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明の森です3



 次の日の朝、ユウカとの鍛練を終えて、ユウカが出るのを待ってから風呂に入った俺は、10分ほど汗を流した後、リビングに向かった。

 昨日と違って、俺が来た時にはみんなが揃っており、先に朝食の準備を始めていてくれた。


「あ、出てきたね。さっそくで悪いけど、パンだけだしてくれない? サラダとかはもうあるから」


「はいよ。……これで足りるか?」


「うん。もう残り少ないの?」


「ああ。肉はまだまだあるけど、パンはもう4つしかない」


「ありゃりゃ。今日はちょっと早めに切り上げて買い出しに行った方がいいかな?」


「なら先に買いに行った方がいいんじゃない? 朝なら焼きたてのおいしいパンがありそうだし」


「ご主人様、私が今から買ってきますか?」


「いや、マナの案を採用しよう。今日進むのは5層分ってことにして、午後からは町で買いだしだな。昼過ぎならまだ焼きたてのも残ってるだろうし、人も多少はましだろ」


「そうかな? むしろ昼過ぎだと売れ残りってことであんまり残ってないんじゃない?」


「ヒツギ様、売れ残りなら売れ残りで値段交渉の余地が生まれます。ご主人様がいれば大量に購入してもいいですし」


「大量に購入となればそれで割引いてくれと頼むこともできるしの」


「あとは、今から行って時間がかかっちゃうと、『明の森』でなんかあったときに今日も夜中に帰ることになる可能性もあるけど、それは嫌だって理由もあるな」


「15層から20層までの5層分ならそんなに時間がかかることはないんじゃない?」


「昨日みたいに戦闘中のパーティを迂回したら方角が変わってたとかあるかもしれないだろ?」


「それに関しては大丈夫。ね、マナ」


「うん。ダンジョン内でも使えるかわからないけど、以前教えてもらった雷魔法に方位磁針と似たような効果がある魔法があってね。昨日はすっかり忘れてたんだけど、お風呂でヒツギと話してて思い出したんだ」


「そのような魔道具は聞いたことがあるが、魔法は初めて聞くのう」


「そりゃあまだ1年も経ってない間に作られた魔法だからね。正式に発表とかがされてるわけでもないし、私も改良しようと手を尽くしてはいるけど、うまくいってない欠陥のある魔法なの」


「欠陥というと?」


「持続時間が短いのと、消費魔力が多いの。今は10秒くらいで消えちゃうんだ。魔力を常時消費しながらならもう少しもつけど、並の魔法使いならこれだけで魔法数発分の魔力をもってかれちゃうくらいかな」


「それはさすがに使えんの。もし改良できたら教えてほしいのじゃ」


「その時は逆に何か教えてもらうかも」


「わしに教えられることでよければの」


「よろしくね」


「そういえば、もう1年も経つんだな……」


「あと1月半くらいのはず。そう考えると、この1年かなり忙しかったな……」


「いろいろいいこと悪いことあったけどな」


「私はご主人様に出会えたのでよかったです!」


「ありがとな、キャラビー」


 頭を撫でてやるとキャラビーは目を細めて気持ちよさそうにした。その後、これ以上話してても朝食が冷めるということで話を切り上げ、朝食を食べ始めた。





 朝食後、準備を終えた俺たちは『明の森』に向かった。

 昨日と違い、15層の転移陣で中に入ると、1層ほどではないが、扉の近くに冒険者たちが固まっていた。中にはけがの手当てをしている人もおり、1層と違って俺たちを気にする様子はあまり見られなかった。


「扉は……あっちだね」


「よし、行くか」


 俺たちは16層へつづく扉に向けて歩き出した。 




 16層なかばで、ラージフォレストビーの率いるフォレストビーの群れに遭遇した。

 木の裏に隠れた俺たちに気づいていない様子で、そのまままっすぐに進んでいく群れだったが、一番後ろにいた個体が俺たちに気が付いた。ビビビビビと羽を鳴らし、こちらを振り返ったフォレストビーと、その音に反応して同じように羽を鳴らす他のフォレストビーたちだが、1匹が群れから離れていった。予定通りだ。


 俺たちが先制攻撃をしなかったのには理由があった。それは、フォレストビーたちがやってきた方角で、俺の『気配察知(魔物)』に30匹を超えるモンスターの反応があったからだ。『明の森』で群れを成すモンスターはいろいろといるが、30匹にもなると16層の段階ではフォレストビーしかいない。

 1匹だけ離れていったフォレストビーは、巣に援軍を呼びに行ったのだろう。できるだけ多くを連れてきてほしい。巣の近くで戦うと巻き込む可能性があるしな。


「メイ、来るよ!」


 新たにこちらにやってくるフォレストビーたちを探しているのに気をとられていたが、ヒツギの声で意識を戻した。ラージフォレストビーの奇声と共に、フォレストビーたちが一斉に襲い掛かってくる。


「動きを止めるよ。でも針には気をつけて! ウインドストーム!」


 向かってきたフォレストビーたちが全員マナの作った風の渦に閉じ込められた。フォレストビーたちも抗ってはいるが、風の勢いに負けて動けないでいるみたいだ。


「『風の精霊よ、切り刻め』ブリーズカッター」


 できるだけフォレストビーの素材を傷つけないように『ブリーズカッター』で渦にとらわれているフォレストビーの羽の根元を切り落とした。羽ばたく力を失ったフォレストビーが遠心力によってこちらに飛んでくるが、そいつらをヒツギとキャラビーがトドメを刺していく。ヒツギが倒した個体の一部は俺の配慮が無駄になってしまったが、最後の1匹を仕留め終えてすぐ、最初に援軍を呼びに行った個体が戻ってきた。背後には今倒した数の3倍はいそうだ。


「メイ、巣の方はみんな来た?」


「あー……まだ数匹いるな。たぶんラージが残ってるんだろうよ」


「来そうにない?」


「動く気配はないな」


「ならさっさとこっち片付けて巣の方に行こ。こっちで時間をかけてる間に他の冒険者に巣をとられちゃったら嫌だし」


「だな。マナ、もう1回頼むわ」


「任せといて。今度はちょっと強めに……ウインドストーム!」


 再びマナの魔法がフォレストビーたちを閉じ込めた。強めに、と言ったとおりに、今度の風の渦はラージフォレストビーまで巻き込み、フォレストビーたちはお互いの体をぶつけあいながらもがいていた。


「素材ももうボロボロか。すまんが一気に仕留めるわ」


 俺は『ハンドレッドナイフ』を操って、風の渦を取り囲むように展開する。そして一斉にその中心に向けてナイフを発射した。風をものともせずフォレストビーたちに群がるようにナイフが突き刺さっていく。フォレストビーを盾にしたりしてラージフォレストビーは何本かは耐えていたみたいだが、額に刺さった1本が致命傷になったらしく、その場で崩れ落ちていた。

 全滅したのを確認した後、ギルドで売ることができる針を回収するため、比較的損傷の少ない個体だけさっとアイテムボックスにしまい、俺たちは巣があると思われる方に向かった。




「見つけた。あれが巣か」


 さっきまで戦闘をしていた場所から5分ほど歩いたところに巣はあった。


「うわぁ……大きい」


「すごい、です」


 マナとキャラビーの反応もわかるくらい、そこにある巣は大きかった。通常、フォレストビーの巣は木の枝にぶら下がており、大きくても縦横高さそれぞれ3mくらいだ。フォレストビー自体が1mくらいなのに巣がそれでいいのかと思わなくもない。だが、今俺たちの前にある巣は木から下がっているわけではなく、木そのものをのみ(・・)こん(・・)()いた。


「メイ、巣の中にはモンスターはいる?」


「ちょっとまて……全個体外に出てきてるぞ。1体だけフォレストクイーンビーがいるけど、問題はなさそうかな」


「問題ないのですか?」


「フォレストクイーンビーは戦闘能力という点ではラージフォレストビーと変わらないみたいだからな。素材が高く売れるから、むしろ歓迎だよ」


「巣から引き離して倒せば巣ごと回収できそう?」


「どうやって引きはがす? わざと姿を見せておびき寄せようとしても、たぶんだけど針を飛ばしてくるだけで近づいてこないよね」


「巣を守るって考えたらそれが正解だからな。魔法で引き寄せるから、それをしとめる形でいいんじゃないか? 『シャドウハンド』とかで引き寄せるから」


「私はそれでいいと思うよ」


「私もいいと思います」


「私も手伝うよ。8体しかいないし、4体ずつね。ヒツギとキャラビーは準備しといてね」


「じゃあやるぞ。『シャドウハンド』」


 俺の影から黒い腕が伸び、クイーンフォレストビーたちを捕まえて引き寄せる。同じようにマナも風魔法でこちらに引き寄せ、ヒツギが棺桶でその頭を潰した。俺の方もキャラビーがラージフォレストビーの頭を短剣で切り落としていく。俺も近くに寄せたフォレストクイーンビーの頭をステュラで落とす。抵抗も特になく、ほとんど傷もついていないから高く売れそうだ。

 アイテムボックスに死体を全部しまい、巣も、木の根元を『一閃』で切って、そのままアイテムボックスにしまった。館に戻ってから解体して蜂蜜を取り出すつもりだが、初めて『蜂蜜目利き』が反応してるし、いい蜂蜜みたいだ。ちょっと楽しみだな。



 マナの魔法で方角を確認し、俺たちは扉の方に向かった。



どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  LvMAX(50)

 魔術師 LvMAX(60)

 聖???の勇者Lv15/??

 薬剤師 Lv57/60

 ローグ Lv42/70

 重戦士 Lv44/70

 剣闘士 Lv41/60

 神官  Lv28/50

 龍人  Lv4/20

 精霊使いLv7/40

 舞闘家 Lv12/70

 大鬼人 Lv4/40

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv3/30

 魔導士 Lv1/90 』

忙しい時期が抜けずに遅れてます。すいません。


戦闘シーンを久しぶりに書いた気がします。

やっぱ楽しい…


ではまた次回

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蜂が居なくなっても蜂の子がいるぞ。
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