明の森です2
『明の森』を進み始めて3時間ほどが経ち、時間的にもお昼ということで、俺たちは次の6層に入ったところで休憩することにした。
用意してあった昼食を食べ、次の扉に向かって進み始めた俺たちは、運よく戦闘もなく、まっすぐ7層にたどり着いた。
7層につくまで、戦闘は4層で2度、5層で1度と、かなり少ない回数しかなく、予定していたベア系の肉は得られていなかった。襲ってきたのはいずれもフォレストビー単体。基本的に群れで行動するモンスターのはずなので、群れからはぐれた個体か、あるいは偵察に出ていたのかもしれない。周囲に『気配察知(魔物)』の反応がなかったことを考えて、ハチミツのために巣を探すことはしなかった。そう都合よくはいかないか。
そして、8層に続く扉めがけて7層を進み始めて20分が経った頃、ようやく狙っていたフォレストベアが現れた。どうも茂みに隠れて俺たちを待ち伏せしていたみたいだが、『気配察知(魔物)』に引っ掛かっていたし、襲われる前に『ダークランス』で頭を撃ちぬいた。わかってるのにわざわざ襲われるのを待つ必要はないしな。
そこからまた20分ほど戦闘もなく進んでいくと、次の扉にたどり着いた。
「扉にはついたことだし、このあたりでフラム草探してみる?」
「んー、取り合えずは進もう。よく考えてみれば、ここで下手に足踏みするより、10層の転移陣を確実に使えるようにしてからの方がいいと思うし」
「そんなにかわらないと思うけど……」
「運よく10層で見つけられれば、時間次第だけど15層まで進もうってことにもなるかもしれないし、もしかしたら8層とか9層で進んでいる途中に見つけられるかもしれないだろ?」
「もう持ってる時に限って同じものが出るような感じ?」
「そういうこと。できれば20層から先に進む前に薬は用意しておきたいけど、そんなに大量に使うわけじゃないから」
「そういうことなら仕方ないかな。じゃあいこっか」
そうして、俺たちは周辺の探索はなしで先に進むことになった。そして、9層の半ばあたりでの戦闘中に少し直線ルートから外れたくらいのところにフラム草があるのを発見し、10本ほど回収できた。マナの土魔法のおかげで周囲の土ごと根っこから回収できたから、なんとか栽培できるようにしたいところだ。
10層の転移陣を有効化し、11層に向かう途中でもフラム草が生えているのを発見し、最終的に30本くらいのフラム草を回収できた。7層の時に探さなくて正解だったな。
フラム草に関しては、予定していたよりも多めに確保できたが、肉という点ではあまり順調とは言えなかった。なぜだかわからないが、出てくるのはフォレストビーやフォレストクロウラーなどの虫系モンスターが大半で、フォレストベアの肉は4体分しか確保できていない。これだけだと3日と持たずになくなってしまうから、もっと確保しておきたいところだ。11層から先では上位種のラージベアや水熊なんかも出てくるようになるから出会う確率は上がるだろうから大丈夫かな。
11層、12層では、思ったよりも冒険者の数が多く、戦闘を行っているパーティを避けながら進むことになって、かなり時間がかかってしまった。その影響もあって、14層にたどり着いた時にはすでに夜になっていた。あまり遅くなるのも困るし、15層の転移陣は扉のすぐ近くということらしいので、14層はハイペースで駆け抜けることにした。
結局、思惑通りにはいかず、これまでの階層の中では最多となる6回の戦闘を行う羽目になり、館に戻ってこれたのは9時過ぎになっていた。
「今日はずいぶん遅かったのう。わしはたまたま町で食べてきたのじゃが、帰ってきたときにお主らがおらんかったからかなり驚いたのじゃ」
「ちょっと森で迷ってね。時間がかかっちゃたんだ」
「巻き込まれないように戦闘中のパーティをよけたりしてな。これまではなんだかんだと迷う要素は少なかったから進むか戻るかの判断をミスった」
「今後に生かせばよかろうよ。『明の森』の本当の恐ろしさを経験する前でまだよかったじゃろ」
「だな」
ギルドで集めた情報によると、『明の森』は前半と後半では難易度が急激に変わる。その一番の要因は、25層から先で出現するようになるトレントたちだ。
トレントは木に擬態しており、気配察知系統のスキルが効かない上に、臭いも音もしない。常に周囲を警戒し続ける必要があるので疲労もたまりやすいと書いてあった。5層ごとにその種類も増え、毒を持つポイズントレントや、移動する力を得たウッドマン、麻痺毒をもつパラトレントなど、厄介になっていく。この毒に対抗するためにフラム草を集めていたというのもあった。俺は『毒無効』や『麻痺再生』、ヒツギには全耐性スキルがあるから大丈夫だが、マナとキャラビーはそうはいかない。回復自体はマナができるとはいえ、マナ自身が攻撃を受けない保証はないし、別の回復手段を用意するのは当然だろう。さっそく今晩にでも薬を作っておこう。
ギルドの資料によれば、25層のボスであるエルダートレントが、今後トレントが出現するということを示唆しているのではないかとのことだが、実際にどうかはわからない。
遅めの晩飯を食べ、アンナが森で回収してきた薬草を受け取って、俺は部屋に戻っていた。
床の上に布を引き、その上に各種薬草を並べた。『薬剤調合』は、薬剤師の職業のレベルに応じて作れるものが増え、成功確率が上がるスキルだ。今の俺のレベルは57だが、『調薬成功率上昇』スキルのおかげで、今作れる薬は全て100%成功するようになっていた。
「『薬剤調合』解毒剤」
まずは先に出現するポイズントレント用に解毒剤を作成した。10本は栽培用にとっておくためにフラム草は10本で作ったが、30個の解毒剤が出来上がった。金平糖ほどの大きさの丸薬で、色が緑色なのがなんだか飲む気を失わせる。
『解毒剤:飲み込むことで一定までの効果を持つ毒を解除できる。即効性がある』
『鑑定』で調べてみると、即効性があると表示された。遅効性で毒が解除できる薬とか意味があまりない気がするんだが、麻痺回復丸がそうならないことを祈ろう。
「『薬剤調合』麻痺回復丸」
『麻痺回復丸:飲み込むことで一定までの効果を持つ麻痺を回復できる。即効性がある』
心配していた遅効性にはならなかった。麻痺回復丸は、大きさは解毒剤と変わらないが、その色は黄色だった。緑色と比べたらかなりましだな。数は解毒剤とは違って、フラム草1本につき1つだったらしく10個だ。栽培次第だけど、今後作るなら3対1で作っていかないといけないかな。
作った解毒剤と麻痺回復丸を別々の子袋に入れてアイテムボックスにしまうと、余った素材や布を片付けて、今日手に入れた素材の確認と、武器の手入れを始めた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
遅くなってすいません。いろいろと忙しくて遅くなりました。
感想で言われて気が付きましたが、書き始めてから3年が経過していました。
今年は連続投稿とかやれるような状態じゃないので、3周年記念はちょっとパスです。
ポイントも30000を超え、ますますガンバリマス!
これからもよろしくお願いします。
ではまた次回




