パーティ登録です2
途中から視点が変わります。
ご注意ください。
奥の部屋へと案内された俺たちはさっきの職員の上司がやってくるのを席について待っていた。
案内されてから10分後、1枚の書類を持ってソディアさんがやってきた。
「お待たせして申し訳ない。うちの職員が迷惑をかけたみたいで……。手続きは問題なく進めさせてもらうよ」
「部下のしりぬぐいも大変じゃのう」
「ははは。まあ苦労した分色々とありますから。パーティの加入登録ですよね? こちらの書類にリーダーのメイさんとユウカ様のサインを」
ソディアさんが差し出した書類を見たが、俺たちに関係するようなルールはないようだったのですぐに名前を書いてユウカに渡した。
冒険者ギルドで既に登録してあるパーティに新たな冒険者が加入する場合、加入する冒険者にはいくつかのルールが設けられるそうだ。その中でも一番重要だと思うのは脱退するときの規定だろう。パーティが壊滅したなどの事情ならば適用されないが、そうした事情がなければ脱退はできても違うパーティに加入できない期間が生まれるそうだ。その昔に1つの町が滅びかけた経緯から生まれた規則なのだそうだが、正直何が起これば町が滅ぶんだよという感想しかないな。
今回この規則が適用されるのはユウカだけだが、本人曰く、俺たちがやめろと言わない限りは『マツノキ』で俺たちと一緒に冒険をしたいとのことだし、そもそもユウカはずっとパーティに入らずに活動し、Sランクまで上り詰めた女だ。他のとこに行きたいとは思わないかもしれないな。
書類にサインを終えたら手続きはおしまいだったようで、さっきはあれだけもめたのに5分とかからずに終わってしまった。
書類を確認して椅子から立ち上がったソディアさんは、何かを思い出したようにもう一度座り直し、俺たちに訪ねた。
「たぶんだけど、今ギルドの表は大変な騒ぎになってると思うんだけど、裏口から帰ります?」
「さっきの彼女がかなり大声で話しちゃいましたからね。ユウカが一緒に来てるだけでちょっとざわついてたのに、火に油を注ぐようなものだったよね」
「ほんとに申し訳ない……。一個人の情報をばらしてしまうのは禁止してあるんだけど、急なことでパニックになってしまったみたいなんですよね。しばらく減給は当然として、もう一回研修を受けなおしてもらうことにするよ。他に望むのであれば彼女と私が罰を受けるけど、何か要望はありますか?」
「わしは別にないのじゃ。わしよりもメイたちの方が迷惑を被ることになっておるからのう。4人で決めてほしいのじゃ」
「私は問題ないよー」
「私もかな」
「ご主人様は?」
「罰はいいんだが、一つお願いが」
「できることならいいけど……」
「何か問題が起きそうな気がするのでギルドの訓練所を貸してください。何か言ってくる奴がいそうですし、いたら全員まとめて潰します。ユウカから手足の骨折までなら問題ないって聞いてますし」
「うーん……問題がないってことはないけど、いざこざを起こして骨折で済むならいい……と思わないといけないのかな。全身骨折とか、致命的な後遺症が残ったりだとか命に関わるような怪我をさせるとなるとギルドとしても見過ごせないよ?」
「ユウカがパーティに加入することは既に決定事項だし、そのことで腕や足を折られてなお向かってくる人がいますかね?」
「『夕騎士』みたいに神格化してしまいそうなくらい崇めているところもあるからね。ユウカ様の方が詳しいかも?」
「元教え子で、騎士の座を捨ててまで冒険者になっておる連中で危なそうなやつはおるが、この町に来とるやつがおるとは聞いておらんから大丈夫じゃないかのう」
「そっか。なら表から普通に帰るぞ。誰かが喧嘩を吹っかけてきたら、そこで向かってくるやつ全員を訓練場で倒す。ソディアさん、倒したやつらの後始末は頼んでいいですか?」
「いいよ。説得はするけど、完全に止めることはできないかも。何かあった時に脅す材料にはしとくから」
「脅す……まあお願いしますね」
ソディアさんは訓練場に空きを確保しに行き、俺たちは入口の方に戻っていった。
「貴様がメイか。悪いことは言わん。ユウカ様を解放しろ」
「……」
俺たちが通路から出て、即声をかけられた。相手は巨人族なのか周りの人々の倍以上、4mほどの大きさの男だった。オーガを思わせる筋骨隆々な肉体を惜しみなくさらしており、両手にはごついメリケンサックが付いている。
「聞こえなかったのか?」
「いや、聞こえてる。解放しろってのは?」
「ユウカ様は貴様らのようなパーティに収まるようなお方じゃない」
「それを決めるのはユウカだ。お前じゃない」
「貴様……穏便に済まそうと思ったが、痛い目を見ないとわからないのか?」
「そういうやつがいると思って訓練場は確保してもらってる。そこでやるぞ」
「ふん。たかがBランクの冒険者が俺とやるつもりか?」
「お前だけじゃないといいな」
俺は目の前の男から視線を周囲に向けて、大きく息を吸った。
「俺はユウカが加入することになったパーティのリーダーだ! 文句があるやつは全員今から訓練場に来い! まとめて相手してやる! ただし、骨折くらいは覚悟しとけ。あと、他の仲間に手を出そうとした奴は……」
俺は『威圧』を全開にした。
「命を落とす覚悟を決めろ。俺は殺すことを躊躇うつもりはない」
『威圧』を受けた何人かは倒れてしまっているのが目に入るが、気にせずに周りを見る。あ、さっきの受付嬢さんが顔を真っ青にしながらめっちゃ頭下げてる……。ガンバレ。
「来る奴は準備してついてこい。10分待つ」
俺はそう言い残してギルドの訓練場に向かった。
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ギルドにやってきた俺たちはなんだか妙な事態に出くわした。
「おー、なんか面白そうなことになってるじゃん」
「それな。双剛拳にジャンパーに断ち切り。有名人がごろごろ向かってる」
「俺らも行こうぜ」
「やめといた方がいいぞ」
「んあ?」
俺たちが訓練場に行こうかと話していると、不意に止められた。
「んー、どちらさん?」
「『紅狼』のリーダーをやってるスザだ。ただのおせっかい焼きだと思ってくれていいよ」
「『チュウヤ』のユウだ。こっちがケンゴとハタ。それでどゆこと?」
「『マツノキ』の連中を知ってるやつなら手を出す奴はいねーだろうってこと」
スザが話し始めると近くにいた連中も耳を傾けて出した。
「そんな有名なやつなわけ? うちらハウセアで活動してるから知らないんだけど」
「ハウセアって……欲望の町か! よくこっちに来ようと思えたな」
「金稼ぎだよ」
「なるほどな。で『マツノキ』だが、一部では有名なパーティなんだよ」
「一部って、ギルド単位とか?」
「いや、攻略の進み具合だ。うちも含め、第二段階に挑んでいるやつらならほとんど知ってるパーティなんだよ」
「そうなん?」
「本人には自覚ねーだろうがな。周りの女3人はともかく、リーダーのメイってやつはすこぶる有名だ」
「第二段階の最前線なわけ?」
「あいつら自身はまだ挑んでないって聞いてるが、それも時間の問題だと思う。まあ細かい事情はしらねえが」
「なのに第二段階に行ってるやつに有名ってなんなの?」
「あいつ1人で『生の草原』50層のボスを連戦しやがるんだよ」
「「「はぁ!?」」」
「実際に俺も見たからな。従魔ありで2回、そして1人で1回。まだまだ余裕がありそうだったぜ」
「ボスって1回挑むだけでも命がけって聞いてんだけど」
「つか『チュウヤ』じゃそもそもそこまでいけねーよ」
「もう行ったやつらで第二段階に行ってる奴は見てねーけど、1人でボスを余裕をもって狩れるようなやつが率いるパーティだ。ユウカ様が入ろうと思うのも無理ねーよ」
「うへぇ」
「マジか」
「マジだよ。そういうことだから、少なくとも1人でボスを狩れるって自信のあるやつ以外は怪我をするだけだからやめときな……って、もう行っちまってるから遅いんだろうな」
「「「あ」」」
すでに主だった連中は皆行ってしまったらしく、一時的に静かになったギルドにスザの話はよく聞こえていたようだ。これ以上訓練場に行こうとするやつらはおらず、残ったやつらには、ただただ行ってしまったやつらにご愁傷さまと祈りをささげるくらいしかできなかった。
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どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv15/?? ローグ Lv42/70
重戦士 Lv45/70 剣闘士 Lv41/60
神官 Lv35/50 龍人 Lv5/20
精霊使いLv12/40 舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv5/40 上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv5/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
また、ですね、ハイ。すいません。
前回も書きましたが、論文が終わるまではこんな感じに遅れます。わかってください!
後半の視点に出てきた『チュウヤ』はただの冒険者です。きっともう二度と出ないんだろうなぁ…
彼らの出番は反響次第! とか言ってみるけどマジで考えてないだけです。メソラシ
ではまた次回




