ジョーさんたちとの話です1
館の前でお肉パーティをしていた俺と風龍様のところにジョーさんと金色の鎧をまとった男性がやってきた。俺はお肉の追加をやめ、今食べているお肉がなくなったやつから順に戻していった。風龍様の頭の上の黄龍と、俺の頭の上に戻ってきたヒメはそのままだが、風龍様も2人を見るのもそこそこに指の腹で黄龍の頭をなでて楽しんでいるしいいだろう。
「遅くなった。それで、その」
「やあやあ。ユウカさんの新しい使用人君かな? ユウカさんは館の中だろう?」
「いや、俺は」
「いいんだいいんだ! わかってる。僕みたいな有名人に話しかけられて驚いているんだろう?」
「おいゴールド」
「ユウカさんほどの方の使用人を務めていると言っても僕みたいな有名人と会う機会はあまりないだろうからね。緊張するのも無理はないよ」
俺が何かを言う暇もなく、目の前の男性は矢継ぎ早に言葉をつなぐ。俺は本人には気づかれない程度に呆れ顔を浮かべてジョーさんに視線を投げかけた。
「ゴールド、ちょっと落ち着け」
「なんだい、ジョー嫉妬かな?」
「こいつは使用人じゃない。あと、隣を見ろ」
「隣? あ」
「ほっほっほ。お久しぶりです」
「ふふふふふふふふふふふふふふ風龍様!?」
「もう少し周りにも目を向けてみたほうがよろしいと思いますよ?」
「ははははい! ききき気を付けます!」
「ええ。まずはジョーさんの話を聞くべきですね」
「ジジジ、ジョー! なんだ!?」
「まずは落ち着け。爺さんもやめてやってくれよ」
「風龍様と呼ばないか! 使用人君からも言ってやってくれ!」
「俺は使用人じゃないんだが」
「こいつは使用人じゃねえよ。ユウカの入ったパーティのリーダー、メイだ」
「そうなの?」
「ああ」
俺が肯定しても、まだ信じられないようで風龍様の方を向いた。風龍様も黄龍が落ちないようにゆっくりとうなずく。
「そ、そうか。それは失礼した。まあそれはそれとして、ユウカさんは中にいるのかな? 挨拶をしたいんだが」
「その前に、どちらですか?」
「え?」
「……『金の軍団』のSランク、セント・ゴールドだ。名前くらい聞いたことあるだろ?」
「『金の軍団』……あーそういえば。マナが以前にお世話になったみたいで。ありがとうございました」
「あ、ああ。いいんだ。誰だって物忘れの1つや2つあるからね。うん」
「ギルドにあいつらを連れて行ったらたまたまこいつがいてな。自分もついていくとうるさくて」
「うるさいとはなんだ! 聞けばユウカさんが襲われたというじゃないか。僕が近くにいれば……」
「ユウカが苦戦する相手だ。お前が近くにいたところで変わらねえよ」
「ジョー、君は酷いことを平然と言ってくるね? その言い方だとこの僕がそこの彼よりも弱いみたいじゃないか」
「お主どころかジョーよりも強いのじゃ」
「ぬわんだってぇ、ってユウカさん!」
「人様の家の前で何を大声で叫んでいるのじゃ。中で休んでおったわしらのところまで聞こえてきたぞ」
俺たちが話していると、館の方からユウカがやってきた。玄関の扉からトーテムポールのようにマナとヒツギも顔を出している。うるさいとは感じていたけど中まで聞こえていたか。
「いつまでも外というわけにはいかんじゃろ。メイよ、もうご褒美は終わったのか?」
「ああ。若干2体ほど残ってるけど」
「な、なんのことかわからないのだ!」
「かうかうー」
顔を背けてとぼける黄龍と短い後ろ足で俺の後頭部を蹴るヒメ。強く蹴っているわけじゃないからポムポムと当たるだけだが、後ろを通しているゴーグルのベルトに当たってからちょっと強くなった。感触が違って気持ち悪かったのかな。
「終わったのなら中に入らんか? じゃが、ゴールドも増えたんじゃよな……。不審者でないことはわしが保証する。連れてきたジョーも保証人じゃ。中に入れて構わんか?」
「ユウカさん、なんでこんなのに下手に出てるんですか?」
「なんでも何も、この館の持ち主はメイじゃ。『マツノキ』に入れてもらったわけじゃが、そもそもわしは居候させてもらってるにすぎんからの」
「僕ならユウカさんほどの方が泊まるとなったらぜひ来てくださいと言うレベルですよ?」
「そんな風にされる方が嫌じゃ。わしは今くらいのほうがいい」
「それでもお前をぞんざいに扱えるのは大物だよ。あー、メイ、ゴールドはこんな感じだがいいやつだ。あっちで見てるお前の女に手を出すようなやつじゃない」
「その言い方やめません?」
「メイの女で間違いないの。わしやキャラビー含めて」
「ユウカさん!? そんな、僕というものがいながら!」
「お主なんぞ魅力は感じぬのじゃ。諦めい」
「メイ! 僕と勝負だ!」
「そりゃおもしろそうだな。俺も混ぜろ。あのユウカを射止めた男がどんなものか見たい」
「そういうのは用事を済ませてからにしてください。メイさん、彼らを館に入れても?」
「ええ。ユウカとジョーさん2人が保証してるSランク冒険者ですからね。マナたちもいいって言ってくれるはずです」
「そう望みましょう」
俺たちは館の中に入った。
館に入ると、マナたちが準備をしてくれていた。急に1人増えたが、さっき扉から顔をのぞかせていたからわかったのだろう。
「これはきれいなお嬢さん。初めまして」
「ゴールド、アホなことをしに来たのならたたき出すぞ」
「挨拶じゃないか。きれいな女性がいるのに僕が何もしないなんてありえない」
「私たち全員メイのなのでやめてもらえます?」
「……神はいないのか」
「黙っておれ。迷惑をかけるようならわしが切り落とすぞ」
「何を!?」
「あーもう、進まねえじゃねえか! さっさと座れ!」
ゴールドさんとユウカのやり取りにじれたジョーさんがゴールドさんを強引に座らせ、話が始まった。
「まず、お前が襲われた状況を教えろ。『闇の爪』がこの町に何人か来てることはこっちでもつかんでる。それも幹部クラスのやつまで来てるってこともな」
「僕のところもそういう情報は上がってるね。幹部クラスが来てるっていうのは知らなかったけど」
「はじめはわしらが『死の草原』に入ったところからじゃ。じゃよな、メイ?」
「ああ。『死の草原』に入ってすぐ、オペラウルフが突っ込んできて、それを倒して周りを見たら『バーニングバード』の連中が倒れていたんだ」
「あれはびっくりしたよね。何人か回復が間に合ったから多少はよかったと思うけど」
「あのまま放っておいたら確実に全滅しておった。それは間違いないのじゃ」
「ジョーさん、彼らは」
「ギルドに置いてきた。手当て自体はすんでいたし、あとは目を覚ますのを待つだけだ。それも直だろうさ」
「よかった」
「話を戻すのじゃ。その『バーニングバード』を襲ったやつらが『闇の爪』の連中だったのじゃ」
「全員無事ってことは倒したんだろうが、おそらく幹部クラスのやつもいただろ?」
「うむ。襲ってきた連中は4人。名前のわかるやつは一人しかおらんかったが、他の奴も一歩間違えば死んでおったかもしれん。今回に限って言えば、みんながおらんかったらやられておったじゃろうな」
「そんなレベルの奴がいたのか? しかも無名のやつで」
ジョーさんの言葉にユウカとヒツギが詳しくあのエルフたちの情報を話していく。エルフを除けば、俺はヴァンハルトとしか戦ってないし、ユウカもドワーフとは戦っていないからわからないようだ。
「ヴァンハルトだと? あの野郎を倒したのか?」
名前も聞いたことのなかった3人の後、ヴァンハルトの話になったとたんにジョーさんが反応した。
「うむ。メイがの」
「かなりぎりぎりだったからな?」
「そうか……ありがとう。あいつに仲間をやられたやつが何人かうちにいるからな。喜ぶ」
「うちにも一人いるよ。彼に伝えなきゃね」
「お願いします」
「承った」
「そういえば、死体はどうした? まさかモンスターに食われたわけじゃないだろ?」
「もう一人仲間がおったのじゃ。そいつに殺されてしもうて、持ち帰れるような状態じゃなかったのじゃ。姿すら確認できなくての。そいつ自身も逃がしてしまったのじゃ」
「残念ですね。ヴァンハルトほどの賞金首の死体があればかなりの金額になりましたよ?」
「そんなことよりキャラビーが心配だったからな。仕方ない」
「ご主人様……」
「かー! いいねえ。そういうの俺は好きだぜ」
「どうも」
「ユウカ、話はそれくらいか?」
「お主に話せるようなことは、そうじゃの。これ以上はギルドマスタークラスに直接話をもっていかないといかん。それくらいやばい話じゃから」
「それを無理に聞いたりはしないですよ」
「それが賢明ですね。あまり深入りしてもろくなことにはなりません。年寄の経験からくる言葉です」
「爺さんの言葉は説得力があるからな。わかったかゴールド」
「なんで僕に言うかなぁ!?」
「さて、話も済んだことだし、やりにいくぞ」
「へ?」
「俺も倒せなかったヴァンハルトを倒した男。その強さ、体験してみたいじゃねえか」
そう言って笑うジョーさんは、獣のような笑みを浮かべていた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
2巻のツイッターキャンペーンに参加してくださった方ありがとうございました!
全員返信したはずですが、もし漏れてたらすいません…
新作ラノベ総選挙2018というのが開催されているそうです。
俺が勇者じゃ救えない!? もノミネートされてました!
いろんなものがあるんですねー(棒
ではまた次回




