表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
354/593

死の草原ですーsideキャラビーー2

今回もキャラビー視点です。ご注意ください。

また、あとがきで宣伝をしています。本文はいつも通りの長さですよー

 私たちの耐える戦いが始まりました。

 冒険者と先輩の標的は完全にゼルセに定まったようで、彼らは結界に向けて本格的に攻撃を開始しました。ゼルセの張っている結界はご主人様もよく使っている全方位結界です。物理的な攻撃は防ぐことができても、魔法攻撃は防ぐことができません。

 運よく冒険者の中に魔法使いはいないようですが、私のように魔導書を持っている可能性は否定できません。一度でも魔法は効くということに気づけば、例え本職ではなくても、使える魔法での攻撃に切り替えてくるでしょう。ご主人様ならば魔法が効かないのですが、ゼルセは普通にダメージを受けてしまいます。再生能力を持ってはいますが、どこまで耐えられるか……。


「よそ見してる暇はないよ!」


 少しゼルセの方に向けていた意識を目の前に集中させ直しました。

 大半をゼルセが引き受けてくれたから、私の相手は現状タカだけですが、この人はこの人で相当強いです。以前に、ユウカ様から槍のような長い武器を使う相手の対象法を教わっていますが、それを実行できそうにはありませんでした。


 一対一の近接格闘において、リーチの長い武器の一番の強みは相手の攻撃可能距離の外から攻撃できることだとユウカ様は言っていました。相手の攻撃の届かないところから一方的に攻撃できることは、相手からの反撃を避けるという動作が必要なく、その上で相手の身体中全体を見ることができます。

 ご主人様とユウカ様の朝の鍛練でお互いによく使う手として、近づいて見えにくいところから攻撃を出すというものがあります。剣に意識が向いていて、発生が見えにくいから避けにくいのだと言っていました。ですが、槍の距離をしっかりと保った状態であれば、例え意識を剣に向けても相手の全身が視界に入ります。目の前のタカはそれがうまく、私が距離を詰めようと思っても、そのタイミングを掴めず、無理に詰めようとしてもそれに合わせて下がられてしまい、距離を詰めることができません。

 ご主人様ならばワープでさらに距離をとって、そこから魔法でボコボコにするか、突き出してきた槍を掴んで引き寄せたりするのかもしれませんが、私にはとてもできません。かと言って、このまま辛うじてという状態でかわし続けるのも無理でしょう。


 龍骨の短剣で槍をいなしながら致命傷を避け続けていると、ゼルセの方で動きがあったみたいで、タカの方から距離をとってくれました。


「おいおい、あれはどういうことだ?」


 タカの視線の先では、ゼルセの戦いがようやく動き出したところでした。

 それまで、先輩と冒険者たちがどれだけ攻撃しても結界はびくともしなかったようですが、先輩が撃った魔法が結界を通り抜けるのに気が付いたようで、一度距離をとろうとしていました。しかし、距離をとったことでゼルセが動けるようになりました。

 先輩が離れて魔法を撃とうとしたことで後ろに下がった冒険者たちを土の壁が覆いつくしていました。ゼルセがクエイクを使ったのでしょう。


「魔法を使うモンスターというのは何度も倒してきたけど、あんな魔法使いらしくないオーガというのは初めてだな」


「ゼルセをなめない方がいいですよ? ああ見えて器用ですから」


「だろうね。魔法を使える時点でわかるよ。でも、まあ所詮はモンスターでしょ。先輩ならなんとかしてくれるんじゃないかな」


 タカはそう言いますが、ゼルセの器用さはご主人様の従魔たちの中でも1,2を争います。純粋な強さという点で言えば、他が異常すぎるということもあってゼルセは下から3番目になってしまいますが、技の多彩さや器用さという点で言えばヒメに次いで2番目になるでしょう。カルアや黄龍、そしてコルクのように特化型のモンスターと違い、ゼルセは若干パワーに偏ってはいますが、ヒメのように全部をこなすことができます。体の大きさの違いもあって、手数だけで言えばヒメを超えるかもしれません。


「先輩! あいつらだけじゃ抜け出せないっすよー」


「わかっている。しかし、ただのクエイクというわけではなさそうだ。上まで塞がれているみたいだしな」


 先輩は構えていたファイアをやけ気味にゼルセへ撃ち、回りこむように冒険者を囲った壁までいくと、何か一声かけて槍を水平に構えました。


「全身全霊、『回転切り』モドキ!」


 構えた槍に魔力を込めて、土の壁を切り裂きました。そして、ついでとばかりに槍を返して突きを放つと、壁がずれて崩れていきました。中から冒険者たちが出てきます。


「すいやせん」


「俺の魔法を察して下がったところまではよかったが、油断したな」


「返す言葉もありやせん」


 壁から出てきた冒険者たちに先輩が親しげに声をかけています。これはどういうことでしょうか?


「もしかして、彼らもあなたたちの仲間ですか?」


「仲間、というか傘下だがな。というより、気づいてなかったわけ? あんな都合いいタイミングで冒険者がやってくるわけないじゃない」


「……あの動揺は演技だったわけですね。私に絶望を感じさせるために」


「まあそういうことだよね。逃がしたくなかったから初めは逃げ道を塞がせるだけだったんだけど、頭数が多いにこしたことはないから」


 そう話している間に冒険者たちは完全に壁から出てきました。先輩の周囲にくっつきすぎないように間をとって位置取っています。クエイクを警戒しているようですね。


「うーん、それにしてもあのオーガ、あそこから動かないね。『バーニングバード』なんて放っておけばいいのに」


「……」


 ゼルセが身を挺して『バーニングバード』をかばい続けるのは、私が原因でしょう。ご主人様たちが来るまで耐える。そう言った私の言葉を忠実に守っているんだと思います。


「動かない相手って言うのはただの的でしかないよね。まあ魔法が得意な奴がいないからちょっと厳しいけど、君を殺すまではあいつらに頑張ってもらおうか、な!」


 ゼルセたちの方を見ながら話していたタカが、向こうの戦闘が再開したのをみて再び槍を構えて突っ込んできました。そもそも自力で負けている以上、警戒は一切解いていなかった私は、その突進を素早く横に跳んでかわし、急停止して横薙ぎに払われる槍を上に流してかわします。

 頭のすぐ上を通り抜ける槍を視界に収めながら一歩前に踏み込みます。足を狙って短剣を振りぬきましたが、当たる前に下がられてしまいました。やはりリーチの差が激しいですね。


「危ない危ない。ちょっと急いじゃったかな。俺は別に急がなくてもよさそうなのに」


 私の攻撃をあっさりとかわしたタカは、構えを解いて戦いが再開したゼルセの方を見ました。

 ゼルセは結界はまだ貼っていましたが、飛んでくる魔法はあっさりと結界をすり抜けてしまい、体で『バーニングバード』の4人をかばっていました。攻撃の中に矢が混じっているせいで結界を解けず、壁を作ったことで私が見えなくなることがないようにクエイクも使えないのだと思います。本職と呼べる魔法使いがいないことであまり大きなダメージにはなっていないようですが、ニードルらしき魔法のとげが1本足に刺さっていました。ずっとは耐えられないでしょう。


「おいどこのバカだ! こんな町の目の前でドンパチやってるやつは!」


「何やら事情があるようですよ? 風が教えてくれます」


 ゼルセのピンチを見て、一か八かダメージ覚悟で攻めようかと考えていると、若い男とそのお付きと思われる老齢の男性がやってきました。



どうもコクトーです。


先週は資格試験当日で書くことができずすいませんでした。

その甲斐もあってか、午前と午後で試験があり、自己採点ではでそれぞれ8割と7割超えていました。

たぶん受かったかな?


かなり遅くなってしまいましたが、俺が勇者じゃ救えない!?2巻の情報が解禁されました!


詳しくは今日の活動報告で書いているので細かく書くのは省きますが、

5月1日

約10日後に発売になります! これは忘れないね!

気になる表紙はこちらです!

挿絵(By みてみん)

今回も北熊様のイラストは最高です!

メイとヒメ、じゃなくてヒツギが表紙絵を飾っています!

活動報告の方ではもう2枚ほどイラストを公開しています。ぜひ見てみてください!


今回は店舗特典SSではなく、twitterキャンペーンでSSを読めます!

ただ、細かい情報はまだですので解禁をお待ちください。

しれっとやってる自分のtwitterか、活動報告で公開すると思います。

発売までにもう1、2話くらいは書くつもりですのでそちらになるかも。あくまで予定、予定は未定です。


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ