明の森です6
次の日、俺たちは朝から『明の森』に挑んでいた。
今日から後半にさしかかるということで、トレントへの警戒もかねてキャラビーは初めからみぃちゃんに乗り、俺はヒメを召喚していた。頭の上ではなく、きちんと自分の足で歩くヒメだが、俺たちよりもかなり背が低いからか、地面のちょっとした振動を察知して奇襲を防ぐことができていた。26層を通ってきて既に3回だ。初めに頼もうと思ってたアンナからヒメを勧められてどうしようかと悩んだけれど、その案を採用してよかった。
27層に入ってすぐ、『気配察知(魔物)』に反応があった。
「右からくるぞ。気づかれてる」
「フォレストビーかな?」
「群れじゃなくて3体だから違うかもしれない。すぐに来るぞ!」
そう言ってステュラを構えると、すぐに奥にその姿が見えた。普通のフォレストベアが二体と、もう一体、サイズこそ倍くらいあるが、進行方向にある木をへし折りながら向かってくるその姿はフォレストベアのものだ。
「これってフォレストベアなの!?」
「『鑑定』でもそう出てるから間違いないって。『シャドウハンド』」
あの巨体で突っ込んでこられると、『不動明王』ならば簡単に止められるが、他の2体に対処できないと感じ、俺は3体まとめて影で拘束することにした。小さい2体は簡単に地面に押さえつけることができたが、大きいやつはまず足をまとめ、次に腕を拘束した。走っているところで手足を抑えられたフォレストベアは勢いを止められずに木に激突したが、木はその巨体に耐えられずに、先に体を拘束されていたフォレストベアの1体の上に倒れた。ちょっと想定外だ。
「グァア」
「うるさい!」
口を塞ごうと影を伸ばしたところで先にヒツギが棺桶で頭をつぶした。残る2体も、木の下敷きになったやつはキャラビーが、もう一体はマナが仕留めていた。
「びっくりした。こんなサイズの奴がいるって話は俺が調べた限りじゃなかったんだけど」
「この間ガンダさんから教えてもらった噂の中にあったと思います。『明の森』では他の個体よりも大きなモンスターがいるときがあるっていう噂です」
「そんな噂があったのか? ギルドで調べた時にはなかったと思うが……」
「ガンダさんも一度だけしか聞いたことがないそうです。その冒険者はかなり若く、実力が伴っていなかったそうで、その時も遠巻きに戦っているのを見ただけだそうなので見間違いだろうと言っていましたが、ほんとだったんですね」
「他の階層にもいるのか?」
「もしかしたらいるかもしれません」
「でもそんなに気にしなくていいんじゃない? 大きくてもメイの魔法は普通に通じてたし、特別な能力があるってわけでもなさそうだったよ」
「まあ何かあったとしてもその前にヒツギが頭をつぶしたからな」
「叫ばれると他のモンスターが寄ってくるかもしれなかったし、メイも口を塞ごうとしてたけど、こっちのほうが早いと思ってね」
「まあやられる前にやれってことでいいんじゃない? さっさとしまって次に行こ。ヒメちゃんも何も言ってないし、この辺りにはトレントがいないみたいだけどいつまでもそうじゃないだろうし」
「そうだな。とりあえずしまっておくか。帰ってからユウカとギルドに話を聞きに行くのもいいかもしれない」
俺はアイテムボックスに3体の死体を放り込み、27層への扉に向かって移動を開始した。
「かう!」
「集まれ『全方位結界』」
28層の扉からそう離れていないだろう地域を歩いているとき、トレントの攻撃を感知したヒメの声に合わせて俺の結界が全員を囲った。すぐに周りから3本の根が伸びてきて結界を攻撃し始める。
「見つけた! 『エアカッター』」
森の中に隠れたトレントを俺たちの中では一早く見つけたマナの魔法が撃ち抜いた。1発につき1体を仕留め、半ばで切断されたトレントの死体が3つ出来上がった。
「ヒメ、もういないか?」
「かうかう」
俺がヒメがうなずいたのを確認して結界を解除した。28層に入ってから襲撃はこれで7度目だった。
26層に入った時と似たような感じで、すぐ近くにトレントがいたのが始まりだった。すぐにヒメが気が付いて対処したが、そこからは少し進むたびにすぐ次のトレントがおり、嫌になるくらいだ。だけど、『全方位結界』は毎回のように使っていたおかげでレベルが上がってくれた。強度が上がったようだ。最近は館の中でしか使ってなかったけど、使う機会はなぜか多いからよかった。
「うーん、この魔力パターンがトレントなのかな?」
「どうしたのマナ?」
「まだ確証はないんだけど、たぶんトレントの感知をできると思うの」
「まじで?」
「たぶんこの魔力パターンがそうなんだろうってだけだけど、まだ確証はないかな。もう少しで29層だし、29層で試してみてから判断したいな」
「それは当然いいけど、ほんとにできるの? 私も魔力感知のスキルはあるけど、何も感じないよ?」
「うまく消してて、攻撃する瞬間だけちょっと高まるんだけど、一瞬で上がるんじゃなくて、だんだんと上がってくる感じなんだ。だから、その変化をうまく感知できるようにすればできると思うよ」
「できるって、また魔法を作ったのか?」
「うん。名づけるなら魔力ソナーって感じかな」
「トレントの話を聞いた時から考え始めていたんだけど、昨日いいアイデアが浮かんで、あとは魔力が探れるかどうかだけだったんだ。28層に入ってからどんどん出てくるから改造がはかどったよ」
「それで、できるようになったということでしょうか?」
「まあ確定じゃないから試したいって話なんだけどね。少なくとも近くに反応はないし」
そう言うマナの手の上に薄う円盤状に広がった水が浮いていた。一定間隔で中心から波が起きており、おそらく魔力の変化を感知したらその部分に反応が出るのだろう。
「じゃあ行くか」
俺たちは29層に向かって歩き出した。
29層に入り、30層への扉に向かいながらすぐにマナが魔法を試してみた。さっきと同じように波が起き、5分ほど歩くと、円の右端の方に反応があった。
「いた。あの奥の4本目の木だね」
「わかった。『剣閃』」
俺は指示された木に『剣閃』を放つ。ただの木のように見えたが、『剣閃』で切り裂かれる瞬間、顔が浮かんで苦悶の表情に変わり、そのまま死んでしまった。
「うん。ちゃんとできてるね」
「うわー、すごいねそれ。周りの木と全然違いなかったのに」
「自信作……って言いたいところだけど、他の種類にも効果があるかわからないからもう少し研究かな」
「妥協しないのな」
「もちろん! やるからにはとことん頑張るつもり」
「そうか。まあできることがあればやってやるから」
「ん? 今なんでもって」
「言ってない」
「じゃあ帰ったら膝枕で休ませてもらおっかな」
「私腕枕がいい!」
「いや、やらないからな」
その後、マナがトレントを感知できるようになったことで、俺たちの攻略はかなりスムーズに進むことになった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
かなり遅くなってすいません。
履歴書から解放されたと思ったら卒論が…。あとスランプなのか話が全然進まないんです…。
思ってる以上に書けないんですよぉ…
ではまた次回




