善の洞穴ボス後です3
後半はメイとは別視点です。
ご注意ください
お昼過ぎの混雑した町を抜けるのに時間がかかり、館に帰る頃にはもう3時になっていた。そこから料理を作って昼飯というのも時間がかかってしまうため、アイテムボックスに入っていた料理で軽めに済ました。もちろん俺は肉抜きだ。
今日はこの後何かするという訳でもなかったため、俺は部屋に戻るマナたちを見送って、1人で風呂に向かった。
さっきマナたちが入っていたこともあり、風呂には水が張ってあった。さすがにお湯は冷めていたので温め直したが、のんびりする予定だったから温度はぬるめだ。
新しく得たスキルと成長したスキル、そして失ったスキルについて調べていると、時間はすぐに過ぎていき、20分近く経っていた。
得たスキルの中でも、『気配遮断』だけは察知系のスキルのように常に使うようにした。『善の洞穴』では気配のない相手がいかに厄介かを痛感したからだ。パーティで行動するときは1人が消しててもばれるだろうが、1人で動くときは便利になりそうだ。
パーティ内の会議次第だが、スピリットやゴーストなんかの実体も気配もないモンスターを察知できるようになるスキルを得るまでは『悪の洞穴』には行かない方がいいだろう。『気配察知(魔物)』の上位スキルとかにないかな?
実際に使ってみないとわからない『獣進化(虎)』や『自重増加』は明日以降に試すとしても、なんとなく想像はできるな。それと狼から虎に変更した犯人も。経験値だけじゃなくてスキルにまで干渉するとか意味わかんないな。
その後も、10分くらいのんびり風呂に浸かった後、風呂からあがってリビングに向かった。
リビングでは、何体かのブラウニーが箒やはたきをパタパタして掃除をしていた。いつもなら誰もいない時間帯だから、俺がいる前で掃除していいのかわからなくなったのか、掃除の手を止めてそわそわし始めたブラウニーたちはなんかかわいい。
続けて大丈夫だと声をかけると、ブラウニーたちは再び掃除に戻った。今晩魔力を多めにあげようかな。などと考えながらソファーに座ってその様子を眺めていたらユウカが帰ってきた。
「おかえりユウカ。今日はずいぶん早いんだな」
「今日は用事があったから昼過ぎにはダンジョンから出ておったからの。昼からはずっと町におったのじゃ。お主らは……問題なく攻略できたみたいじゃな」
「問題がなかったわけじゃないがな。2度目に挑んだときに前のパーティが全滅してて、リッチキングが出てきたんだ。ユウカは上位のボスが出現したって話は聞いたことないか?」
「ふむ、ここのダンジョンではないが、以前ダンジョンでボスが強化されていたという話は聞いたことがあるのじゃ」
「どこの話だ?」
「『アントホーム』じゃよ。わしは挑んでおらんが、あそこは長い間同じ個体がボスとして君臨しておったと聞いておる。その間少しも成長していないということはあるまいよ」
「あーたしかに」
ユウカの話でヒメの干渉によって超強化されていた『アントホーム』を思い出した。あの押し寄せる大量のアントたち。あきらかに出る階層を間違ってるとしか思えない真キメラアント。懐かしいなぁ……。
「まあ、あそこは最近攻略されたばかりじゃから、こことは状況が大きく違う。あまり参考にはならんじゃろうな」
「あそこのダンジョンコアも無事届けられたしな。昔の勇者の仲間が制御できる術式か何かを残してたんだろ?」
「わしに聞かれても知らんよ。その当時生きていた人間なんぞおらんのじゃからな」
「ははは」
「メイよ、以前話したシーラとアレフを覚えておるか?」
「王都にいるっている執事長と料理人だっけか?」
「その2人じゃが、今日の昼間に町に到着したのじゃ」
「そういえば前に来るって言ってたな。昼からの用事ってのはその2人と会うことだったのか」
「そうじゃ。今は2人とも宿にいるんじゃが、お主らもダンジョンを攻略したことじゃし、お祝いもかねて2人を呼んでも構わんか? アレフの料理は絶品じゃから、お主らにもぜひ食べてほしいのじゃ」
「そこまでユウカがほめてる料理は気になるから、俺は来てもらって構わないけど、できればお祝いは3日、いや、5日後にしてくれないか?」
「5日じゃと? 何かあるのかの?」
「ちょっと従魔たちに罰を与えててな。みぃちゃん以外の従魔たち全員お肉抜きで、ヒメは5日間抜きなんだ。俺も3日間肉を抜いてるんだ。どうせおいしい料理なら気にせず食べたいし、お祝いなのに、ボス戦に参加してたヒメだけ野菜のみってのもなんか嫌だろ?」
「従魔の罰にお主も付き合うとは珍しいことをするのう。なら5日後の夜はどうかの?」
「俺はそれでいいよ。一応3人にも聞いておいてくれるか? あれなら俺から聞いてもいいが」
「いや、今日のご飯の時に聞くのじゃ。お主は夜はどうするのかの? 肉を抜くといっても、生野菜を食べるわけではないんじゃろ?」
「まあ多少は調理するよ。まあそんなにできるわけじゃないけど」
「それなら簡単なものだけじゃが、レシピをアレフに聞いておくのじゃ。見てるこっちが申し訳なくなりそうじゃからな」
「助かるよ」
そのまましばらく、俺はユウカと話を続けていた。
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魔王の住まう城の中で、私、峰岸綾乃はぷかぷかと浮かびながら憤っていた。
「はぁ、また実験のせいでデートができなくなっちゃった。新しい素材が来たからって……私のことも見てよね!」
最近になり、スケルトンロードの体ではあるが、ようやく生き返らすことに成功した夫がデートに応じてくれないのだ。前までならば実験の合間合間でも時間を作ってくれて、近場でデートをしてくれていたのに、強欲が傲慢適合者と、かなり強い力を持つ死体を複数持ち込んできたことによってその時間すら作れなくなってしまった。
生前の夫もかなり私生活を犠牲にしていたけれど、スケルトンロードの体になって、その傾向は激しくなってしまった。魔王様の能力と夫の研究の相性が良すぎることもあって、死んでるけど生き生きとしている夫はほんとにかっこいいのだけど、少しは私のことも見てほしい。
「おーおー、荒れてるねー」
「……なによ怠惰。笑いに来たの?」
通路の奥から気配もなくひょこりと現れたスロースに、私はちょうどいい怒りをぶつける相手が来たと感じながら向き合った。
「そうじゃないって。俺の願いが叶っちゃったから、好きなようにうろつくこともできなくなっちゃってさ、暇なわけ。なんでそんないらついてんの?」
「お気楽な男ね。まあ暇なら私の愚痴に付き合いなさい」
「いいぜ。どうせまたデートでも断られたんだろ?」
「そう! 彼ったら、最近実験ばっかりでちっとも私の相手をしてくれないの! たまに実験室から出てきたと思ったら魔王様のところに成果報告に行くためだったり、新しい実験材料を魔王様にもらいに行ったり、魔王様ばっかり」
「魔王様に嫉妬か?」
「そうよ。悪い?」
「いやいや、別にそうとは言ってないじゃん。でも、あいつが実験をやるのって、個人的な興味もあるだろうけど、お前さんの為なんだろ? 居合わせたのは俺じゃないけど、憤怒から話は聞いてる。生き返ってすぐにお前さんを魔王様から助け出そうとしたってな?」
「ま、まあ、それはそうなんだけど」
「かっこいいじゃんか。今の自分にできることを即座に把握して、それで手を尽くして愛する人を助けようとする。俺にはとてもできないね」
「それは私と夫の愛の強さがなせることだからね」
「そんな男なんだから、実験で成果を出し続けないと、お前さんをとられるかもしれないって思っててもおかしくないだろ?」
「そ、それはそうよね……」
「お前さんとのデートも断るってのは、それくらい切羽詰まってるって証拠ともいえるんじゃねえか? そんなつらい思いをしてる夫に、お前さんができることは怒ることだけか?」
「……違うわ。そうよね、そんな時こそ私が支えてあげるべきよね!」
スロースの言葉に感化されるというのはなんだか癪だけど、今は感謝しておくわ。
「じゃあ、私行くところがあるから!」
私はスロースの返事を待たずに夫のところに急いだ。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
遅くなってすいません。休憩のつもりで書いてたら1話分になってたので更新です。
まだまだ更新再開はできそうにないです。すいません…勉強しないとまずいのですよ…
7月の末くらいまではこんな感じに書けたら更新という形になります。というかそこでほんとに勉強を終わりたい…あ、でも終わったら卒論が…ガンバリマス
ではまた次回




