぞ?」


 そう一人が呟いた時、星の輝きの中に小さな黒い点が現れ始めた。

 それはポツポツと数を増やし、次第に星の光を埋め尽くしていく。

 俺はヘレンさんたちのほうを向いて草原に背を向けた。


「これが俺の広範囲殲滅魔法、『黒槍の雨』」


 俺が両腕を広げて宣言すると同時に草原を槍が蹂躙した。

 そして300発全てが地面をえぐりきった後、しばらく衛兵さんたちは全員開いた口がふさがらなかった。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

 職業

『冒険者 Lv40

 格闘家 Lv40

 狙撃手 Lv32

 盗賊  Lv30

 剣士  Lv28

 武闘家 Lv23

 戦士  Lv23

 魔法使いLv28

 薬剤師 Lv30

 鬼人  Lv5

 ????の勇者Lv7

 狙撃主 Lv1

 獣人  Lv1 』


たぶん次かその次あたりにレベル更新するよー


久しぶりに見たらユニークアクセス10万超えてましたー

ありがとうございます!!


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ