明の森ボスです1
フラム草の栽培をアンナに任せた日から三日が経ち、少し48層で手間取ったこともあり、いつもダンジョンから出る時間よりは遅めだったが、俺たちは無事明の森の50層に到着した。
40層から出現したウッドマンはトレントたちと違って明らかに木とは違うため、マナを頼るしかないそれまでと比べて非常にわかりやすかった。その分戦闘能力という点ではウッドマンの方が優れているという話だったが、そんな感じはしなかった。トレントと違って根っこを使った攻撃なんかしてこないし、木でできたゴーレムと言ったほうがいいんじゃないかと思ったくらいだ。
一方で、45層から50層までに出現するパラトレントには若干困らされた。ポイズントレントと違って根っこでの遠距離攻撃を持っていたのだ。最初はそれがわからず、俺たちのかなり手前で根っこを露出させたのを見てミスかと思ったくらいだ。しかし、根っこの先から土を飛ばしてきて、棺桶が間に合わずにそれをみぃちゃんがくらってしまって麻痺回復丸を使う羽目になってしまった。麻痺回復丸を食べた時のみぃちゃんの苦そうな表情が記憶に残る。後でお肉を多めにあげよう。
次の日、俺は一人で以前俺とコルクが作り出してしまった広場にやってきていた。
50層に到達したということで、ボスに挑むのはまた明日。今日は休みということに決まり、みぃちゃん越しにアンナに伝わった結果、今日は子蟻たちを紹介してくれることになったのだ。
「アンナ! いるか!」
広場についた俺はとりあえずアンナをよんだ。最近アンナは他の従魔たちと違って、昼だろうと夜だろうと召喚したままになっていた。今も召喚したままになっており、召喚を解除して再召喚することはできるが、別に急いでいるわけでもないしこのまま待つことにしよう。
『お待たせいたしました。本日は時間をいただきありがとうございます』
俺が広場に来てから5分と待たずにアンナはやってきた。背後には2体のアント。大きさはアンナの半分くらいの大きさだが、アンナよりも若干色が薄く、濃い黒のアンナといるせいで余計に際立つグレーだ。
「そいつらがお前の配下の子蟻たちか? 種族は……モデルクイーンアント?」
『鑑定』してみると、そいつらはアンナとはまた違う種類のクイーンアントたちだった。
『はい。全員を連れてくることはできませんので、厳選したこの2匹を連れてまいりました』
「厳選したってことは他にも種類はいるのか?」
『はい。あのダンジョンにいたころの名残か、自分とは違う種類のアントを生むことができるような能力を得まして、一番初めに生んだ子たちです』
「へえ。モデルクイーンアントってのは『アントホーム』にいた種族なのか? 少なくとも俺たちは戦った記憶がないんだが」
『かのダンジョンにはいない種、というよりはこの世界にこの子達しかいない種です。そもそも、私の種の元であるアンセスターアントは文字通り先祖のアント。つまり過去の存在なのです。そのため、いくらアンセスタークイーンアントの私でも気が付けばその種を増やすことができなくなっておりました』
「それは……つらいよな」
『それほどでもありません。主様もいますし、ヒメ様やたち眷属の仲間がたくさんいますから。それに、この子達もいます』
「「キィ」」
アンナの言葉にこたえるように二匹も鳴いた。言葉は……しゃべれないらしいな。
『それに、自分と同じ種を生めないというのはこの子達も同じなのです』
「どういうことだ?」
『モデルアントという種はそもそも存在しません』
「そうなのか?」
『はい。私が知らないだけという可能性もありますが、これでも数百年以上生きておりましたし、大体の種は知っているつもりです。それで見たことも聞いたこともない種となると、新種ではないかと』
「なるほど。でも、それと自分の種を生めないってのはどう関係があるんだ?」
『この子達は私と同様、様々な種を生むことができるのです。今の私は魔力を消費して自分が過去に配下とした種ならばどんなアントでも生むことができます。ですが、この子達は自分たちが実際に倒したことのある種しか生むことはできませんが、逆に言えば一度でも倒せば生むことができるのです。今は20種類ほどを生めるようになりました』
「すごいな。アンナが生んで、それと戦って勝ったってことだろ?」
『はい。手加減なしの戦闘で勝利していますので戦闘能力はそれなりにあります。ですが、それでも我々とは雲泥の差がありますので、あるとは思いませんが反乱を起こした場合でも即座に鎮圧できますのでご安心を』
「その辺は信頼してるよ」
『ありがとうございます』
「20種類くらい生めるって話だけど、数って把握してるのか?」
『はい。私が生んだのは今この2匹のほかには28種類が1匹ずつで、この子達が生んだ個体は全部で140匹。合わせて170匹がこの森におります』
「……かなりいっぱいいるんだな。なんかその……大変なことを頼んでてすまん」
『そのお言葉だけで結構です』
「そう言ってくれるとありがたいよ。また増えたらその時は教えてくれよ」
『はい。フラム草の栽培に適した種族を調べている最中ですので、判明したら増やす予定です。その時には他の野菜なども栽培を検討しています』
「そうなると種がいるな。いろいろと買っておくわ」
『普段使われるような野菜の分は既に用意できていますので、珍しいものを見つけましたらお願いします』
アンナが優秀すぎて言葉がでない。なんかこう、お願いしたら既に終わってるってすげえわ。
その後、久しぶりにアンナも暴れたいということと、子蟻たちに戦闘を見せたいということだったのでアンナと数戦してから俺は館に戻った。明日のボス戦後の暴れタイムはなしでいいとのことだ。お肉大好きな戦闘狂とは大違いだな。あいつなら毎日暴れても足りないと言うに違いない。『明の森』の混み具合にもよるけど、2回くらいで終われるかな?
次の日、朝から館で『明の森』50層のボスについての情報の再確認をした俺たちは、10時ごろになって『明の森』に向かった。
『明の森』の50層のボスはエルダートレントだ。25層にもボスとして出てきたが、その時とは状況が異なる。『明の森』は転移陣のある広場を囲むように結界が張られており、その結界の内側にパーティがいるときは次のパーティは入ることができないところは変わらないが、50層ではわざわざ広場までの一本道を用意してくれたりはしていない。49層までと変わらない光景が広がっているのだ。ボスであるエルダートレントはパーティが入った時点でランダムな場所に出現し、同じように木に擬態して挑戦者を待ち受ける。当然のように他のトレントたちも現れるから、そちらも警戒しなければいけないし、ボスとの戦闘中に周りのトレントが介入してくることは簡単に想像できる。
しかし、エルダートレントを探すのは実はそう難しいことではない。木の上に登って1本だけ大きな木を探せばいい。エルダートレントは他のトレントとサイズがかなり違うため、擬態しても案外あっさりと見つけられるのだ。『暗の森』で出るというエルダートレントはフロア全体を射程範囲としているらしいが、50層のエルダートレントの射程はせいぜい20m。それくらいの距離になればこちらも発見できているだろうし、問題ないだろう。
そして、『明の森』50層に転移してきた俺たちは、予想外の光景に出くわした。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
またも遅れてすいません。
感想でご指摘がありましたが、この職業レベルの表記は自分(筆者)が新しい話を書く時に前の話とすり合わせをするために利用しております。ないとただでさえ多いミスが増える可能性もあります。
なので、今のままいかせていただきます。
ではまた次回




