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戻ってきました

「……鳴」


「真那!?」


 俺の探し人、高坂真那がそこにいた。

 え? いや、なんで? なんで真那がいんの? あれか、ここ実は王都のすぐそばなの? 大袈裟に伝えたから王都から真那が召喚されちゃったの?

 思考がまとまらず頭の中がぐるぐるとまわっていて状況判断ができない。あーなんて声かければ


「鳴!」


 そんなことを考えていると真那が飛びついてきて押し倒された。倒れた状態でも腰をがっちりとホールドしていて動く気配はない。腰に伝わる濡れた感覚から察するに真那は泣いているのだろう。俺はそっと頭の上に手をおいて言った。


「悪かったな真那、心配かけて。でも、俺は生きてここにいるよ」


「鳴~。ほんとに心配したんだからね! 私もあのあと数日後には王都から出て旅をして、冒険者になったりして大変だったんだから!」


「大変という点で言えば俺の方がやべぇよ。ダンジョン2つ攻略してんだぞこっちは」


 言うまでもなくオーガのいたダンジョンとパイフーってダンジョンだ。


「……」


 真那が急に横を向いたと思ったら、その視線は何かをロックオンしていた。


「……そのダンジョンを攻略して、ついでに女性も攻略したわけだ。私が、必死に、鳴を、さがしてるときに」


「いやまて、あいつは姉さんだよ。柩姉さん」


「ひつ姉そっくりだねー。鳴はひつ姉そっくりな人に姉を演じさせて喜ぶ姉萌えだったんだねー。私知らなかったなー」


「いや、本人なんだってば。ヒツギからも言ってくれよ」


「おもしろいことになったね♪」


「『なったね♪』じゃねえよ。真那から溢れる魔力が怖いんだけど」


「そろそろ助けてあげよう。真那ちゃん、久しぶり。容姿を覚えていてくれたことは嬉しいな。でも、そうやってこっそり自分だけメイを堪能するのは見過ごせないかな」


「……本当にひつ姉なの?」


「うん。刈谷柩本人だよ。この世界には900年前に呼ばれたんだけどね」


「証拠は?」


「うーん、そうだなあ……あれは私がまだ中学生の頃でした。とある女の子は毎日のように幼馴染みの男の子のとその姉と一緒に遊んでいました。そんなある日、女の子は男の子の家に遊びにいったときに彼が台所にお茶をとりに行っている隙に、彼の部屋のベッドにあった枕に向かって――」


「いいですいいです! 本物です! だからそれ以上はやめてください!」


 真那はかなり焦りながらヒツギの言葉を遮った。


「ここからがいいところだったのにー」


「そ、それより、なんで鳴がここにいるの? 私キャタピラーの大群を足止めしてる冒険者がいるって言われたから来たんだけど」


「あー今殲滅し終わったとこ。かなり多かったけどなんとかなったよ」


「え? 嘘、300くらいの数がいるって聞いてたんだけど…」


「それくらいいたんじゃないかな? 正確にはわかんないけど」


「鳴ってばあのときはそんな力なかったよね?」


「たくさん喰べて強くなった」


「えぇええええ!?」


 真那はいまいち納得していない様子だったけど周りの状態を冷静に眺めると納得したのか、自分が今しないといけないことを思い出したのかごほんと咳払いをして仕切り直した。


「あー、問い詰めるのとかやることとかは夜にやるとして今はこの状態を町に伝えないと」


 今安心できない言葉が聞こえたけど、それを問いただしてたら話が進まないしあきらめて見逃してやろう。


「現状としてはキャタピラーは殲滅完了。その後の脅威は斥候をださないとわからないって感じだな」


「その後の脅威ってなにかある可能性があるの?」


「真那は知らないのか? 今日オークが10体くらいまとまってたんだ。そしてキャタピラーを狩ってた感覚だけど、やつらは何かから逃げてる感じがした」


「それはたしかなの?」


「つか餌がいるなら森の奥から順に食っていけばいい話だろ? わざわざ出てきてから食べる必要はない。そこで人を襲うために来たかって考えたんだが、俺の側を通ろうとしたやつも襲う気配がなかったし確定かなって」


「なるほどね。その見解もふまえて報告しましょ。じゃ、行こ鳴」


 真那はごく自然な動作でと腕を組んだ。肘にヒツギでは感じることはおそらくないだろう柔らかさが――


「メイ?」


「ごめんなさい。今すぐ考えるのをやめます」


 危ない。あれ以上考えていたら記憶がなくなるところだった。昔から真那と比べるときだけああなるんだよな……。


「真那、とりあえず離して。あと俺のことはメイで。今は冒険者のメイとしてやってんだ」


「私はヒツギね」


「離す気はないよ? 久しぶりなんだから堪能しないと! 名前に関してはりょーかい。私もマナで。今はランクC-の冒険者なの」


「ランク差がすげぇな……。俺らは始めたばっかだからランクFなのに」


「2ヶ月近くあったのに始めたばっかりなの?」


「今日この森に飛んできて、それまではずっとダンジョンだったからな。つか2ヶ月もたってんの?」


「うん。まあその辺の詳しい話は夜に聞くから。今はギルドにいくよ」


 俺は結局マナと腕を組んだまま歩いてコロイドの町に戻った。途中でヒツギも反対の腕にくっついてきたのは言わずもがなだろう。






 ギルドに戻ってきた俺たちを迎えたのは大量のモンスターと戦うことを決めて準備を終わらせていた冒険者たちだった。

 ある者はマナが帰ってきたことでいよいよかという表情になり、ある者はその後ろの俺たちを見て助かったのか! という安堵なのか驚愕なのかわからないような表情になり、ある者はまだ死にたくないと震え始める。そこにマナの声が響く。


「二人は無事に帰ってきたわ! モンスターの大群もすでに倒した!」


 マナの声で歓喜にわく冒険者たち。それは自分が戦わなくていいという意味なのか、それとも町が無事で誰も死なずにすんだという意味なのかはわからなかった。


「静かに! 今すぐ会議を開きたいんだけどギルドマスターはいる?」


 まだわいわいと騒ぐ冒険者たちの中からギルドマスターではなくパーティ『クロウ』のガルとギルが近づいてきた。あれ? グルがいない。


「はっ、大量の魔物が来たって言ってきた冒険者ってのはお前らかよ。お前らみたいな低ランクのやつらが言ってたんじゃほんとは20とか30を大袈裟に言っただけなんじゃないか?」


「きっとそうに決まってるぜ。そんくらいの数なら対応可能な冒険者はここにもごろごろいるぜ?」


「だな。そんな些細なことをこんな大きな騒ぎにしてくれていったいどう謝罪してくれんだよ!」


 ガルのその言葉で歓喜にわいていた冒険者たちの中に疑惑の声が生まれ始める。「あいつらランクFだよな?」とか、「さっき登録してたやつだったような」とかがちらほらと。俺とクロウの三人のバトルを見てたやつの一部はなんもいってないが「本当に数はあってんのか?」といった表情で見てくる。

 そんななか、こないだガルの言葉にのって嘘を堂々と言っていた冒険者が声をあげる。


「謝れよ! たかだか30体くらいのキャタピラーに囲まれたランクFの新人(ルーキー)のせいで俺たちは要らない準備をすることになったんだぞ!」


「そうだ。今日はもう終わる予定だったのにいらん苦労かけさせやがって……謝れ!」


 つられて他の冒険者たちも声をあげ始める。次第に全体に広がったそれは「謝れ」というコールに変わっていった。


「謝れ!」「謝れ!」「謝れよ!」


 だんだんと苛立ってきた。これはもうヤルシカナイヨナ?




「黙れよ?」




 『威圧』を全開で放ちながら低い声で語りかけるように呟く。俺の体を中心にして空気がはりつめる感覚がわかる。それまでずっと謝れと喚いていた連中が片っ端から静かになる。

 俺は一瞬で静かになったギルドの中をそこそこゆっくりと受付に向かって歩く。そしてミナさんのところに行くとギルドカードを掲示してこういった。


「すいません、これに記載されてるモンスター討伐数ってこれもらう前も含まれるんですか?」


「い、いえ。こちらは登録いただいた状態で初めて機能するものなので」


「それはよかった。じゃあキャタピラーの討伐数見てくれませんか? 俺じゃ見えなくて」


「ギルド職員でないと確認できない仕様になってるのでそれは仕方ないかと」


 ミナさんはギルドカードを見て、何やら空中をタッチしている。たぶんカードから空間投影ディスプレイ的なものがでているんだろう。


「は?」


 見たミナさんが固まった。それを不思議に思ったのか他の受付の人が見に来て、またも固まった。いったい何体だったんだろうか。


「えっと、メイさんのキャタピラーの討伐数なんですが」


 ようやく固まっていたミナさんが戻ってそう言葉を紡いだとたん、ごくりと唾をのむ音が聞こえた。あ、別に俺じゃないよ?


「5」


「はっ! なんだ、たったと50体かよ! そりゃ大群かもな、ランクFにとっては」


「そうにちげえねえや」


「「「「あははははは」」」」


 一部の連中がまだ言ってる途中なのに騒ぎだす。落ち着けよ。


「574体……です」


「「「え?」」」


「ですから、メイさんのキャタピラーの討伐数は574体です」


 場に沈黙が訪れた。さっきまでわいわい騒いでいた連中も完全に固まってる。ここでダメ押しをしといたほうがいいかな。


「さて、すまんな俺は新人(ルーキー)だからこれが多いのかどうかわからないが……500体同時に相手して殲滅できるやつがいたら今すぐ名乗り出てくれよ。騒ぎ立てたことを心から謝罪するから」


 結局誰一人名乗りをあげる者はいなかった。

 その沈黙はギルドマスターが2階から降りてきてこの場に現れるまで続いた。



どうもコクトーです


『刈谷鳴』

 職業

『冒険者 Lv40

 格闘家 Lv40

 狙撃手 Lv32

 盗賊  Lv30

 剣士  Lv28

 武闘家 Lv23

 戦士  Lv23

 魔法使いLv28

 薬剤師 Lv30

 鬼人  Lv5

 ????の勇者Lv7

 狙撃主 Lv1

 獣人  Lv1 』

レベルは上がりましたが本文で書いてないのでこのままです

書いたら更新します



日間ランキング11位でした

ゴンッ

↑作者が頭を壁に打ち付け夢か確認する音

日間ランキング11位でした


よっしゃぁあああああああああああああああ!!!!!


初めてです

こんなに上まできたの初めてです!!

というかランキングにのった作品自体これが初めてなのですが…


ありがとうございます!!!


これからもガンバリマス

ではまた次回

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― 新着の感想 ―
[一言] グダグダしすぎでうざい
2019/11/13 12:12 退会済み
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