明の森ボス後です3
ボスエリアに入ると、すぐにボスが出現した。『鑑定』によると今度は真レオウルフキングらしい。取り巻きはレオウルフが7体、トライホーンウルフが5体、ホーンウルフが見る限りだと20体くらいいるかな?
「やったな、ゼルセ。いっぱいいるぞ」
「ゲヒッ。ガッガッガ」
ゼルセは獰猛な笑みを浮かべて即座にウルフの群れに突っ込んで行った。口元からよだれが垂れているあたり、俺がボスを抑え込むまで我慢できなかったんだろう。
取り巻きのウルフたちは、その数を活かして突出したゼルセを取り囲むように動き始めた。ボスが正面に構え、4体のウルフが俺を牽制しながら包囲に動き、ゼルセを先に落とすつもりだろうけど、付き合う気はない。
「よっと、『クエイク』」
連続で『小規模ワープ』を使ってボスのところまで行き、四方を囲むように展開した土の壁に閉じ込める。『クエイク』の特性の関係で上は空いてしまっているが、そこには『ダークシールド』を使って蓋をした。上も封じられた真レオウルフキングは、跳ぼうとしていたのを諦め、がりがりと土壁を削りだした。壁はかなり分厚く作ったがしょせんは土壁。壊されるのは時間の問題かもしれないな。
「まあただ見ているだけなわけはないけど」
一点に効果を集中させた『威嚇』と『ヘイト』で強制的にこちらに意識を向かせながら、『ダークチェーン』でその動きを制限する。これで仕留めるつもりはないから前後の足をくくって地面に押さえつけるだけにした。真レオウルフキングは当然暴れるが、土壁に届いたりしないように地面に押さえつけているから壊れる心配はない。
俺は『ダークシールド』で抑えるのをやめて土壁の上に跳んだ。真レオウルフキングを助けるべく襲ってくる取り巻きに対処するためだ。
だが、それは必要なかった。俺がボスを押さえるのにかかった30秒ほどの時間で、既に取り巻きの大半はゼルセによって倒されていた。残っているのはウルフが4体とレオウルフが1体だ。ゼルセの手にはいつもの大剣はないが、その代わりに何本かの角が握られていた。トライホーンウルフのものだろうが、倒したレオウルフを近くに置いておくために地面に刺すために使っているらしい。全滅させた後にすぐに食べるためだろう。
「ガルゥゥウウアア!」
土壁の外に真レオウルフキングの影分身が出た。土壁の影を伝って外に出したのかな?
「うるさいな。『ダークランス』」
出てきた影に槍を撃ちこんで即座に消滅させる。真でも普通のでもこの影分身は一回しか使わない。他の魔法は使ってくるみたいだけど、今のところ使ったところはみていない。もしかしたらレッドベアみたいに体表に熱を持たせる魔法は使っているのかもしれないが、直接触らなければ影響はないだろう。
それから1分も経たずに取り巻きは全滅した。ボスを倒していないから取り巻きは消えず、さっそくゼルセは最後に倒したレオウルフの胴の部分に噛みついていた。完全に満足するまで待つことはさすがにできないが、4,5体食べるまでは待ってやろう。
「ガァァア!」
真レオウルフキングが吠えるのがうるさいから早くしてほしいという思いはあるけど、ゼルセはそんなこと気にせずに両手に1匹ずつ持って交互にかぶりつく。実に幸せそうだ。
その後、4,5体で終わらせるつもりが気づけばレオウルフは7体ともゼルセの腹の中に消えていった。俺は『ダークシールド』を解除して『ダークランス』を真レオウルフキングに放つ。50本の槍がまんべんなく全身を貫き、真レオウルフキングは光の粒子となって消えた。それに合わせて残っていた取り巻きたちも消えていく。完全に消え去ると、俺の立っていた土壁も下がり、目の前に宝箱が現れた。
「ガァ」
「お疲れさん。今日はこれでおしまいな」
「グラァウ」
ゼルセも好きに暴れて多少は満足したのか、俺の言葉にうなずいて自分で戻っていった。
「さて、『鑑定』」
『レオウルフの上肉:レオウルフの体の中でも上等な肉』
これはいいものかな。後でコルクにあげよう。
レオウルフの上肉をアイテムボックスにいれ、再び50層の入口の転移陣に戻って来た。今回もすでにユウカが挑み始めており、順番待ちをしているパーティはこぞってその戦いに見入っていた。
ユウカは今回もボスをすぐには倒さずに取り巻きを片付けていた。その立ち回りは見事としか言いようがない。ボスからの攻撃をうまく避けながらも、決して背後を取らせることはない。常に全体の位置を把握し、時にわざと攻撃のチャンスをつぶしてでも包囲を避けるように動き続けていた。俺たちが『明の森』に挑んでいた間もずっと挑んでいたはずだから、他の人たちよりもよっぽど疲れているはずなんだが、まるでそれを感じさせないような動きだ。
結局、10分ほどかけて取り巻きとボスの影分身をつぶし、ボスも先に4本の足を順に切り付けて機動力を奪い、魔法を使ってきた隙をついて首を切り落とした。遠めに見てもわかるくらいきれいな断面だ。
宝箱の中身を回収してもう一回入口に戻って来たユウカに待っていた冒険者たちから拍手が巻き起こった。ユウカは照れ臭そうにしながら、順番待ちをしていた俺のところにやってきた。
「すごかったな。お手本のような戦い方だったよ」
「手本になったのであればよかったのじゃ。そういう風に戦っておったからの」
「位置取りの重要さを示すってことか?」
「そうじゃな。自身を不利な状況におかず、逆に有利になるように気を配る。そういうことじゃ」
俺との会話が終わると、すぐにユウカは他の冒険者たちに囲まれて質問攻めが始まった。
ユウカが質問攻めにあっている中で次に挑む予定だったパーティが皆質問に行ってしまったこともあり、そうしたパーティの人たちに確認して俺は先に挑むことになった。だれも挑んでいないし、許可もとったからまあいいだろう。
俺はボスエリアに足を踏み入れた。
今度もボスは真レオウルフキングで、取り巻きは先ほどよりもウルフが少なく、その分レッドベアが4体、そしてエルダードンキーがいた。なんか懐かしいな。
「10連『ダークランス』」
目の前に10個の黒い球体が生まれる。初めてここに挑んだ時はコルクと同時に魔法を使って、それでも下位種のウルフたちしか倒せず、他の上位種たちはダメージを与えることはできても倒すことはできなかった。あの頃からはかなり成長しているはずだ。
『ダークランス』の球体から槍が発射された。それは相殺しようと放ってきた魔法ごとこちらに向かってくるモンスターたちを貫きボスに迫る。
「ガルゥゥウウアア!」
ボスも影分身を出して防ごうとする。盾にするつもりなのだろう。
「グルゥァア?」
しかし、影分身は盾としての役目を果たせず、その身を貫いた槍がそのまま真レオウルフキングを貫いた。影で勢いが若干死んだために完全に仕留めるには至らないようだが、真レオウルフキングは右の前足からドクドクと血を流しており、意図せず機動力を奪えたようだ。
「『ロックオン』『黒槍の雨』」
取り巻きは全滅していたので、狙いを定めて真レオウルフキングに『黒槍の雨』を放つ。足を怪我してうまく動けない真レオウルフキングに次々と黒い槍が付き刺さり、土煙が沸き上がる。まだボスの姿は煙に隠れて見えないが、辺りの取り巻きたちが消え始めたからちゃんと仕留めたのだろう。
『職業:神官がLv35になりました。
精霊使いがLv12になりました。
魔導士がLv5になりました』
『スキル:ヒール1 魔力操作Lv1を習得しました。
スキル:ヒール1が消失しました』
『スキル:クエイクLv3を習得しました』
レベルが少しだけ上がった。なんとなくだけどこの3戦合計でのレベルアップじゃないかな? あまりに少ない気もするけど。しかし、思い返してみればこの3連戦でほとんど魔法しか使っていない。一応蹴りは使ったけど、カウントされていないみたいだ。そして相変わらず『ヒール』は消失し続けている。もうちょっと頑張ってくれないもんかね?
俺は土煙が晴れた後、真レオウルフキングがいた場所に出た宝箱の中身を回収してダンジョンコアのある部屋に向かった。ちなみに今回の宝箱の中身はレオウルフの肉。晩御飯のおかずにでもするかな。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv15/?? ローグ Lv42/70
重戦士 Lv45/70 剣闘士 Lv41/60
神官 Lv35/50 龍人 Lv5/20
精霊使いLv12/40 舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv5/40 上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv5/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
前回の表記はやっぱり不評でしたので2話前の形式にします。元の奴よりはみやすいですよね?
えー、なんか最近遅れることが当たり前みたいになってます。ほんとすいません。
色々あって小説を書く時間を作るのが難しくて…いや、言い訳ですよね…はぁ。
今後も遅れてしまうと思いますがどうか、どうかご了承を!
ではまた次回




